- Amazon.co.jp ・本 (128ページ)
- / ISBN・EAN: 9784096772126
作品紹介・あらすじ
弱ったこころを勇気づけ、希望に導いてくれた詩人、茨木のり子。そこにはいつも生きるための言葉があった。ヒューマニズム溢れる名詩から、亡夫を想う挽歌まで、鑑賞解説付きで収録。
感想・レビュー・書評
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茨木のり子さんの詩集ですね。
永遠の詩シリーズです。
このシリーズはほんとうに、詩との出会いを形づくるきっかけを結びつけてくれますね。
茨木さんの詩は、初めて味わいましたが、私の心に深くすんなり、ほんとうにすんなり受け入れました。
詩集を読むのはかなりの想像力と理解力、感性を駆使しますが、茨木さんの詩は、飾りがなくそれでいて、真相を的確に捕らえられていて、情愛と励ましに溢れています。
みずうみ
《だいたいお母さんてものはさ
しいん
としたところがなくちゃいけないんだ》
名台詞を聴くものかな!
ふりかえると
お下げとお河童と
二つのランドセルがゆれてゆく
落葉の道
お母さんだけとはかぎらない
人間は誰でも心の底に
しいんと静かな湖をもつべきなのだ
田沢湖のように深く青い湖を
かくし持っているひとは
話すとわかる 二言 三言で
それこそ しいんと落ちついて
容易に増えも減りもしない自分の湖
さらさらと他人の降りてはゆけない魔の湖
教養や学歴とはなんの関係もないらしい
人間の魅力とは
たぶんその湖のあたりから
発する霧だ
早くもそのことに
気がついたらしい
小さな
二人の
娘たち
この詩集は、茨木のり子さんの全詩より三十六編を選び出されています。
選者の高橋順子さんの言葉
「言葉は平易であるが、最初から不思議なくらい洗練されていた。時々俗語や文語が混じり、それがじつに所を得て、いきいきと親しみやすい表情を浮かべているのが、茨木詩を読む楽しみの一つでもある。修飾をはらい、畳みかけるように強い言葉の中に、たおやかな言葉を見出すこともある。」
心に響く「言の葉」の詩集ですね。
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僕も、詩を読ませていただいて、「自分は深い湖を、ちゃんと隠し持っているだろうか?」
と、己を省みさせられました。
素敵なお気に入りの詩人をも...僕も、詩を読ませていただいて、「自分は深い湖を、ちゃんと隠し持っているだろうか?」
と、己を省みさせられました。
素敵なお気に入りの詩人をもつことは、その人の人生をさらに深く思索的にさせるような気がします。
素晴らしい、本のご紹介、ありがとうございます。2023/02/05 -
川野隆昭さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
茨木さんの詩は、飾りがなくとても読みやすく、そして気づかさせてくれます。ある意味...川野隆昭さん、こんにちは。
コメントありがとうございます。
茨木さんの詩は、飾りがなくとても読みやすく、そして気づかさせてくれます。ある意味応援歌ですね。
おっしゃるように、良い詩人にふれる事は人生の宝物ですね。
これからもよろしくお願いいたします。
2023/02/05
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まことさん、おはようございます。
茨木のり子さんの詩集は、とても読みやすく、スッキリと心に入り込んできて良いですね。
まことさんの感想でさら...まことさん、おはようございます。
茨木のり子さんの詩集は、とても読みやすく、スッキリと心に入り込んできて良いですね。
まことさんの感想でさらにその想いを深めました。
これからも、茨木のり子さんの詩集を読んでみたくなりました。
心にしみる詩情は、作者の言葉で感じ方が変わると思いますが、自分なりに楽しんでいきたいと思います。
これからよろしくお願いいたします。2023/02/18 -
ひだまりトマトさん。こんにちは♪
コメントありがとうございます。
今朝、ひだまりトマトさんの、茨木のり子さんの、レビューを拝読しました。
...ひだまりトマトさん。こんにちは♪
コメントありがとうございます。
今朝、ひだまりトマトさんの、茨木のり子さんの、レビューを拝読しました。
私も茨木さん、大好きな詩人です!
今、ちょうど、若松英輔さんの、100分で名著で、茨木さんの詩をテキストにして、ことばとは、何か、詩とは何かについてを、読んでいるところです。
まだ、途中ですが、とてもよいテキストだと思います。
ひだまりトマトさんも、いつも、レビューの言葉づかいが的確で、やさしいので、感心して、拝読させていただいています。
こちらこそ、これからもよろしくお願いいたします。2023/02/18
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名詩「利根川の海」にはじまり有名な「わたしが一番きれいだったとき」から最後の詩集「歳月」まで、厳選された詩が編まれた本書。
戦争を生き抜いた茨木のり子さんの凛として美しい死の数々。
初めて読んだ一冊が「歳月」であったためか、やはり個人的には晩年の詩がすごく好きです。「夢」「恋歌」「急がなくては」「(存在)」「歳月」など。
厳選されたものなのでどの詩も本当に素晴らしいのですが、
「答」は本書の中で一番好きで、私自身、ふと一番幸せだった時といえば、と振り返った時がありそれを再体験したような感覚でした。子を持つ母なら、どんな人生を送っていたとしても共感できるのではないでしょうか。
ほかに「兄弟」「食卓に珈琲の匂い流れ」や「時代おくれ」、「倚りかからず」「さゆ」など、非常に心打たれました。 -
残念ながらと言うべきか、小学生の頃の自分にとって、詩とは「言葉が少なくて読むのが楽なもの」以上のものではありませんでした。
大人になった今、何故だか詩というものに心をくすぐられながらも、「何がそんなに良いのか?」と問われれば、明確な答えは見つかっていません。
ただ茨木さんの言葉をまとまった形で読むと、「無理に頭で解ろうとしなくていいんだ」ということを教えられるような気がします。
論理的に解き明かそうなんて大それた事をやろうとしなくても、「あぁその感じわかるなぁ」と自分の中に自然と共振する部分を発見するのも、詩の楽しみ方かもしれません。 -
「あなたは もしかしたら/存在しなかったのかもしれない/あなたという形をとって 何か/素敵な気がすうっと流れただけで//わたしも ほんとうは/存在していないのかもしれない/何か在りげに/息などしてはいるけれども//ただ透明な気と気が/触れあっただけのような/それはそれでよかったような/いきものはすべてそうして消え失せてゆくような」(存在)
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テレビで紹介されていなかったら、おそらく読んでいなかっただろう。表題作の『自分の感受性くらい』は喝を入れられているような感じが特に良かったが、『わたしが一番きれいだったとき』も良かった。