誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ (小学館101新書)
- 小学館 (2008年10月1日発売)
- Amazon.co.jp ・本 (196ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098250028
作品紹介・あらすじ
月刊誌『和樂』にて源氏物語を題材にした小説を手がける恋愛小説の名手・林真理子氏と気鋭の平安文学研究者・山本淳子氏による「源氏物語」対談集。平安時代の恋、華麗なる登場人物、「源氏物語」の小説としての魅力など、目からウロコの話が満載。「源氏物語」を読んだ方も、これから読もうとする方も、漫画や教科書でしか読んだことがない方も楽しめる「源氏物語」の入門書。
感想・レビュー・書評
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「枕草子のたくらみ」以来の、山本淳子さんによる本。
今回は林真理子さんとの対談で源氏物語についてお話がすすむというつくり。
登場人物の関係図などもいくつか織り込まれ、大変読みやすい一冊になっている。
「はじめに」の部分を林さんが執筆され、若干の軽さに不安もあったが読み進むにつれ楽しさに変わってしまた。
面白さはやはり、林さんの女子高校生のような視点で、それに対して山本さんが(おそらくは困惑しながら)真摯に受け止めて答えるという、対照的なふたりの会話につきる。
例えば林さんは、源氏物語の最大の疑問は「顔も見たこともない女をどうして愛せるのか」だと言われる。「恋愛=妄想だもの。そんなこと思わないけどな」と思わずツッコミを入れてしまう私。
それに対する山本さんの答えで古の人々の想像力の高さを知り、現代に生きる私たちこそ「あさましい」のかなと考えさせられる。
ひとつずつのテーマに沿ってふたりの対談があり、いつの間にかこちらも林さんと同じ生徒の気分になって、たくさんの学びを与えられた。
千年もの間この物語が愛されたのはなぜか。
紫式部の人生とはどんなものだったのか。誰のために書いたのか。
サイドストーリーの面白さは。そして光源氏の年収はどのくらいか。
鎌倉時代や江戸時代のひとびとも読んだのか。
そもそも、なぜこんなに面白いのか。
わずか192ページとは思えないほど中身は深い。
最後のお楽しみに「あなたはどのタイプ?源氏物語女君テスト」というのが載っている。
イエスorノーで進んでみたら、なんと夕顔タイプだったのがいとおかし。
そして「あとがき」はやはり山本さん。
対談では及ばなかった源氏物語の魅力を、真摯に語っている。ここがとても良い。
古文の特徴で主語が省かれるため、誰が誰に言っているのか曖昧で分かりにくく、いつも中途挫折してきた源氏物語。今度こそ読破しようと、今画策中。
ブク友さんのレビューに触発されて読んだ一冊。とても楽しく読めたことに感謝です。 -
フォローしている方たちのレビューを読んで、図書館で借りる。
すぐにレビューを書かなかったので、かなーり記憶がおぼろげになってしまった。
源氏物語といえば、中・高時代にはまった大和和紀さんによる「あさきゆめみし」。
それ以前、中学時代に氷室冴子さんの平安朝少女小説「なんて素敵にジャパネスク」や「ざ・ちぇんじ」にもはまっていたのを思い出す。
そのおかげで、古文のハードルはかなり下がって楽しく学べた思い出も。
この対談を読みながら、そんな過去の自分を思い出しつつ、見た目よりセンスの良さが重視された彼の時代への憧れが再燃した。
2021.3.28 -
林真理子さんが訳された「源氏物語」を近いうちに読んでみたいと思いつつ
源氏物語に纏わる様々な書物を模索している中で本書に出会いました。
「源氏物語」の研究家でいらっしゃる山本淳子氏と、林真理子さんのお二人が
対談しながら「源氏物語」の世界を紐解いていくといった内容です。
「源氏物語」そのものはまだ読み始めたばかりなので、今の段階で
こちらを手にするのはまだ早いのかもと少々不安になりながらも
超初心者のこんな私にも何か得られるものはないだろうかという期待もあって
少しドキドキしながらページを捲っていくと....冒頭から
"「源氏物語」を読む前に知っておきたいこと"としての山本氏からの解説があり
もうそれだけで気持ちは大いに安堵。それと共に嬉しさも増して
楽しく読み進めることができました。
「源氏物語」の物語そのものの解釈と解説に触れていることはもちろんですが
著者である紫式部は当時どんな人物であったか、なぜこんな物語を描くに至ったのか
当時誰が読んで楽しんでいたのか、ベストセラーとなった所以は?等々..
物語の内容以外で疑問に思っていたことや不思議に感じていたこと
些細だけどもなぜだか気になっていたことなんかにも、応えがするすると出てきて
今読んでいてよかったと嬉しい気持ちになれた一冊でした。
今後「源氏物語」を読み進めていくにあたっての読み取り方の参考になりました。
未読部分についてのあらすじを浚っていくのにも役立ちます。
意味理解の参考書としてもまた開くことになりそう。-
yumiieさん 、こんばんは(^^♪
ご紹介いただいたこの本、おかげさまでとても楽しく読みました!
小さなトリビアもいっぱいあって、源...yumiieさん 、こんばんは(^^♪
ご紹介いただいたこの本、おかげさまでとても楽しく読みました!
小さなトリビアもいっぱいあって、源氏物語に対する眼が変わりましたよ。
yumiieさんのように品良くまとめられませんでしたけど・笑
ところで、本棚を非公開に設定しました。
タイムラインというものにどうにもこうにも疲れてしまって。
ずっと悩んでいたのですが、ひとりコツコツと記録する方を選びました。
せっかく仲良くして下さったのに、申し訳ありません。
でも、これからも時々のぞきに来させていただきますね。
これまでありがとうございました。2018/12/06 -
nejidonさんこんにちは♪
まぁ嬉しい!さっそくお読み頂いたんですね♪^^
こんなふうにして素敵な本に巡り合っていけることは
ブク...nejidonさんこんにちは♪
まぁ嬉しい!さっそくお読み頂いたんですね♪^^
こんなふうにして素敵な本に巡り合っていけることは
ブクログさんで出会ってお互いにフォローしあって
お友達になって頂けたおかげ。私もnejidonさんと出会えたおかげで
読みたい本の視野が広がってわくわく度がずいぶんアップしました。
ほんとうに嬉しい限りです。いつもありがとうございます。
だけどその一方で管理してくのに疲れてしまうというのもありますね。
私も体調を崩してからは自身のレビューを書くことすら追いついていかず
たまる一方で、やはりもうやめようかと思ったことが何度かありました。
それでも本読みがやめられないのなら、ブクログもできれば続けていきたいし
ならばのんびり行こう、ぼちぼちゆっくりマイペースでいいといいきかせ
これからは(今までも?笑)身勝手気まま気長に投稿していこうと思っています。
だけどnijidonさん、体調をお悪くされたのではないようなので安心しました。
くれぐれもご自愛くださいませね。風邪ひかないように。
そしてこんな私の本棚でも何かnejidonさんのお目に留まる本がありましたら
いつでもお立ちより(コメント)ください。
遅れてしまうこと多々ですが(ごめんなさい)必ずお返事いたします。2018/12/08
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「だれも教えてくれなかった『源氏物語』の本当の面白さ」
2023年1月28日読了
作家の林真理子さんと研究者の山本淳子さんの対談をメインとした本書。
「顔を見ないで恋愛をするってどういうこと?」といった素朴な疑問や、現代人の感覚に基づく感想をおりまぜながら進むため、とても読みやすい。
当時の知識人が紡ぎ上げた最高のエンターテイメントであり、わかる人にはわかる教養を惜しげもなく取り込んだ古典文学。
だからこそ、1000年という年月を経ても色褪せないのだろう。やはり原点にして頂点といったところか。
源氏物語って古典で読みにくくて、すごく敷居が高いイメージがあったけど、恋愛小説としの面、政治ドラマとしての面など、さまざまに読み解くことができる源氏物語をきちんと読んでみたくなった。 -
源氏物語、敷居が高いなぁ…と思っている方にはおすすめである。私が今まで読んだ源氏本の中では、割とライトなノリでとっつきやすく読みやすかった。
というのも、林真理子が「源氏物語」に対して抱く疑問が、読者目線というか…今まで聞きたかったけど聞けなかったようなものだったから。その疑問の中でも、やっぱりこれは最も気になるでしょう!?というのが「どうして顔も見たこともない女を熱烈に愛せるのか」ということ。女性の気持ちも何もあったもんじゃない平安時代の強引な「結婚」に、正直、「ありえない!」「無理!」と思っていた私なのだが、当時の恋愛重視ポイントを知ると、むしろ現代の方が視覚的な要素に大きく左右されすぎなんだということに気付く。
これ以外でも、「林さん、よくぞ突っ込んでくれました」ということ多数。時々は林さんの鋭い突っ込みに噴いてしまったり(笑)そんな鋭さのおかげで、ライトに楽しめるだけではなく、今まで知らなかった源氏の新しい面白さや作者・紫式部の素顔を知ることができた。
平安文学研究者の山本淳子さんによる「源氏物語女君テスト」なるイエス・ ノーチェックはユニークだったな、私が挑戦したら畏れ多くも「藤壺」だったんですけど(笑)山本さんの源氏解釈も、とてもわかりやすくかつ斬新だった。「物語」といえど、実は歴史の一部と重なるところもあり…とはいってもリアルすぎずにうまくフィクションであり。これをきっかけに、モデルとなった人物らについても知りたいと思ったり…。
そして、近いうちに「林」源氏も読んでみたいなと思っている。林さんが描く六条御息所、すごそうだな…。 -
p.2008/10/1
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読む前に知っておきたい:
サブカルチャー物語から飛び出した傑作
書き写され伝えられる
平安文化の遺産
スター千一夜:
恋の暴れん坊将軍ー光源氏
生霊セレブ六条御息子所の怨念
元祖マザコン光源氏
明石の君・平安女性の幸福観
極上の恋愛サスペンス:
天才作家・紫式部
現代人にも通じるリアリズム
平安時代の男と女:
年収4億円・光源氏のセレブライブ
平安美人の条件ー見た目は二の次・三の次
平安の姫君・ゴシップやスキャンダルに怯えていた
なぜ千年間読み続けられたのか:
時代を支配した思想の中で理解された
本居宣長の読み方が現代につながる
汲めども尽きぬ深さと魅力・影響力
ほんとうにあった『源氏物語』 -
『源氏物語』の面白さを知っている人は、更に面白くなるような内容もあったが、初歩的な導入にとどまったものだった。林真理子✖️山本淳子の対談形式の部分が多かったのは飽きるところもあったので、もう少しバランスよく編集してほしかった。
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借りたもの。
時代を経ても愛され続ける――日本人のアイデンティティとも言える――『源氏物語』の魅力とは何か。対談形式と簡潔な解説により、多角的な視点から解説する。
『源氏物語』が紫式部ひとりの手によって全て書かれたわけではないこと……不本意ながらも散逸し、平安当時でも2つのバージョンが存在したこと、最古の源氏物語は鎌倉時代の写本であること等、成立の話からも興味深いものだらけだった。
また、『源氏物語』が宮廷文化を今に伝える文学、長編恋愛小説といった物語的な部分だけでなく、楊貴妃を彷彿させる桐壷、『伊勢物語』の行のオマージュ、家臣に下りながらも天皇に返り咲いた宇多天皇を想起させるといった、当時の教養を刺激するものであること、実際、宮中で行われた摂関政治の権力闘争などの政治小説とも読めることなどを紹介。
対談形式で当時の宮廷文化がどのようなものであったか、細かい描写に込められている「何故その描写が必要だったか」を解説している。
平安時代などでは顔の見えない相手とのわずかなやりとりに相手の心を感じとっていましたが、SNSから始まる恋愛が現...
平安時代などでは顔の見えない相手とのわずかなやりとりに相手の心を感じとっていましたが、SNSから始まる恋愛が現実化しだした現代では新たな恋愛の形として古き良き方法が繰り返されてるのかもしれませんね。
コメントありがとうございます。
そうですよね、この本にもそういうことが書かれていました。
コ...
コメントありがとうございます。
そうですよね、この本にもそういうことが書かれていました。
コメントをやりとりさせていただいたマリモさんも書いてくださってました。
とどのつまり恋愛って妄想ですから!(究極すぎる…笑)
読者家のペンギンさんが興味を持ってくださって嬉しいです。
これからもよろしくお願いします♪
恋愛は妄想だからこそ楽しい部分もありますしね
恋愛は妄想だからこそ楽しい部分もありますしね