東大秋入学の落とし穴 (小学館101新書)

  • 小学館 (2012年8月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (194ページ) / ISBN・EAN: 9784098251407

作品紹介・あらすじ

東大秋入学移行で、受験、就職が激変する!

東京大学が2017年を目途に、学生の秋入学への移行を表明した。世界の大学の主流である秋入学に揃えることで、学生・教員の国際化を推進するのが最大の目的としている。京大など旧帝大、一橋、東工大、私立では早稲田、慶應にも呼びかけ、有力12大学で検討を進める。これは受験生やその家族のみならず、就職先の企業・官庁など社会的にも大きな影響を及ぼすと著者は危惧する。まず、大学入試の時期がばらばらになり、長期化して受験生を混乱させる。秋入学、春入学の学生が混在し、その結果、企業の新卒採用も従来の春一括採用は崩れ、秋・春2回か通年採用になっていく。そしてキャリア組の採用は東大生が卒業する秋に集中する。春採用者はノンキャリア扱いとなり、さらに非正規雇用化や低年俸制社員が増えるという過酷な状況も想定される。また、合格してから就職するまで半年~1年は期間が延びるため、低所得者層への経済的負担が増大する。さらに著者は、東大案は国際化といっても、すでに秋入学である中国の留学生や外国人教員を増やして東大の国際ランキングを上げるのが目的だと喝破し、その前に大学そのものの質を向上させるべきだと強調する。

【編集担当からのおすすめ情報】
春に合格してから秋の入学まで半年間(浪人すれば1年半!)の「ギャップターム」の経済的負担は重く、低所得者層の「学ぶ機会」を奪いかねないと著者は危惧します。受験生のみならず、就職制度や公務員試験・国家試験の時期はどうなるのかなど、今から知っておき、議論を重ねるべき問題点を提議する一冊です。

感想・レビュー・書評

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  • 図書館にあった本。本の表紙をみて、自分と東大とは全くと言っていいほど関係がないが、そういえば何年か前に東大で秋入学の話が出ていたことを思い出し借りてみた。東大に行ける人間なんか同じ年令で言うと数百人に一人の話であるので、他の大学が東大に追従することがない限り、この本で説明されている程の影響はないように感じた。東大の国際的なランキングを上げるだけのために、中国人留学生を増やすような政策をとっても、結局、中身が変わらないとランキングは仮に上がったとしても、本当のレベルがあがるわけではないということである。

  • 母校のことだし、最近よくどう思うか聞かれるので読んだ。ものすごくわかりやすいし、理論的で納得感がある。
    東大に関する本はだいたい東大の悪口で、この本もまあそうだが、この本はもっともなことが書いてある。今度聞かれたら反対だと言おう。

  • 秋入学へのデメリットがよくわかった。同時に、日本国内の格差が明確に見えた気がする。金銭面だけでなく、やはり地方の負担は大きいのだ。
    大学で働きたい身としては、大変興味深い内容であった。

    2013.06.19

  • どのカテゴリに分類するかで迷いましたが・・・.

    一OBとしても,一大学教員としても,興味深く拝読いたしました.ただ,著者である和田先生の独断的な主張なのでは?と思われる箇所もちらほら見られましたが・・・.

    大学というのが,非常に構造改革が遅れている業界であることに間違いはないと思います.やれ公募制やら,任期制やら,業績評価やら,世知辛い話がどんどん増える一方で(これは本当に世知辛い!),大学の在り方そのものの議論はほぼ皆無と言ってよい状況です.「秋入学」がそれに風穴をもたらした,ということは言えるのでは?

  • 先を見透すことは難しいが、何れにしても大学教育や企業の採用活動に影響することは間違いない。グローバル社会を見据えてという報道がなされているが、その本当の目的は何なのか、目指すことは何なのか、本質的な議論が必要と考える。

  • 東京大学の秋入学について理解するために本書を手に取った。著者の視点から予測(ネガティブ)が展開されており、読んでいて一考察として非常に参考になった。

    個人的にも日本全体の一年の流れが4月から始まり3月に終わるという仕組みで、無理やり大学のみ秋入学へと適用させて、ほぼノープランのギャップタームの取り扱いなどは著者の意見に同意する。

  • 大学入学時期の変更は新卒採用にも影響するだろうということで読んでみた。
    採用以外にも色々な影響があることを改めて認識。今後も関心を持ってみていきたい。
    本当は大学だけ時期をずらすというものでもないのだろうけど・・・。

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著者プロフィール

1960年、大阪府生まれ。東京大学医学部卒業。精神科医。東京大学医学部附属病院精神神経科助手、米国カール・メニンガー精神医学校国際フェロー、高齢者専門の総合病院である浴風会病院の精神科を経て、現在、和田秀樹こころと体のクリニック院長。高齢者専門の精神科医として、30年以上にわたり高齢者医療の現場に携わっている。 主な著書に、『80歳の壁』(幻冬舎新書)、『70歳が老化の分かれ道』(詩想社新書)、『死ぬまでひとり暮らし』『死ぬのはこわくない』『80過ぎたら認知症はフツー』(興陽館)などがある。

「2025年 『80歳で体はこう変わるからやっておきたいこと』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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