「借金1000兆円」に騙されるな! (小学館101新書 133)

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  • 小学館
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感想 : 20
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  • Amazon.co.jp ・本 (194ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098251339

作品紹介・あらすじ

1000兆円もの借金を抱え、「日本国債は暴落する」「日本経済は破綻する」という論調が世間を騒がせている。だが、これには大きな誤解や嘘が張りめぐらされているのだ。本書では、まず「国債の暴落」とはどういう状況なのかを検証し、ユーロ諸国やアメリカの国債事情も詳説しながら、豊富なデータで日本国債暴落論の誤解を解いていく。さらに、国債の発行で経済成長を促すのでなく、デフレ下で増税を強行しようとしている政府。財務省の愚行を追及する。気鋭のエコノミスト高橋洋一の渾身の作。

感想・レビュー・書評

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  • 新書なので仕方ないが、著者の言っているデータが、もう少し充実していれば良かった。

  • とても、為になりました。資産のあることも言及せずに、「国の借金は1000兆円!」、「日本国債暴落!」という、巷の扇動に乗らない為にも必読の一冊です。

  •  借金1000兆円というが、その実体はどうなのか?
     どういう対応が良いのか?
     今巷で言われていること(国債が暴落する、日本が破綻するなど)の何処が問題なのか。
     日銀の考え方

     等々が書かれているが、この著者が言いたいことは次の二つだろうね。

     第一には
     「言いたいことがあるならデータを示せ!」

     データ。つまり、過去の蓄積だ。
     現在のシミュレーションも含むと言いたいが、シミュレーションなど過去の蓄積があるから出来ることで、これも過去の蓄積に含むと言うべきだろう。

     著者は
     「人間は忘れやすい生き物で、そのとき、その場で自分の都合のいいように考えてしまう。今まではそうだったかも知れないが、今回ばかりは違うと思えてくる。そして同じ過ちを繰り返す(本書88ページ)」。
     と言う。
     この言葉は、一般的には
     「過去には暴落したが今回は今までとは違うから暴落しない」と思って損失をかぶるという楽観的行動に対する警鐘としてとられるが、それだけでなく警鐘は理解していても「過去に起きた出来事と今回は違うのだ!別なのだから別の対処をしなければならないのだ!」と言うことも当然含まれるだろう。
     どちらにしても、同じ過ちを繰り返すことになる。

     しかし、人間の環境は複雑だが、過去の事象が全く当てはまらないような状況などそうそう起きたりはしない。
     原爆が投下されるなどの「過去になかった新兵器の登場」だったり、「原発が事故を起こした」などの「過去になかった科学技術の暴走」でもあれば別だが、所詮は人間の営みの延長線上、今まで何度も繰り返してきたことが姿や形を変えて目の前に表われたに過ぎないことが多いはずだ。

     だから、過去のデータは役に立つ。


     検討はそこから始めるのが一番役に立つし、一番効率的なのは間違いない。

     そして、第二点。
     それは「定義を示せ」だ。

     日本が破綻する。国債が暴落する。と言う場合「なにが起れば破綻なのか?」「暴落とはどれぐらいの期間で何%下落すればいいのか?」などという事が明らかでなければ議論できない著者は言うが、これも当然のことだ。

     定義を決めて、データを示さなければ議論など出来ない。
     一人の天才がすべてを決めるのでなければ、議論も出来ないのに物事が決まるわけがない。

     これは当たり前のことだと思う。
     著者は理系と文系で分けているが、それは違う。

     文系でも学問をしてきた人間はその程度のことは知っている。

     してきた人間が出来ていないというのなら、それは理由があるのだ。


     霞ヶ関文学というのだったか、呼び方忘れてしまったが官僚がわかりにくい文章を書く理由と同じだろう。

     定義をぼかすことで
     データを示さないことで

     何かがあるのだ。


     著者にはもう少しこのあたりを突っ込んでほしかったなぁ。と言う点が残念だ。


     この本は著者の一つの考え方を示したわかりやすい本だろう。

     全く知らなかった人はこれを土台に新たに考えてほしいし
     知っていた人は、もっといろいろ考えてほしい。


     考えるのを止めなければ人間は成長し続けることが出来るだろうから。
     

  • 理系人間だけに、説明が、分かり易い!

  • この人の本を読むのは2冊目
    アベノミクスのブレーンらしく
    物価連動債などについても、ひとくさり

    6 バーナンンキに学ぶ
    40 経常収支の黒字は国内の貯蓄が過剰なだけ
    国力と関連付けるのは重商的な考え
    45 国債依存度という概念は海外にない

    66 R&Iと日経新聞
    100 債権トレーダーの半径2メートルの出来事
    116 川を上り(歴史を研究)海を渡る(海外と比較)すべし

    146 日本の外貨準備は先進国で突出
    182 得意分野で原点と新聞記事を突き合わせてみる

    日本国債は破綻しない派
    さくさく読めるけれど、内容は深い

  • デフレ脱却のためには、お金を刷って日銀に国債を引き受けさせるのがいいというのが著者の主張。インフレターゲットの導入を行っていないのは先進国では日本だけということです。また、財務省が増税を煽る理由、日銀がインフレターゲットの導入を拒み、また国債の引き受けを拒む理由も述べられている。

    この著者と同様の主張をしている浜田宏一氏、岩田規久男氏の本も読んでみたいと思いました。

  • デフレ脱却のためには、お金を刷って日銀に国債を引き受けさせるのがいいというのが著者の主張。インフレターゲットの導入を行っていないのは先進国では日本だけということです。また、財務省が増税を煽る理由、日銀がインフレターゲットの導入を拒み、また国債の引き受けを拒む理由も述べられている。

    この著者と同様の主張をしている浜田宏一氏、岩田規久男氏の本も読んでみたいと思いました。

  •  日本が国債が1000兆円を超えてもなぜ大丈夫なのか。元財務省官僚でバーナンキFRB議長の教え子が語る。
     
     国債は国の保有資産全体との比較で考えることが重要である。よく日本の借金を家庭の借金に例えられるが、確かに普通の家庭なら土地や建物、保有株式などの家の資産全体と借金の比較を考えるはずだ。
     そして普通の家ならお金を刷ることはできないが、国はお金を刷ることができる。作者は師匠バーナンキがアメリカで今している様にインフレになるようお金をもっと刷ることで経済を活性化することができると論ずる。
     しかし、問題の本質はどうしたら日銀や財務省がお金を刷ってインフレを目指す様に路線変更できるかであると思う。

     財政の考え方を分かりやすく理解することができる一冊。

  • 年金問題も疑問、財政問題も疑問。どうも納得のいく説明が得られず、情報垂れ流しのテレビ・新聞には不満を持っていた。もちろん本書にしても自分自身で原書・原典にあたったわけではないので、鵜呑みにはできないが、問題への切り口を見出すことができ、大いに励まされた。
    中央にこそ、青雲の志をもって天下国家を語る組織があってほしいものだ。

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著者プロフィール

1955年東京都生まれ。数量政策学者。嘉悦大学大学院ビジネス創造研究科教授、株式会社政策工房代表取締役会長。東京大学理学部数学科・経済学部経済学科卒業。博士(政策研究)。1980年に大蔵省(現・財務省)入省。大蔵省理財局資金企画室長、プリンストン大学客員研究員、内閣府参事官(経済財政諮問会議特命室)、内閣参事官(首相官邸)などを歴任。小泉内閣・第1次安倍内閣ではブレーンとして活躍。2008年に退官。菅義偉内閣では内閣官房参与を務めた。『さらば財務省!』(講談社)で第17回山本七平賞を受賞。著書はほかに、『正しい「未来予測」のための武器になる数学アタマのつくり方』(マガジンハウス)、『高橋洋一式「デジタル仕事術」』(かや書房)、『国民のための経済と財政の基礎知識』(扶桑社)、『理系思考入門』(PHP研究所)、『国民はこうして騙される』『プーチンショック後の世界と日本』(徳間書店)など多数。YouTube「高橋洋一チャンネル」でも発信中。

「2023年 『日本の常識は、世界の非常識! これで景気回復、安全保障は取り戻せるのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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