未来のための江戸学 (小学館101新書 52)

著者 :
  • 小学館
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レビュー : 14
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098250523

感想・レビュー・書評

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  • 江戸時代を参考に現代との思想、哲学の違いから本質的な考えや物質社会との関わり合い方などある意味生きるヒントを提示してくれる。

    また、鎖国と言われながらもその当時の諸外国との関係性はすでにグローバル化しており、その理由を教えている。

    アメリカや中国との関係もしかり今後日本が社会問題に対して、どう向き合い対応して行くのか課題は多い。

    そんな中、物は基本、人間と同様にいつかはなくなり自然に帰るものであり、世界は循環していく社会が必要であると著者は述べていると思う。また、それは過去の歴史が教授してくれるとも言っている。

    これらのヒントが日本だけでなく世界で起こっているグローバル問題を紐解く鍵の一部になるのかもしれない。


  • 3

  • 未来のための江戸学 田中優子 小学館

    未来を奪い合う金融と過去を引きずる執着と権利による
    右肩上がりのみの競争という暴力社会でなく
    循環のプロセスを大事にする全ての部分の
    それぞれが創る価値観を磨きだす

    その教科書として江戸の内需中心の循環思想と暮らしがある
    今を中心に過去の経験を参考に未来を描く
    自分と相手の距離間を見い出す自在性と自由は違い
    自由は勝手という距離感を踏みにじる暴力を内包している

    非暴力なしに武装解除できないし
    正当化された抑止力で平和を作ることもできないし
    嘘や秘密でごまかしても必ず化けの皮が剥がれるし
    力ずくで調和するダンスを踊ることもできない(51)

    江戸も非暴力で無かったが利己に価値をおかず
    利他性を重んじる仏教や儒教の教えが浸透した意識があり
    「強欲と浪費」よりも「配慮と節度」を
    大事にする価値観があったのだろう(52)

    江戸は世界で最も大きな人口を持つ都市だったという
    下水の代わりに農家における肥料として
    換金の仕組みであるくみ取り制度が行こわたっていたし
    水道も江戸中の巷まで行き届いていたというから
    非情にきれいな都市だったようだ

    問題を孕む参勤交代だがそれによって経済の循環もあって
    分中の発展をきたすと同時に内需による循環を可能にした
    税制が一次産業にのみ偏っていることで
    商業やサービス業を甘やかす結果を招いた
    産業革命と植民地を求める大航海につながるヘーゲルから見ると
    内需による安定した循環経済も退廃する鎖国として
    避難しなければならないのだろう
    鎖国と言う言葉も後々つくられたものであって
    キリスト教の布教を含めた西洋からの商人なども
    朝鮮人も中国人も琉球からの使節団も参勤交代と同じように
    ニホンを徒歩で縦断させることで様々な接触と情報を
    世間にもたらしていたという
    江戸での西洋医学の発展や銅版画や写真やレンズの国産化や
    博物学図版や書籍の輸入と国産化や学校制度や技術のマニュアル
    などなど多くの情報を巷に取り込んでいた
    江戸幕府が嫌っていたのはカトリックを尖兵とする
    「善意」を装った侵略であり無限拡大思想だったのだという

    経済とは国土を経営し物産を開発し内部を富豊にし誰もが貧困に
    落ちこぼれないようにすることだという

    民主主義が誠でありお互いの自由が本当に守られるのであれば
    暴力や軍隊や警察国家による脅迫の必要などないだろう

  • 今にあって、江戸時代にないもの…

    江戸時代ものですが、少しばかりこの本は
    見方が違った感じで新鮮さすら感じさせてくれます。
    まず、かの将軍に関して酷評していますから。
    (まあ、現実に性的嗜好も批判されるような…)

    この本でのメインとも言えるのは、
    幸せに関する捉え方の差異。
    実際に現代での幸せは「ものあること」に
    重きが置かれがちです。
    (かという私もそうですが)

    だけれども、本当の「幸せ」は
    江戸時代の人のほうがしっかり
    答えを持っていたのかもしれません。
    彼らは足るを知っていたのですから。

  • 江戸のリサイクル社会の背景にあったのは、自らが行った行為は必ず自らに返る、「循環」そして「因果」の価値観だった。鎖国を行ったのも、無限に拡大してくる西洋の価値観から身を守るためともいえる。
    自分で行ったことには自分で「始末」をつけ、持つべきもの以上は持たない。この思想のもとに、江戸時代の日本は国内の技術力を磨き、世界の中で「自立」することを目指した。

    江戸時代といえば、平和であるとともに停滞の時代といわれる。しかもそれは、武士が自らの支配を守るために民衆を押さえつけていたようなイメージを持っていた。
    でもそれは、今の時代と比べてみたときの感じ方で、ほんの一面的な歴史の見方だったかもしれない。
    当時の東アジア世界に共通していた「徳」の価値観が、江戸時代を理解するキーワードである。
    グローバリズムの中で自らのありようを見極める、という点で、今の日本にあるのはどんな価値観だろう。

  •  「温故知新」の書。江戸文化は「循環(めぐること)」の価値観であり、「因果(原因と結果)」を検証しながら物事を決めていく方法である。大震災前に書かれているが、今後日本が進むべき道を、著者の考えとして具体的に書いてある。その考えを支える史実や引用文献も豊富で、読んでいて学ぶ箇所が多くあった。
    ・江戸時代に「鎖国」という言葉は無かった・その後の欧米崇拝の時代に「開国」を善で「鎖国」を悪として脱亜入欧を政策的に進めた・現代は拡大し勝利し大量消費が良しとされるが、江戸時代は縮小、収めること、質素倹約が良しとされた。・子ども部屋は作らず、自分の必要としている空間を探し、開拓し、落ち着く方が良い。

  • [ 内容 ]
    江戸学者による、過去と未来をつなぐ新講義。
    江戸文化の本質は江戸趣味として表面に現れるものだけでなく、「循環(めぐること)」の価値観であり、「因果(原因と結果)」を 検証しながら物事を決めてゆく方法である。
    これらを失ったことによって、近代日本人は勝ち負けを考えることに力をそそぎ、 欧米依存的となった。
    働くことを賃金でしか判断できなくなり、モノの価値を値段でしか理解できなくなった。
    自らが行った行為が 必ず自らに戻ってくる、という感覚を失ったとき、目の前の富のためなら、文化も自然も破壊することを厭わなくなる。
    この国のカタチをどう作るのか。

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    [ 関連図書 ]


    [ 参考となる書評 ]

  • 江戸時代って心が豊かな時代なのではないかなそんなことをきずかせてくれた

  • いわゆる江戸文化紹介本ではなく、江戸時代と戦国時代、現代を比較して、江戸時代の慎ましく、質素であることを徳とした価値観に光を照らしている。江戸時代を鎖国の時代と呼ぶことに異を唱え、外国との付き合い方を自ら選択した時代と定義する。秀吉の朝鮮出兵や第二次世界大戦は、日本人が外国との距離感や世界の中での日本の立ち位置を見誤った結果という考え方に共感。本の中でなんべんも渡辺京二の「逝きし世の面影」が引用されていて、著者の思想のバイブルとなっていることがわかる。

  • 本作品の江戸学は何のためにあるか より引用

    江戸文化の本質は江戸趣味として表面に現われるものだけでなく、「循環(めぐること)」の価値観であり、「因果(原因と結果)」を検証しながら物事を決めてゆく方法である。

    これらを失ったことによって、近代日本人は勝ち負けを考えることに力をそそぎ、欧米依存的となった。

    働くことを賃金でしか判断できなくなり、物の価値を値段でしか理解できなくなった。

    自らが行った行為が必ず自らに戻ってくる、という感覚を失ったとき、目の前の富のためなら、文化も自然も破壊することを厭わなくなる。

    ということで、第一章が「未来につなぐべきことは何か」、第2章が「江戸社会と現代社会はどこが違うのか」、第3章が「江戸時代はなぜできたのか」、第4章が「江戸の生活と今の生活はどこが違うのか」、第五章が「江戸時代はなぜ終わったのか」となっている。

    今まで、学校で、社会で習った情報とは異なるアプローチで分析、情報発信された作品で、一読の価値あり。

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