命の格差は止められるか ハーバード日本人教授の、世界が注目する授業 (小学館101新書)
- 小学館 (2013年7月31日発売)
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感想 : 40件
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Amazon.co.jp ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784098251742
作品紹介・あらすじ
格差は、負け組も勝ち組も寿命を縮める
ハーバードで世界が熱い視線を送る授業がある。日本人教授イチロー・カワチによる健康格差論の授業だ。先進国の中で寿命が短いアメリカと、世界トップ級の日本。この違いは格差にあった。今、格差の広がりとともに日本の長寿は危機に瀕している。格差はストレスを生み、信頼や絆を損ね、寿命を縮める。人々の命を守るには、日本の長寿を支えてきた、格差が少ない結束の強い社会を守るべき――所得、教育、労働、人間関係…あらゆる側面から格差を分析、新たな長寿への可能性を探る。
【編集担当からのおすすめ情報】
すらりとした長身、飾らない温かな人柄でハーバードの生徒から絶大な人気を誇るイチロー・カワチ教授。ハーバード公衆衛生大学院において、日本人では初の学部長に就任しています。カワチ氏の最先端の「社会疫学」の授業は、とてもわかりやすく示唆に富むものばかり。例えば、「高所得者ほど喫煙率が低い」「お見舞いに来る人が多いほど回復が早い」「結婚すると野菜摂取量が増える」などちょっとドキッとする調査研究が紹介されています。また、2013年12月からは、東日本大震災の被災地で被災者(主に高齢者)の調査を行う予定となっています。地域の絆がどのように健康に影響するのか、復興が進んでいる地域とそうでない地域では何が違うのかなどを調査。今後、ますます注目を集めるカワチ氏の「健康格差論」に是非ふれてみてください。
AIがまとめたこの本の要点
この本を表す言葉
みんなの感想まとめ
格差が健康に与える影響を探求する本書は、医療や公衆衛生の視点から、格差が寿命にどのように関与するかを具体的に示しています。著者は、社会的な要因が健康に及ぼす影響をわかりやすく解説し、予防の重要性を強調...
感想・レビュー・書評
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前半は医者なら知っていること(論文に良く患者のsocio-economic statusについて言及があるし)。
5章と6章については「なるほど」と思った。若い医者は知っているんだろうな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
公衆衛生を具体的にわかりやすく扱った良書です。治療も大事ですが、予防で救える命の数はその比ではないことをよく理解できます。同時にその影響力の大きさと采配の難しさも。
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面白い!
公衆衛生、面白い!!
上流に食い込む面白さ、結局社会を巻き込まないといけない難しさ。
うーん、複雑。。。
13日の先生の講義が楽しみだ(^^) -
”格差は負け組だけでなく勝ち組の寿命も縮める。“という衝撃的なメッセージに惹かれ、読み進めた。
医者から研究者への転向は、患者の容態が「目に見える世界」から、社会全体を見渡して健康の要因を探る「目に見えない世界」への転向だった。
医者としてやっていることは傷口にただ絆創膏を貼っているだけ。根本的な解決はできていない!!
問題を上流から解決する!!
→医学だけでなく、パブリックヘルスが大事!!
健康と貧困に焦点を当て、
⭐️日本の長寿
日本の長寿は、人々の絆、隔たりの社会による。
ex向こう三軒両隣、お互い様、情けは人のためならず
しかし、、
最近は、非正規雇用の増加による格差から人とのつながりが薄い、生活習慣病を個人の努力義務とする風潮
非正規雇用の増加による待遇差がもたらした人間関係の溝、経費削減で会社のイベント減少の傾向
→ソーシャルキャピタルの減少
健康はソーシャルキャピタル(社会関係資本、社会における人々の結束により得られたもの)による影響が大きい!!ex 震災
なぜ日本はこうなのか?
稲作文化↔︎欧米は牧畜(いかに多くの土地を確保するかが鍵)
島国であり鎖国してた、多様性のなさ
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命を数字で表し、量的な視点でしか語らないこの本に、違和感を感じざるを得ない。いや、はっきりいって胸くそ悪い。そう思うのは、国の平均寿命が伸びることよりも、その人の満足する時間の過ごし方を充実させた方が、たとえ数字の上で、寿命が短くなったとしても、大切だと思うからであろう。
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498/カ
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社会疫学の視点から健康格差の必要性を主張している。かつての日本は地域での絆が強く、健康格差の是正に貢献していたが、経済的格差の拡大などにつれ日本でも健康格差が拡大しているとの著者の主張はうなづける。コロナ危機を受けて格差が拡大基調にある中、健康格差にどう取り組むかについての示唆を与えてくれる一冊。
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命の格差は止められるか
やや、当たり前のことをデータを使用して述べている感じが拭えない本であった。しかし、パブリックヘルスという考え方は示唆に富んでいた。筆者のイチロー・カワチ氏は、どうしたら人々は健康でいられるのかという川上のアプローチをとっている。つまり、医師とは健康から不健康になった人々を救う職種ではあるが、その一歩手前で健康から不健康にならないためにはどのようなアプローチが必要なのかという観点で論が進んでいくことは新鮮であり、多くの場面で応用できると感じた。 -
【OPACへのリンク先】【講座選定:社会医学講座(公衆衛生学・疫学分野)】https://lib.asahikawa-med.ac.jp/opac/opac_details/?lang=0&amode=11&bibid=2000099860
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●同じ国の中でも、人種や職業、住む場所などによって長生きの人たちと、早くなくなる人たちがはっきり分かれていた。
●それは社会のありようと健康の関係。隣人を思いやり、信頼する関係が、健康を支えてきた。
●通常、医療への支出額が平均寿命に影響されているはずだが、アメリカは違う。他の国の倍以上払っているにもかかわらず、日本より4歳も低い。また、高所得者層であっても必ずしも長生きしない。基本的に肥満率が高い、これは遺伝が原因でなく、移住した人も高くなる。スーパーの食材や、車優先社会の影響か?
●同じ平均所得の国でも、格差が大きいと、平均寿命は下がる。年収と平均寿命のグラフが直線ではなくカーブ。下位層になるほど極端に平均寿命が下がる。だから所得の再分配は健康政策だ。
●メキシコでは低所得家庭に条件付き現金給付を行なった。子供に対するワクチン接種や検診、学校に行かすなど。発育状態も良くなり、肥満も減少。
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コロナでますます明らかにされている、貧富の差と健康の差の関係。パブリックヘルスは個人の健康ではなく社会の健康への働きかけなので、個人の怠惰や不健康な習慣を責めない、というのが新しい発見
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「問題解決には上流に目を向ける必要がある」
根本を解決しない限りは本当の意味での問題解決とはならない。モグラ叩き的な問題解決は時間稼ぎでしかない。 -
☆信州大学附属図書館の所蔵はこちらです☆
http://www-lib.shinshu-u.ac.jp/opc/recordID/catalog.bib/BB13171506 -
ハーバード大学の日本人教授、
イチロー・カワチ氏による社会疫学についての紹介・解説書です。
たとえば、肥満で生活習慣病になってしまったひとがいるとする。
血圧も高い、血糖値も高い、などを改善していくために、
お医者さんが薬を処方し、運動不足を解消するように促したりする。
そういうのは、健康を大きな川の流れに喩えると、
下流での対処のしかただと、カワチ氏はいいます。
社会疫学は、川の上流で対処をするための学問。
上流ではなにが起こっているかを考えると、
貧困によって粗悪なスナック菓子や惣菜などを食べざるを得なくなっていたり、
それらの営業宣伝がうまく感情に訴えることもあって、
食生活に溶け込んでしまっていたり、ということがわかる。
社会全体を鳥瞰図のように見て、
処方箋を考えようとするのが特徴のようです。
なので、個人に責任を帰することはほとんどしない。
あくまで社会の仕組みの問題であり、
個人個人を見ていくにあたっても、
行動経済学の考え方で見ていくことになります。
人間一般の行動原理としてみていくので、
個人を責めることはないのです。
本書に、以下のような引用があります。
「下流」にいるお医者さんを主人公にして、
「上流」をイメージするに適した文章です。
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「岸辺を歩いていると、助けて!という声が聞こえます。
誰かが溺れかけているのです。そこで、私は飛びこみ、その人を岸に引きずりあげます。」
「心臓マッサージをして、呼吸を確保して、一命をとりとめてホッとするのもつかの間。
また助けを呼ぶ声が聞こえるのです。」
「私はその声を聞いてまた川に飛び込み、患者を岸まで引っ張り、緊急処置をほどこします。
すると、また声が聞こえてきます。次々と声が聞こえてくるのです。」
「気がつくと私は常に川に飛び込んで、人の命を救ってばかりいるのですが、
一体誰が上流でこれだけの人を川に突き落としているのか、見に行く時間が一切ないのです。」
_____________
この「上流」を本書では、パブリックヘルスと呼んでもいます。
おもしろかったのが、
肥満は伝染する話です。
細菌やウイルスによって伝染するというのとは違いますが、
調査によって、わかっていることだそうです。
肥満の人が身近にいると、50%の確率でその友だちは肥満になるそうです。
肥満の友だちと直接関係が無くても、
肥満の人の友だちの友だちは20%の確率で肥満になる。
友だちの友だちの友だちにいたっては10%の確率で肥満に。
僕はこれってミラーニューロンが何か
影響しているのではないかなあと思いましたが、
仮に影響していても、たぶん小さい影響で、
なにがしか、脳全体に関わるような影響がありそうに思えます。
心理学的にはもう無意識の領域かもしれない。
また、現行の非正規雇用は不健康を産むだとか、
流れ作業が大きなストレスを産むだとか、
話の流れの中で登場する数々のトピックがどれも興味を引きました。
理想の労働環境について、図を用いて説明してくれたり、
高い教育を受けた者は健康である確率が高いことを教えてくれたり、
人との触れ合い、それが具体的な助けではなくても、
なにがしか助けたり助けられたりしているというソーシャルサポートの話があったり、
200ページちょっとのなかで、盛りだくさんでした。
でも、整理されているので、ごみごみしていない本で、読みやすいんですよ。
最近では受動喫煙制限の話題がありますが、
これなんかは法律でどうにかしようとしている。
つまりは、社会疫学、パブリックヘルスの考え方でやっているってことです。
著者は、日本の絆や繋がりといったものが
どうやら長寿に関係していると見ています。
日本の外にいると、それが顕著にわかるそうなんです。
日本の内側にいると、近所づきあいだとか面倒くさいなあ、なんて
思う人は多いと思うのですが、
そうであっても、長寿の恩恵はそういうところから来ているとしています。
日本の平均寿命は長らく世界No.1でしたが、その座から陥落しているそうです。
格差社会の到来がその原因ではないかと本書は言っています。
この長寿No.1の座に復権するためにも、
健康目線で社会を変えていこう、という志が根底にある本です。
幸せに長生きできて、さらに健康状態であれば個人としてもすばらしいことだし、
国家としても医療費削減は喜ばしいことです。
WinWinの状態に持っていくためには、まだまだ研究も実践も足りないようですが、
こういった分野があるってことは喜びたいですよね。
良書でした。 -
これは名著。
健康格差とソーシャルキャピタル、ポピュレーションアプローチや社会疫学について、分かりやすく丁寧に解説してくれている。
健康づくり政策にとっての行動経済学の重要性まで触れていて、関係者必読の本。 -
2017年6月読了、疫学やヘルスプロモーションの考え方を、難しい言葉を全く使わずに解説した本。読みやすく、事業の考え方や、陥りがちな問題点など、自分自身の理解を深めることができたとともに、周囲の専門職ではない人ににどう伝えればいいのか、とても参考になった。
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格差は「負け組」のみならず、「勝ち組」にも影響する。
女性のストレスを減らすには、家事そのものの時間減らすことではなく、男女比率の割合を減らすこと。
「行動経済学」がキーワード
パブリックヘルスの取り組みを阻むもの・自己責任論・利益重視の民間企業の存在・人々は理性的で計画的という伝統的理論 -
配置場所:摂枚普通図書
請求記号:498||K
資料ID:95131067 -
健康を「上流」から良くしていくパブリックヘルスの魅力、コミュニティの力に感動。特に、社会的格差が上流階級層にも健康に悪影響を及ぼすことに目から鱗が落ちる思い。
