上級国民/下級国民 (小学館新書)

著者 :
  • 小学館
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レビュー : 59
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098253548

作品紹介・あらすじ

やっぱり本当だった。

いったん「下級国民」に落ちてしまえば、「下級国民」として老い、死んでいくしかない。幸福な人生を手に入れられるのは「上級国民」だけだ──。これが現代日本社会を生きる多くのひとたちの本音だというのです。(まえがきより)

バブル崩壊後の平成の労働市場が生み落とした多くの「下級国民」たち。彼らを待ち受けるのは、共同体からも性愛からも排除されるという“残酷な運命”。一方でそれらを独占するのは少数の「上級国民」たちだ。

「上級/下級」の分断は、日本ばかりではない。アメリカのトランプ大統領選出、イギリスのブレグジット(EU離脱)、フランスの黄色ベスト(ジレジョーヌ)デモなど、欧米社会を揺るがす出来事はどれも「下級国民」による「上級国民」への抗議行動だ。

「知識社会化・リベラル化・グローバル化」という巨大な潮流のなかで、世界が総体としてはゆたかになり、ひとびとが全体としては幸福になるのとひきかえに、先進国のマジョリティは「上級国民/下級国民」へと分断されていく──。

ベストセラー『言ってはいけない』シリーズも話題の人気作家・橘玲氏が、世界レベルで現実に進行する分断の正体をあぶり出す。

感想・レビュー・書評

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  • 【正不平等】
    ー 正しい不平等 ー
    どんどん平等になっていきすべての障壁がなくなったときは確かに恐ろしいです。

    すべての責任が自己責任になります。
    人種差別だ、男女差別だ、政治家が悪い、会社・上司がよくない、機会が不平等、家柄が違う、世の中が悪いなどと言えません。すべてが平等です。
    できなかった場合は言い訳することができず、すべて自分が悪いことになります。
    究極のダメだしです。

    ここまでになると下位に位置する人間は生きていくことはむずかしくなります。銃を乱射して世の中が間違っていると叫ぶこともできません。
    平等の機会・条件で競って優劣がついてしまっているのですから。。。すべてが自分の責任になります。

    こう考えると、ある程度不平等が存在しないと下級に位置してしまったときに生きる糧がなくなってしまいます。負け犬の遠吠えの余地も残っていないとやってられません。
    あるいはすべてが「個性」というものでくくられて、優劣がない状況になれば問題ないのでしょうが。。。

    これからフリーランスが増えるのは間違いないでしょうが、フリーランスは基本的に個人契約です。会社という看板で契約するわけではありません。個人の看板で契約を結ぶ必要があります。
    契約を結べる人はいいのですが、問題は契約をとれない人になります。これも何の障壁もない自由競争の結果であるため、自業自得というどこにも文句の言えない状況となります。こういう人たちはどうやって生きていけばいいのでしょうか・・・

    ー 団塊の世代 ー
    団塊の世代は正直うらやましいです。人口のボリュームゾーンでしかも上の人間がいない状況です。何でも自分で生み出す苦労はありますが、文句を言われることなく、自分たちの自由にできる、こんなうらやましい環境はないです。自分たちが時代(ルール)を創っているのです。苦労も苦労でなくなり最高に楽しい状況です。

    団塊の世代の雇用確保をして、60歳でやっとその下の世代が活躍できると思ったら、まだまだやめないで働き続けているのです。団塊の世代が60歳になるときにいろいろな問題が発生すると予想されていましたが、全く起きませんでした。65歳になるときにさすがに問題が起きると予測されていましたが、それも特に大きな問題は生まれませんでした。それもそのはずで、団塊の世代が既得権を握ったまま働き続けているからです。70歳を超えても現役で社長に君臨しているのです。

    後期高齢者になってやっと仕事をやめて権力を明け渡すのかもしれませんが、次は団塊の世代の年金を確保する時代がやってきます。人数も多く発言権を多数持つ団塊の世代の年金を減らすことは不可能です。死ぬまで時代の中心に君臨し続けるのです。ただ、あと20年ほど我慢すれば本当に(ついに)団塊の世代がいなくなり時代が変わります。
    団塊の世代はうらやましいかぎりの世代です。

    ー 加速技術 ー
    テクノロジーが恐ろしく進化して、大多数の人間の理解を超え始めています。しかし、今現在、極端に進化・成長し儲けを生んでいる分野はテクノロジーの世界しかありません。他の分野はそれほど進歩していませんが、テクノロジーはさらに飛躍する余地を残しています。
    人はテクノロジーを理解することをあきらめるときがいずれやってきます。うまく利用するように移行しますが、うまく利用することすら困難な時代がやってきそうです。少しだけ理解しているものが大多数の理解できていない人間を操るかたちになると思います。
    団塊の世代に勝てる(勝ち負けではないが・・・)ところはここに一つの可能性はあると思います。テクノロジーについていけないようにすればいいのですが、残念ながらお年寄りだからついていけないわけではないというところが悲しいです。お年寄りでもテクノロジーを使いこなしている人は多数います。さらに、団塊の世代はバイタリティー豊なため、下の世代よりテクノロジーを積極的に使用する人も多いです。

    やはり、ボリュームゾーンの世代が亡くなるまでは時代は変わらないのかもしれません。

    • やまさん
      gonco3さん
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      gonco3さん
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      2019/11/16
  • 著者にはいつも様々な気づきを与えてくれます。
    普通に生きてるだけでは気づかないことが多すぎます。

    「日本のサラリーマンは世界で一番仕事が嫌いで会社を憎んでいるが、世界で一番長時間労働しており、それにもかかわらず世界で一番労働生産性が低い」
    これはまあ巷間でよく言われることですよね。
    僕も周りでよく聞きます。

    「働き方改革は団塊の世代が現役を引退したことで初めて可能になった」
    つまり団塊の世代の既得権益に手をつけられなかったんですよね。
    これからは対症療法的な法改正を小刻みにやっていくことになるんでしょうか。

    『教育の本質は「上級/下級」に社会を分断する「格差拡大装置」であることを福沢諭吉は正しく理解していた』
    とあります。
    福沢諭吉の「天は人の上に人を造らず人の下に人を造らず」の一節は続きがあって学問をするかしないかが貧富の差を分けるとあります。
    今の教育は大学至上主義になってるのでこのレールに乗れない人はよほど逆転の目が出ないと成功に向かわないということです。
    僕は友達に大学に行かなくても社長や店長として大成してる人を知ってますし高卒の素晴らしい上司に囲まれて仕事をしてます。
    ただそれはマイノリティなんやろなあと思います。

    グローバル化によって数億人が貧困から脱出したことで、世界全体における不平等は急速に縮小している。
    しかし世界が「全体として」ゆたかになった代償として先進国の中間層が崩壊した。
    これがまさに今の日本の生きづらさの正体なんかなと思います。

    本書は読後にすごく考えさせられます。
    何が正しいのか自分で納得して選択していかないと後悔することになるんやろなと思います。

  • 日本と世界が抱える現代社会の問題点が浮き彫りになる一冊。知識社会の現代の中で人々は明確にその知能レベルによって分断されてしまう。そしてその知能レベルでの分断が経済的な分断も生み出すことになり、さらにそれがモテ非モテといった問題にまでつながってしまう。このように現代社会において日本に限らず世界中で同様の問題が発生しており、これを明確に解決する方法が無いのが現状である。このままではいつまで経ってもインセルに代表されるような現代社会への報復を思想する人間が現れ続けてしまうだろう。

  • バックデータを示して説明しているので、非常に理解しやすい。しかし、AIが進化すると、本当に人間が知識で分けられることはなくなるのだろうか。

  • 資本主義である以上、格差は発生する。それは仕方がないことだが、マスコミや新聞ではその事実をきちんと報道などをして欲しいものです。

  • 現代の格差の仕組みを鮮やかに
    普段感じていた感覚を見事に明文化してくれた1冊.資本主義やグローバル化が進んできた現状で広がる格差がどういう仕組みでできているのか,しっかりとした論理で言及されている.3つの大きな章からなるが,どこを読んでも面白く,最後まで引き付けられた.
    平成で起きたこと,令和で起きるであろうことの中心に団塊の世代があり,数の力によって政治家も容易く手を出せない存在になってしまったというのが読んですごく腑に落ちた.そしてその割を食ってきたのが団塊の世代ジュニアというのもおもしろい.最上級と最下流の人たちが政治的に似た思想をもつというのも新鮮ですごく勉強になった.

  • 知識経済と評判経済の世界

    「知識社会化・リベラル化・グローバル化の巨大な潮流のなかで、現代世界は、国や歴史・文化・宗教などの違いにもかかわらず、ますますよく似て」きている。「なぜなら、すべての人が同じ目標ーーよりゆたかに、より自分らしく、より自由に、より幸福にーーを共有しているから」だ。「この価値観は、今後もますます強まって私たちの生活や人生を支配することになる」。

    その結果、先進国を中心に中間層が破壊され、「上級」と「下級」に分断されていく。このような未来を生き延びていく方策として、今後大きく2つのトレンドが出てくるだろう。

    ひとつは「高度化する知識社会に最適化した人的資本を形成する戦略。エンジニアやデータサイエンティストなどの専門職はいまやアスリートと同じ」になる。

    もうひとつは、「フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどで多くのフォロワーを集め、その評判資本をマネタイズしていく戦略」。高度化する知識社会では、テクノロジーが提供するプラットフォームを利用して、会社組織に所属することなくフリーエージェントとして自由な働き方をすることが可能になった。

    とはいえ、「この潮流からこぼれ落ちてしまうひとたちが生まれるのは避けられ」ない。その結果がどうなるのか、「近代の行きつく果て」をこれから見ることになる。

  • とりあえず煽って本を売っている人かと思って避けきたが、話題なので一度手に取ってみました。

    一章、二章はわかりやすくて、モヤっとしていたものを言葉にしてくれてありがたかった。
    三章は、わかりにくかったし、終わり方も、えっ?って感じ。たしかに人間には想像できないスピードで技術が進歩し、シンギュラリティが来ればもう人間は全てただの生物なのかもしれないけど。

    富める人とそうでない人、モテる人とそうでない人の差が、現代において大きくなっているという傾向がわかった。

    そして、持てる人は自己責任論に行き、信じるものは自分という宗教を信じている。

    一方で、何かしら持てていない側になっている人は、自己責任的な考えは持ちつつも、アイデンティティ(日本人とか、白人とか)という、自分にしかないものを大切にすることで、何かを、持とうとする。

  • 飲み会の会話で「既婚者はモテる」「一番モテるのはバツイチ」みたいなことを聞くことがあって、なんとなくそんな気はしてるけどホントにそうなの?みたいなところをエビデンス交えて事実(ファクト)はこうだ!と語られており、とても腑に落ちて面白く一気に読めた。

  • 基本的にはこれまで橘さんが述べてきたことと同じ。現代の社会変化は「知識社会化・リベラル化・グローバル化」という巨大な潮流のなかにいることによって起こっているということ。知識社会では、ひとびとは「知能」によって分断されるということ。リベラルな社会では努力によって変えられないことによる差別はいけないことだが、努力すればできるとみなされていることができないことは自己責任となること。つまり知能が足りないことは自己責任であり、そういう競争がグローバルな世界で行われていることで、上級国民と下級国民が分断されているというのが現実であるということ。白人であるとか、日本人であることにしかアイデンティティを保てない人は、他者に攻撃的であり、いわゆるネトウヨなどになってしまうということみたいです。これはこれで結構残酷な話なのだけど、もっと残酷なのは、次の一文。

    ------

    「経済格差」がなくなれば、その根底にある「性愛の格差」がよりはっきりと姿を現わすことになるでしょう。それはおそらく、いまよりもっとグロテスクに「分断」された社会にちがいありません。

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    非モテは本当に厳しい世の中になりそうです。

    [note]

    ・平成の日本の労働市場では、若者(とりわけ男性)の雇用を破壊することで中高年(団塊の世代)の雇用が守られたのです。

    ・「生産性の高い製造業が海外の市場や安価な労働を求めて海外移転を進めたこと」と、「大企業が国内において、おそらく労働コストの削減を求めて、生産の拡大を子会社に担わせ企業内ではリストラを進めたこと」を挙げています。

    ・日本では、報酬の高い産業(製造業)から低い産業(サービス業)へと一貫して労働力が移動したため、これによって市場経済の実質付加価値を6% 減少させたと深尾さんは試算しています。

    ・日本経済の問題はITへの投資額が少ないことではなく、投資の成果が出ないことです。

    ・日本では、雇用対策を優先したため、社員の仕事を減らすような業務のアウトソースができず、子会社や系列会社をつくって社内の余剰人員を移動させるという対応がしばしば行なわれてきました。しかしこれでは、個別の企業にとっては労働コストの削減にはなりますが、経済全体の生産性上昇にはつながりません。

    ・日本では、ITの導入が組織の合理化や労働者の技術形成をもたらさず、割高な導入コストや、異なったソフトウェアを導入した企業間の情報交換の停滞も相まって、生産性の停滞を引き起こしたというのです。

    ・日本では、逆に会社間の差が広がっているのです。

    ・平成が「団塊の世代の雇用(正社員の既得権)を守る」ための 30 年だったとするならば、令和の前半は「団塊の世代の年金を守る」ための 20 年になる以外にありません。

    ・社会がリベラルになればなるほど、何歳になっても働いて納税したり、リタイアしてからも健康の許すかぎり地域のボランティアに参加するなど、「自分はこうやって社会に貢献している」とアピールしなければなりません。

    ・(オランダでは)生活保護の受給者は、職業紹介所から斡旋された仕事が「一般的に受け入れられている労働」であるかぎり、これを拒むことができないのです

    ・知識社会における経済格差とは、「知能の格差」の別の名前でしかありません。

    ・ポピュリズムとは「下級国民による知識社会への抵抗運動」 だからです。

    ・貧しいひとびとの「経済合理的」な行動によって、裕福な国のベーシックインカムは確実に破綻するのです。

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著者プロフィール

作家。1959年生まれ。2002年国際金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラー、『言ってはいけない残酷過ぎる真実』(新潮新書)が45万部を超え、新書大賞2017に。『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社)など著書多数。

「2019年 『2億円と専業主婦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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