地下鉄

  • 小学館
4.07
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感想 : 42
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  • Amazon.co.jp ・本 (120ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784097273622

作品紹介・あらすじ

台湾から世界にブレイク。切なさが心にしみるベストセラー大人向け絵本。

台湾で大ベストセラーとなり、心にしみる言葉と美しく繊細な絵で、アジアから欧米へと人気が拡大しているジミーの大人向け絵本第3弾です。視力を失ってから閉じこもるだけの生活になっていた少女はある日、一歩を踏み出すことを決意します。「どこまで行けば、幸せに会えるのだろう?」地下鉄に乗って、少女の旅は始まります。忘れていた子どものころの思い出へ、まだ見ぬ未来へ、心の底に沈めた悲しみの世界へ……。あきらめと希望、悲しみと喜び、闇と光……、様々な思いが交錯する中、少女は音で、香りで、自分の生きている世界を感じ、ときにつまずき、迷いながらも、明日へ手をのばす勇気を手にするのです。一歩踏み出す勇気を与えられる一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 再読。何と言っても丁寧で繊細なジミーさんの絵がステキ。視力を失った少女の絶望と希望がジミーさんの優しさに包まれた絵と言葉で描かれている。一歩踏み出す勇気を与えてくれるとともに、幸せとは何かを考えさせられる絵本。最後にリルケの「盲目の女」の詩が載っていたり原題が「S ound of Colors」ということもあってか、どのページからも音が聞こえてくるような感じがした。

    心に残った言葉
    ・幸せは ほんの近くに 隠れているかもしれない
    ・飛び立つ勇気があれば 苦しみから逃れることができる
    ・明日を信じる心があれば 道を見つけることができる
    ・つまずき ぶつかって やっと気づく 求めるだけでは 手に入らないのだと
    ・私も 探してみよう
    ・心に輝き始めた かすかな光を

  • 台湾の絵本。
    15歳の盲目の少女のモノローグ。

    原題は、"Sound of Colors"、直訳すれば「色の音色」。
    絵本の最後の部分で、主人公の少女は語る。
    ・・・・・・・・・・・
    私も 探してみよう
    真っ赤な りんごを 金色の 一葉を
    心に輝き始めた かすかな光を
    ・・・・・・・・・・・

    それに対応する形で、リルケの「盲目の女」の詩で物語は締めくくられる。
    ・・・・・・・・・・・
    今を生きずに いつ生きるというの
    すべての色は 音にかわり 香りにかわる
    すべての色は 限りなく美しい音色で応えてくれる
    たとえ本を読むことができなくても
    木々の間をぬけて吹く風が ページをめくり
    私に 優しく物語を きかせてくれる
    そして 人の命を 花のようにつみ取る 死さえも
    もはや 私の目を つみとることはできない
    ・・・・・・・・・・・

    盲目の少女が希望を取り戻すところで物語は終わるが、それまでの間に、少女は希望と絶望を繰り返し味わうし、この物語の後で少女が希望を持ち続けるかどうかも分からない。しかし、少なくともそのような希望を持ち続けることが出来る可能性を示唆して物語は終わっている。
    絵本の文章のボリュームは小さいが、絵のボリュームは膨大。温かい雰囲気の絵柄と色使いにも希望を感じることが出来る。

  • 【45】「地下鉄」ジミーさん作・絵 宝迫典子さん訳 : 【号外】やまねこ新聞社
    http://blog.livedoor.jp/yamaneko0516/archives/9336313.html

    地下鉄 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09727362

  • 光を失った少女が、悲しみ、苦しみながらも前向きに歩んでいく姿が、ジミー・リャオ氏のロマンあふれる筆で描かれている。車両には、他作品の登場人物も乗り合わせており、探していくのも楽しい。

    物語だけを追うと、主人公の少女にとっては壮絶な体験なのだが、作家の愛情、熱情で展開する絵柄は心を温かくしてくれ、未来への希望が見えてくる。メトロ構内の長い階段や地上に口を開けているメトロ入口などが、台北の原風景と重なって、ページをめくっていて懐かしさを覚えた。

  • 内に閉じこもってばかりの盲目の少女が一歩を踏み出す。
    地下鉄に乗ってどこまでも、果てしない旅が始まった。
    光のない暗闇で、迷いながらも少女が見出だしたものは希望・幸せ・光。

    鮮やかな色彩に力強い言葉が宿る。
    これ以上一歩も踏み出せずどうどう巡りにさ迷う人々に対し、作者からの心のこもったメッセージが心を打つ。
    大丈夫だよ、と救いの手が差し伸べられる。
    「つまづきぶつかってやっと気づく。求めるだけでは手に入らないのだと」
    やがて少女は自らの意思で旅を終えるのだ。

    落ち葉の中に隠された金色に輝く"幸せの一葉"を、私もあの少女のように見つけることができるだろうか。

  • 三部作の中でこの本が一番好きだな。

    最後の

    〝今を生きずに 一を生きるというの
     すべての色は 音にかわり 香りに変わる
     すべての色は 限りなく美しい音色で応えてくれる
     たとえ本を読むことができなくても
     木々の間を抜けて吹く風が ページをめくり
     私に 優しく物語を きかせてくれる
     そして 人の命を花のようにつみ取る 死さえも
     もはや 私の目を つみとることは できない

     リルケ「盲目の女」より〟

    もし、目が見えなくなって本が読めなくなったら、この詩を思い出したい。

  • ジミーさん素敵!不思議な世界観を持つ絵は勿論のこと、宝石のように輝く詩がとても美しい(*´∇`*)♪主人公を盲目の少女にしたのは、現実から目を背けてさ迷う現代人の象徴なんでしょうね。「つまずきぶつかってやっと気づく 求めるだけでは手に入らないのだと 私は帰ろう私の世界へ うわさ話などあとに残して」という言葉が好き。でも読むたびに心に響く言葉が変わるんだろうな〜という印象を受けました。辛く哀しい気持ちに陥った時、そっと傍にいてくれる、優しさ溢れる素敵絵本です♪他の方の感想で、『君のいる場所』の男女、『君といたとき、いないとき』の月と少年、彼等が登場していることを知りました(O_O)!よく見ると、『君の〜』の二人はちゃんと逆方向に歩いていたり、『君と〜』の少年は月を抱えていたりと、前2作ファンも楽しめる工夫がされていて良いですね〜♪ジミーさんの絵本、ますます購入したくなってきた…!でも本屋で見つけるの困難らしい(-.-;)素敵な作家さんなのに勿体ないな〜。

  • 原題「Sound of Colors」

    地下鉄の入り口で
    天使に「サヨナラ」と
    言われた日から
    私の目は
    少しずつ 見えなくなった

    からはじまる本。冒頭からぐっとくる。

    『今を生きずに いつを生きるというの』
    という部分が心にのこる。

    盲目の少女が鮮やかな世界に飛び込むものがたり。
    ジミーさんの独創的なデザイン性やレイアウトがすてきな一冊。

  • 希望は光ではない

  • 絵本だし、文字数少ないし、と手に取ったら、とても深い内容でした。心にぐさりとくる言葉や、背中を押してくれる言葉の数々。何度も読みたい一冊です。

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