新版 奇想の系譜

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  • 小学館
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感想 : 12
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  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784096822890

作品紹介・あらすじ

江戸絵画ブームを興した名著オールカラー版

半世紀前に刊行された『奇想の系譜』が、新たに図版を加え、さらに4色で大きく見せられるレイアウトに生まれ変わりました。また、若冲をはじめ江戸の絵師たちに起こった絵画をとりまく状況変化を各章最後に新原稿として追記しています。

岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我簫白、長沢芦雪、歌川国芳。アバンギャルドな絵師たちの江戸絵画を約130点も掲載。

江戸絵画ブームの原点となる名著がオールカラー完全版として新登場!

感想・レビュー・書評

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  • 日本美術においての“奇想”の存在。
    江戸時代の特異な6人の絵師と、その“奇想”な作品を解き明かす。
    憂世と浮世-岩佐又兵衛・・・・・・・・・妖しい血の三位一体。
    桃山の巨木の痙攣-狩野山雪・・・・・人工的な仮構。
    幻想の博物誌-伊藤若冲・・・・・・・・・<物好き>の精神。
    狂気の里の仙人たち-曽我蕭白・・・人を食った自己表現。
    鳥獣悪戯-長澤芦雪・・・・・・・・・・・・・生きもの描き&線描きの達人。
    幕末怪猫変化-歌川国芳・・・・・・・・・不敵なアイディアの宝庫。
    各出版社のあとがき有り。参考文献、関係画家年表有り。
    新版になりサイズが大型化。カラー図版多数。新情報も記載。
    半世紀前に出版されて以来、出版社も時代も変わり、
    衝撃だった“奇想”は美術展が開かれるまでに、
    万人に受け入れられるようになりました。
    で、本の内容は1969年が初版とは思えないほどの理解し易い文章、
    鑑賞のポイントの的確さ。新情報や訂正も柔軟に掲載しています。
    我が道を往くを体現して“奇想”を貫いた絵師たちの生き様と、
    その作品を知るための、基本の一冊といえるでしょう。
    大判の紙面にはカラーの絵画画像がたっぷりの豪華版!
    半世紀を経ての出版技術の向上も含めて、
    手元でこれらを鑑賞出来ることは、嬉しい限りです。

  • 絵を観る趣味はない。特定の絵や写真を好きになることはあるけど、それだけ。美術に関する知識は中学生レベルで、浮世絵と言われるとシャラクとウタマロという名前がどこからか出てくる程度。しかもどんな絵を描いたんだかよくわかってない。
    それなのに、江戸時代に活躍?した6人の絵師を豊富な作品引用と研究で紹介する本書が面白くて、一晩で読んでしまった。

    面白く読めた理由のひとつは、それぞれの絵と絵師に「物語」があること。6人の絵師は大御所ではないようで、作品が散逸していたり、真贋がはっきりしないケースもあるようだ。著者が自らの分析も含めて描き出す6人の遍歴が興味深い。それぞれの物語を知った上で絵を観ると、味わいが明らかに違う。

    もうひとつの面白さが、絵を観るプロ?としての筆者が作品の見どころを教えてくれること。絵の見方を教わるなんてみっともない話だとは思うが、そこは大目に見てほしい。あー、そういうところを観るのね。

    そしてもう一つ、当然ながら取り上げられた作品の迫力。「奇想」と題するからには、どこか変わった先鋭的な6人なんだろうと思うけれど、そもそも「主流」「正統」がわかっていないから、どこが翔んでいるのかはわからない。でも、どこを押すとこういう絵が出てくるんだろうと思う作品も多かった。大判の本だが、もっと大きく観たいと思った。
    ちなみに一番気に入ったのは伊藤若冲。

  • 昨日、友人と長沢蘆雪の展覧会を観覧。
    ショップでは、文庫本サイズの縮刷版しか置いて無かったので、Amazonにて購入しました。
    図版が大きいのが一番❣️

  • この本が出る以前、江戸絵画研究者から軽んじられていた 岩佐又兵衛、狩野山雪、伊藤若冲、曾我蕭白、長沢芦雪、歌川国芳にスポットを当てた評論連載を単行本にした画集。いろんなバージョンが出てるけど、新板は絵が綺麗で大きくてよい。後日談で、連載時の考えを結構改めていることを書いているのも好感が持てる。

  • ふむ

  • 昨年、この本に出てくる作品を紹介する展覧会があり、面白かったので、図書館で本を借りてきた。展覧会でも、各作者の説明があったのだが、本を読むと別の見方が出てきて面白かった。どのような背景で、それぞれの絵が紹介されているのか、展覧会の時には考えていなかった結びつきがわかった。もちろん実物を見た時の迫力には及ばないが、図版も大きくてわかりやすかった。

  • 展覧会も見に行ったけど、本で更に解説を読む事でより面白さが増した。

  • 図版が大きく見やすいが、文中に紹介されている作品で、図版がないものもあるのが残念。
    以前から馴染み深い、若冲、蕭白、蘆雪については、理解しやすかった。
    まだ発見されていない作品が、今後見つかるのが楽しみ。

  • お抱え絵師からは生まれなかったであろう、当時としては型破りな作品が並ぶ。6人の絵師と作品が紹介されるが、絵図の点数の多さ、それぞれの鑑賞ポイントの確かさは初心者にも充分楽しめる内容で、それが本書の息の長さに繋がっていると思う。グロテスクさを含むインパクトある絵が、幕府を批判しない限り、認められ受け入れられてきた事に、江戸期の豊穣さを感じもした。

  • 東京都美術館の奇想の系譜展を見て、気分が高揚した状態で購入。絵は勿論、生で見た方が良いけれど、本として手元に置いておけるのはありがたい。何より、辻氏の文章が、味わい深く、くすりと笑えるところもあり、それでいて、鋭くもあり、貴重な情報も盛りだくさんである。

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著者プロフィール

東京大学名誉教授/多摩美術大学名誉教授

「2021年 『日本美術の歴史 補訂版』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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