はるとあき

  • 小学館
4.26
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本棚登録 : 540
感想 : 56
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  • Amazon.co.jp ・本 (32ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784097268505

作品紹介・あらすじ

そうだ あきに てがみを かこう

春夏秋冬と季節は巡ります。「私はあきにあったことがない。」そう気づいたはるは、あきに手紙を書くことを思いつきます。そこから始まる、はるとあきの往復書簡。忘れつつある大事なことを、思い出させてくれます。

【編集担当からのおすすめ情報】
永遠に会えない運命なのに、心を寄せ合う二人。古風な「手紙」という方法でやりとりするかわいい姿や、その内容は、少しもの悲しくも、心をほんわか暖かくします。美しい文章と、それに寄り添うかわいい絵で、忘れつつある大事なことを思い出させてくれる、新しい名作の誕生です。

感想・レビュー・書評

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  • 絶対に会えない春と秋が文通を始めた。
    お手紙を書くことで知る自分のいいところ。
    間に入ってくれる夏と冬もいいやつだよね。
    気付かなかったけど冬に言われて知った自分たちがそっくりなこと。
    決して会うことは叶わないけどずっと心の友達。
    なんかそんな関係も素敵だなと思った。

  • 吉田尚令さんの子どもの絵って、可愛らしいさや、センチメンタルな雰囲気を持ち合わせていながらも、永遠や儚さも連想させられ、時折、妖精のように見えてくる、素朴だけど普遍性を感じる佇まいが好きです。

    また、それに加えて、斉藤倫さんと、うきまるさんによる、まさに目から鱗の、瑞々しさと新鮮さが宿る、季節を擬人化したような物語は、改めて、忘れかけていた素晴らしいことを、教えてくれます。


    はるが目を覚ますと、ふゆのところへ行き、「そろそろ こうたいね」といい、なつがやってくると、「あ いちねんぶりに なつが きた」と、はるは言い、眠りにつく。

    そういえば わたしは あきに あったことが ない

    そして、はるは、あきへ手紙を書こうと決意して、はるは、それをなつに託して、あきは、その返事をふゆに託すといった具合に、以降、はるとあきとの、手紙のやり取りが続き・・・


    はるやあきの書く、手紙という、やさしく心に残る形式が、吉田さんの、柔らかく落ち着いた、メルヘンチックな絵柄と合わさることで、読み手の心は、ぽっと温かくなり、はるはあきの知らないことを、あきははるの知らないことを教え合っている内に、いままで気付かなかった自らの季節の良さを、実感していく。

    それは、私たちも同様で、春にはこんな良いところが、秋にはこんな良いところがあったんだと、気付かせてくれて、こうしたことを気付かせるための、物語の作り方が、独特で上手いなあと思ってしまいます。

    『わたしたち おなじもの みてるのに こんなに ちがうんだ』


    と同時に、実は共通点もあることを、教えてくれます。

    『あら きづいてなかったの あなたたち そっくりよ あつすぎないし さむすぎなくて とても やさしい きせつ』

    考えようによって、ある意味ふたりは、織姫と彦星よりも辛いのだけれど(彼らは年に一度は会えるからね)、それでも読めば、きっと、はるとあきがますます好きになること、間違いありません(私は、元々、春も秋も好きですしね)。

  • はるとあき
    2019.05発行。字の大きさは…大。
    皆様のレビューを見て手に取りました。

    文章は、斉藤倫(りん)さん、うきまろさんです。
    絵は、吉田尚令(ひさのり)さんです。

    絵を見ていると、やわらかく、落ち着いた筆遣いで…癒されます。
    この物語は、やわらかな春が、自分(春)の知らない凛とした秋に手紙を書きながら、自分(春)を知ることです。
    そして、冬は言います「気づいていなかったの、あなたたち、そっくりよ、暑すぎないし、寒すぎなくて、とてもやさしい季節」。春も秋も会えないけど、そこに居るって知っている。会えなくてもずっと素敵な友達です。

    【読後】
    私は、厳しい冬が過ぎ桜を見ると、
    「あ、あぁ……」
    「今年も桜が見えた……」
    「来年も……」
    と、思います。
    ひとつの季節ごとに、生きている喜びを噛みしめています。
    この夏は、特に厳しかったです。
    次の春は、美しい可憐な桜に会えることを楽しみにしています(⌒-⌒)ニコニコ…
    2020.09.12読了

  • ページを開くたび
    心ときめく春夏秋冬の美しい絵

    あえないけど
    自分が知っていることを伝えたくて
    自分の知らないことを 教えてもらって
    自分のいいところにきづく

    ほんわか幸せで
    少し切なくて
    でもあったかい気持ちに包まれる素敵な一冊。

  • はる、なつ、あき、ふゆ、とバトンタッチしながら巡ってゆく四季の、はるが主人公のお話。
    はるが、一度も会ったことのないあきへ手紙を書いて、なつに託す。すると次の年、ふゆがあきからの手紙をはるに渡してくれて、そうしてはるとあきの文通が始まった。絶対に会うことのないふたつの季節の往復書簡はなんとも穏やかでよい感じ。それを見守る爽やかななつとふゆもいい味だしてる。
    なぜか泣いてしまった。泣くほどのことないだろと自分でも思う。

  • 「あえなくても ずっと すてきな ともだち」

    春と秋の手紙のやり取りです。なぜかわかりませんが、涙が溢れてきました。あきはどんな子なんだろうと読み進めていくうちに、二人の言葉に感動していきます。

  • とても美しいお話
    絵もほんわりと
    そうだねえ。決して出会わないんだねえ
    それでも一通の手紙を通して心を通わせていく
    空も木も花も見えるものが違うよね

    ≪ 春と秋 交わることなく 愛おしむ ≫

  • 会うことはできないあきとの往復書簡。切なくなりました。でも、会えないからこそ、手紙っていいなぁと思いました。書きたくなる相手がいるって素敵。相手からのお返事を読むのも楽しみ。

  • はるとあきは、隣り合わせの季節じゃない。
    だからお互いがどんな季節なのか知らない。
    お手紙を交換するうちに憧れあう2人。
    次第に、なんだか自分がちっぽけに思えてくる。


    よく人と自分を比べてがっかりしたり、
    悩んだりする。
    こんな時に読みたい絵本。
    あの人はすごいなって思うけど、
    自分を見つめるとたくさん素敵なところがあるんだよね。
    そして、会えなくてもお互いのことを分かり合える関係、うらやましい。
    それは、きっと、お互いのことを思いながら
    自分のことを相手に伝えられているからだよね。

  • ひとを想うって、いいことですね…

    斉藤倫さんの本はどれも優しくて好きですが、
    この本はピカイチです。
    隣り合わない季節を題材にするという発想が天才。

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著者プロフィール

斉藤倫 詩人。『どろぼうのどろぼん』(福音館書店)で、第48回児童文学者協会新人賞、第64回小学館児童出版文化賞を受賞。おもな作品に『せなか町から、ずっと』『クリスマスがちかづくと』『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』『さいごのゆうれい』(以上福音館書店)、『レディオワン』(光村図書)、『あしたもオカピ』(偕成社)、『新月の子どもたち』(ブロンズ新社)』絵本『とうだい』(絵 小池アミイゴ/福音館書店)、うきまるとの共作で『はるとあき』(絵 吉田尚令/小学館)、『のせのせ せーの!』(絵 くのまり/ブロンズ新社)などがある。

「2022年 『私立探検家学園2』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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