英草紙/西山物語/雨月物語/春雨物語 新編日本古典文学全集 (78)

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・本 (646ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096580783

作品紹介・あらすじ

中村幸彦・高田 衛・中村博保/著 10月19日発売/4,800円(税込)菊判/648頁 古事記・日本書紀・万葉集の上代から、源氏物語など女流文学で有名な平安時代、方丈記や徒然草などの中世、さらには、芭蕉・西鶴・近松までの近世。千年以上もの時代を超えて生き続けてきた古典文学の代表的作品を八十八巻にまとめたのが、この全集です。完結は西暦2001年、まさに二十世紀最後最大の「日本古典文学全集」といえましょう。しかも、現代語の全訳が原文・注と同一ページにある三段組方式で二色刷り、図版入りですから、見やすさ、読みやすさは抜群。どなたにでも楽しんでいただけます。 ところで、古典というと、なぜか平安時代が中心になり、江戸時代は芭蕉・近松・西鶴どまりでした。しかし、江戸期にも、さまざまなジャンルの作品があります。 本書は、各誌が中国の白話小説を翻案した作品が主ですから、いわば硬派の部類に属します。しかし、たとえば雨月物語、「白峯」の崇徳新院の凄じい怨念、「菊花の約」の男と男の命がけの誓約、「浅茅が宿」の女の貞節、「吉備津の釜」の身も凍る恐怖、「蛇性の婬」の愛欲の執念、春雨物語の“青の洞門”に材をとった「捨石丸」、水滸伝を下敷きにして実に巧みに野性の男の人間的成長を描ききった「■■」など、読み始めたらやめられない作品ばかりです。 ぜひ一度気軽に手に取ってみていただきたいものです。

感想・レビュー・書評

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  • [雨月物語 巻之五]

    「青頭巾」。人肉を食べる人の話。ひょっ! と思いつつ読んだが、考えれば、ただ飢えに負けたというだけではなく、欲で人の肉を口にしてしまう人というのは、この頃からいたということなのかと思う。高僧はその不埒な輩に打ち勝つのだけど。つい、なんとも『雨月物語』らしい話だと思ってしまった。

    「貧福論」。これは面白い。仏教や儒教の話なども出てくるが、何しろ黄金の精霊なので、そういうものとは縁がない。今の倫理観で読んでも、そう大きく離れたエピソードとも思えず、なるほど、貧富の理はこの頃から、はっきりした部分とわからない部分があるものだったのだと思う。これで『雨月物語』は終わり。思ったより短かった! このあとに『春雨物語』を続けて読むべきかどうしようか悩んでいるところ。

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    [雨月物語 巻之四]

    「蛇性の婬」。めちゃくちゃ面白かった。情は情でも、相手を自身の思うままに絡め取ることしか考えない執着は一方的で、周囲の被害も甚だしく、同情の余地がないなぁと思った。情よりも婬だものね…… しかし、富子は災難すぎるだろう。単なる巻き込まれなのに。そして、一方の豊雄は、そうですかとしか…… 何の教えもなく、災難を乗り越えたことで何かがつかめたという話でもなく、ただもう妖しのものは不条理であるという話で、そこが非常に面白いと思う。

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    [雨月物語 巻之三]

    「吉備津の釜」は、初めて原文で読んだかも。岡山に行ったときに、これが吉備津の釜だと、AR で説明を見ながら拝んできたのもあって、生々しさが半端ない。一夜我慢すれば→夜明けになる前にお札を外してしまうというのは鉄板の怖さだなぁ。魔夜峰央さんの漫画で読んだのが何の話だったかは忘れたけど、あの絵のイメージがとても強い。

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    [雨月物語 巻之二]

    「夢応の鯉魚」が好き。鯉魚の絵が後世に残らなかった理由で締められるオチまで面白い。人が魚になって自由に泳ぐエピソードは、『日出処の天子』の厩戸王子を思い出す。流れはかなり違うけれども。まな板に載らずに済むのであれば、泳ぐ夢はわたしも見たい。

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    [雨月物語 序・巻之一]

    先日、知人と「菊花の約」の話になり、実は出雲と加古の話なのだと聞き、それから気になっていたこともあって、「雨月物語」を読み直したいなと思っていたところ、手元に『日本古典文学全集』の電子版があることに気づき、そこに収載されていたので、とりあえず「雨月物語」だけ読み返すことにした。「菊花の約」は巻之一に収められていたので、案外早くに読み終えることができた。自分の幼い頃には、子ども向けの日本のお話のような本に収録されていた話だけど、最近の子どもは知らないんじゃないかとも思う。割と酷い話だしね…… 自分の幼い頃は、約束したことは守らねばならぬというような教えとして読んでいたのだけど、当然のことながら、そんな簡単な話ではなく、命を賭してもという背景がそれなりにあった。今の倫理観からすれば、生きてこそ花だと思うのだが、そういう時代でもなかったのだろうということは、なんとなくわかる。それであってもなお、生きてこそ花だとは思うけどね…… 面白いのでこのまま、続きもちょこちょこ読もうと思う。

  • [配架場所]2F展示 [請求記号]918/35/78 [資料番号]0095105574

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