- Amazon.co.jp ・本 (219ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098251957
作品紹介・あらすじ
大器晩成の竜王名人が明かす半生と勝負哲学
小学六年生で、羽生善治(現・三冠)、佐藤康光(現・九段)らとともに奨励会に入会。16歳でプロ棋士昇格、25歳での名人位挑戦は、棋士として順調な経歴と言えた。しかし、名人戦の相手・羽生善治はそのとき七冠王になっていた!
実績で水を空けられた相手に、何を考え、どう戦ったか。雌伏のときに思索を深め、研鑽を続けた著者は、30代以降、雄飛のときを迎える。30代で初めて名人となり、羽生より早く永世名人の称号を得て、40代で渡辺明から竜王位を奪取。若手が有利と言われる竜王位を40代で奪取したのは、史上初の快挙だった。現在は竜王・名人という、棋界の2大タイトルを保持する著者が明らかにする、半生と勝負哲学。世評を覆し、差を覆す秘訣は、己を知ることと、敗北に謙虚に学ぶことにあった!
【編集担当からのおすすめ情報】
何かをなそうとするとき、巨大な壁や、手強いライバルなどは必ず存在するものです。現在は竜王、名人という棋界の2大タイトルを持つ著者にとっても状況は同じでした。プロ棋士としての道の前方には、小学生以来の知己である羽生善治さんが常にいて、脚光を浴びていました。羽生さんが七冠王のとき、著者は名人戦で挑んだものの敗れ、その後しばらくタイトル戦から遠ざかります。しかし、その雌伏の期間が後の雄飛につながります。将棋ファンのみならず、広くビジネスパーソンにも役立つ、生き方と深い思考の本です。
感想・レビュー・書評
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本書は森内俊之名人の自伝であるが
タイトル通りいかに劣勢だったりライバルに巻き返すかを主眼にして
あくまでも森内と羽生のライバル関係を中心に描いている
つまり羽生という先行者がいてそれをどうやって追いついたり、巻き返すかであるが
本書はとにかく羽生愛があふれ出て羽生という存在がいなかったら森内はいったいどうなってたのだろうかと思うぐらい
羽生という存在の偉大さが余計にわかる
森内の将棋哲学は一端が描かれていて
勝つためにはどうすればいいのか
人間だから一度のミスは仕方ないし取り返れるののであるが、そこで二度目のミスは絶対に避けるのである。
二度目のミスは取り返しが利かない。逆に言うと二度目のミスをしない限り結果が付いてくる可能性が高い。
そうやって勝っていけるのである。
また結構というかかなり合理的な考えをもって将棋を指しているところも意外で森内が強い理由もなんとなくわかる詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
覆す力
森内俊之
2018年5月1日読了
森内俊之。1970年生。十八世名人。
2014年2月発刊なので当時のタイトルは名人・竜王。「羽生世代」を代表するトップ棋士の1人。
森内俊之と羽生善治
・羽生善治よりも早く永世名人を獲得するも、本人は羽生さんがいなければここまでの戦績は残せていない。羽生さんとの名人戦で負けはしたけども、そこからさらに成長できた。と羽生さんに対する尊敬の念と与えられた影響思い出の詰まった一冊。
考える根気
・羽生善治、佐藤康光、谷川浩司、渡辺明、米長邦雄、加藤一二三、升田幸三といった棋士の本を読んできたけども一番「控え目」な印象を受けた。
将棋界に名を残す棋士はいずれも個性あふれる性格の持ち主だけども、著者はまさに「正攻法」
佐藤康光の「長考力」にも通じる所として「考える根気」について自信がありそこは強みでそれを武器に長時間の名人戦では自分に向いていたとも話していました。
一方で、(故)村山聖が評した言葉に、「一方で正統であり、もう一方では言葉は悪いのですが、博打打ち的で一種野性的な面も持っていると思うのです。」と評されていて普段や対局でも理性が本能を上回るタイプなのかなと思いました。
それが限界突破すると攻撃的な面が出るのかと。
フリークラスとなりもう名人戦は出れませんがまだまだ活躍してほしい棋士の1人ですね。 -
プロ棋士が書いた本はこれまで何冊も読み、それぞれに教えられる点があったが、森内さんのこの「覆す力」は本当に掛け値なしに面白い!森内さんのまじめで、まっすぐで、それでいてひょうひょうとしておちゃめなキャラクターが存分に現れていて、将棋を指すことはなくてもプロ棋士のキャラだけで将棋を見ている筆者のようなタイプにも全く抵抗なく飛ばす箇所もなく読むことができた。森内さんの将棋への向き合い方、考え方には将棋とは異なる仕事にも通じる普遍性、強さがある。電王戦などで最近の将棋(人間対コンピュータなど)に関心がある人には必見の書。
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将棋好きの人からもらった本です。最初に読んだ当初は特に響かなかったけど、将棋に詳しくなって森内俊之さんのことを知るようになってから見返すと驚くほど面白い本だと思いました。
本で語られていた棋譜を検索してみるのも一興です。 -
同世代の羽生さんとは、常に圧倒的な実力差を感じながらも、その対戦自体を楽しんでいる森内さん。
勝負の世界ではあるけど、根本にあるのは、将棋が好きってこと。だから探求し続けられる。
羽生さんとは違くてもいい。
名人になれなくてもいい。
そう開き直ると、実力を発揮できる。
プロでも手を間違う。間違わない方が難しいと知った。
精神的、身体的な揺れが、指し手を誤る。
これからAIは人間に勝つ。そして負けなくなるかもしれない。だからこそ、人間同士の対局が面白いと気づいた。 -
森内十八世名人も超一流ではあるが、凡人の自分にとっては羽生十九世名人よりも近い存在だろう。
最近の羽生さんの著作は、「場」や「空気」について語ることが多く一種神がかっている。
それに比べると森内さんは人間らしい。 -
将棋は全然知らないのだけど、面白く読み進められ少し知識がついた。森内さんもなんとなーーく顔を知ってる?という程度でなぜこの本を読もうと思ったかは既に謎。私は深く考えるの苦手だから将棋も出来ないんだろうなぁ~(´・ω・`)
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人生の一時期の、ある出来事、ある時期をどう捉えるかは、本当にその人の個人的な営みだなと思った。奨励会に入ったことと、奨励会を卒業してプロになったことが、彼にとっては同じ程度の難しさで、でも、ほんの数頁で記述が終わっている。26歳の年齢制限ぎりぎりで、あるいは特別枠で社会人からプロになった人たちは、その数頁のところを1冊の本にしている。あるいは奨励会に入れなかった人たちは、将棋関係の本を出していないだろうけれど、そこを1冊にできるほど、人生を見つめ、人生の転機と思うのだろうな。
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勝負の世界に生きる人たちの考え方や習慣に興味を持って、羽生さんの「迷いながら、強くなる」の直後に読みました。私が完璧主義で打たれ弱い人間なので、厳しい状況でも前に進み続けるためのヒントが得られれば、というのがこの本を手に取った動機のひとつです。
自分を知って、受け入れ、自分に合った努力していくことで道が開けた、というのが本書の一番のメッセージだった気がします。そのためにはやはり余裕や自信は大事だな、と思いました。成功7割、失敗3割という言葉が出てきましたが、失敗との付き合い方、成功体験の作り方を私なりに考えていきたいです。
「ビジネスに役立つ勝負哲学!」というあおりから想像していたよりも自伝の色が濃い本でしたが、失敗談やその時の心境などもたくさん書かれており、永世名人というすごい人を少し身近に感じることができました。