これだけは知っておきたい「名画の常識」 (小学館101ビジュアル新書)

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レビュー : 18
  • Amazon.co.jp ・本 (191ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098230198

作品紹介・あらすじ

「なぜヴィーナスは裸なのか?」「なぜ天使の羽は白いのか?」「頭上に光る輪の描かれた人々は誰なのか?」…。名画鑑賞の際にもっともわかりにくいのは、西洋絵画の大半を占める、神話や宗教を描いた作品です。本書は、名画鑑賞に際しての「基本の基本」ともいえる素朴な疑問、知っているようで実は知らない事柄、何を調べたらよいのかわからない事柄に、わかりやすく答える本です。名画に隠された「仕掛け」と「仕組み」を明らかにし、絵画鑑賞をより豊かで楽しいものにする、「名画の常識」満載。

感想・レビュー・書評

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  • 第一章~四章はキリスト教絵画とギリシャ神話をモチーフにした絵画の解説 キリスト教やルネサンスの思想・哲学を通して絵画の持つメッセージを明らかにしている ルネサンス期の思想に基づいた聖母マリアの容姿の理想化の話が面白かった 第五章では寓意画の解説 ジョルジョーネの≪嵐≫やティツィアーノの≪田園の奏楽≫のような、未だにその解釈に定説がつけられていない寓意画はミステリアスで非常に魅力的だと思った

  • なぜヴィーナスは裸なのか?西洋絵画に裸体が多いのは、人間の肉体こそが「美の基準」であるとするルネサンスの考え方が今日に至るまで認められているからだ。美大などの授業で裸体デッサンが取り入れられているのも同様の理由と考えられる。

  • 色んなお約束をキリスト教や歴史とともに解説してくれている。このシリーズ、他のも借りてみよう。

  •  中村麗(うらら)著『これだけは知っておきたい「名画の常識」』(小学館101ビジュアル新書/1155円)読了。

     西洋絵画の出発点ともいうべき、15~16世紀の名画の数々を題材に、絵画の常識・約束ごとを紹介した“西洋絵画の見方入門”である。
     当然、多くの絵画がキリスト教の教義(やギリシア神話)にかかわってくるので、“絵画をフィルターにしたキリスト教入門”としても読める。

     この手の「絵画の見方入門」はほかにもたくさんあるが、私には本書がいちばんわかりやすくて面白かった。オールカラーなので、著者が解説する“絵画の仕組み”が目で見てわかるし、見ているだけで愉しい。

     書名のとおり、絵画にくわしい人にとっては本書の内容は「常識」なのだろうが、私にとっては新鮮な知識満載の本であった。

     とくに「へーっ」と思った箇所を引用する。

    《西洋絵画に裸体画が多いのは、ルネサンスに生まれた人間の身体に対する「肯定的な表現」によって象徴される、現実世界に対する考え方が、今日に至るまで生き続けているからであり、人間の肉体こそが西洋絵画における唯一の「美の基準」として今日まで認められているからなのだ。
     その卑近な例として、美術学校における裸体デッサンを重視した教育方針を挙げることができる。21世紀というコンピューター・グラフィックス全盛の時代に、美術学校ではなぜ相変わらず裸体デッサンが必須となっているのだろうか。(中略)その真の理由は、人間の肉体(裸体)こそが「美」の唯一の基準であるとするルネサンスの考え方が現在まで継承されているからなのだ。》

     一般向けの美術館などなかった当時、教会に掲げられる宗教絵画は民衆と最先端の絵画をつなぐ唯一の接点でもあったわけだが、初めて遠近法を使った絵(マザッチョの『聖三位一体』1427~28)も聖堂壁画であった。

    《これまで誰も見たことのない奥行き、初めて見る、まるで壁の向こうに現実に空間が広がっていて、その中に入って行けるかのように見える絵画。これ以降の西洋絵画の、いわば根幹となり大原則ともなった遠近法は、一般市民の目の前で誕生したのだ。それはまさに、時代の大きな変化に立ち会うような、奇跡にも似た衝撃的な出来事だっただろう。》

     初めて遠近法に触れて驚嘆する民衆の姿が、目に浮かぶようだ。ちょっと感動的。

  • 読了。

  • 美術館にはよく行くのだが、絵画の背景が分かっていないので、少しはインプットしようと思い、購入した書籍。フィレンツェ、メディチ家、ルネサンス、ボッティチェリを見た直後だったのでとても分かりやすかった。
    宗教画は民衆にキリスト教の教えを理解させるためのものであり、繰り返し同じ題材が取り上げられている。キリスト教の概要も少し分かったが、場面や人物のお約束が目印として描き込まれていることを知る。
    寓話画は特定の人のために描かれたもので、当事者だけにしか意味が分からないものも多く、今となっては意味不明ということもあるらしい。そういう絵もよく見るが、当事者がいないとどうしようもないよな。永遠の謎ということか。
    こういうことを知っていて絵を見ると、また違った印象になるのだろう。これからの美術館が楽しみだ。

  • 当たり前のこととして見逃している、名画の常識を改めてわかりやすく問う本。
    ヴィーナスはなぜ裸なのか、天使の羽はなぜ白いのか、寓意とは何か。

    宗教的な考え方がしっかりと根付いていない文化では、どうしてもピンとこない部分もある。

    教会に飾られる絵は、見て楽しむという「鑑賞」が目的ではなく、「信仰について学ぶ」「信仰心を呼び起こす」「聖書の物語を覚える」といったように、キリスト教の伝導という役割を持っていた。
    いろんな画家が同じ場面を絵にしていて、少しずつ違うけど、大枠が共通しているのはそういう事情があるから。

    宗教画は、幅広い人に知識や物語の内容を伝えることを目的としていたが、寓意画は、限られた人(知的な特権階級に属する人)を対象としていた。
    一種の謎解きのようなもので、たとえば「犬」にどういった意味がこめられているか、知識を持っているかどうかが試される。

    なるほどと思った。
    絵が書かれた目的を考えると、もっと、理解が深くなる。

  • 読んだかなこのへん

  • これがまとめ買い&一気読みの四冊目。
    四冊の中ではこれが一番面白かった。
    絵画を見るようになって最初にハマったのが印象派だったのだが、途中から宗教画や歴史がなど何かしらの意味を持つ絵画に興味をそそられるようになった。
    印象派の絵を見る楽しみは、何というか綺麗な風景を眺めている感覚に近い。
    それに比べて、何かしらの意味を持つ絵画は見ていても飽きないことが多い。
    何を言わんとしているのか、絵の中の細かい部分がどんな意味を持つのか、なんでこんな絵が書かれたのか、などを考えると全く違った楽しみ方ができる。
    そんな味わい方のヒントを解説してくれているのが、この本だった。
    ミケランジェロの最後の審判中の裸体画の意味や、ボッティチェリの春やヴィーナスが描かれた訳、などなど。
    絵画中の天使、ユリの花、光の輪、犬などなど、すべてが何かしらの意味を持っているという。
    それがいわゆるシンボル、象徴であり、共通の意味を表すおきまりなんだそうだ。

    特に宗教画の中でも、聖書の中の有名な場面、例えば「受胎告知」、「東方三博士の礼拝」、「最後の晩餐」などは、通常協会に飾られるために描かれたものであり、一般の信者に対しての教育の意味を持っていたらしい。
    それに対してシンボルを使って描かれた絵は、分かる人にだけ向けて描かれたものであり、ある意味インテリや知識人の間だけで通じるものだったのだそうだ。
    だから現代でも未だに意味の解き明かせないシンボルが使われている絵画もあるそうで、このあたりが絵画研究の面白いところなんだそうだ。

    こういった背景を知れば知るほど、益々深みにはまっていきそうである。

  • 西洋画・特に宗教画にはルールがある。

    それを理解すると絵を観ることが楽しくなる。

    バラはヴィーナス
    13名で男が食卓囲めば「最後の晩餐」など

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