上級国民/下級国民 (小学館新書)

著者 :
  • 小学館
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レビュー : 71
  • Amazon.co.jp ・本 (238ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098253548

感想・レビュー・書評

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  • 【正不平等】
    ー 正しい不平等 ー
    どんどん平等になっていきすべての障壁がなくなったときは確かに恐ろしいです。

    すべての責任が自己責任になります。
    人種差別だ、男女差別だ、政治家が悪い、会社・上司がよくない、機会が不平等、家柄が違う、世の中が悪いなどと言えません。すべてが平等です。
    できなかった場合は言い訳することができず、すべて自分が悪いことになります。
    究極のダメだしです。

    ここまでになると下位に位置する人間は生きていくことはむずかしくなります。銃を乱射して世の中が間違っていると叫ぶこともできません。
    平等の機会・条件で競って優劣がついてしまっているのですから。。。すべてが自分の責任になります。

    こう考えると、ある程度不平等が存在しないと下級に位置してしまったときに生きる糧がなくなってしまいます。負け犬の遠吠えの余地も残っていないとやってられません。
    あるいはすべてが「個性」というものでくくられて、優劣がない状況になれば問題ないのでしょうが。。。

    これからフリーランスが増えるのは間違いないでしょうが、フリーランスは基本的に個人契約です。会社という看板で契約するわけではありません。個人の看板で契約を結ぶ必要があります。
    契約を結べる人はいいのですが、問題は契約をとれない人になります。これも何の障壁もない自由競争の結果であるため、自業自得というどこにも文句の言えない状況となります。こういう人たちはどうやって生きていけばいいのでしょうか・・・

    ー 団塊の世代 ー
    団塊の世代は正直うらやましいです。人口のボリュームゾーンでしかも上の人間がいない状況です。何でも自分で生み出す苦労はありますが、文句を言われることなく、自分たちの自由にできる、こんなうらやましい環境はないです。自分たちが時代(ルール)を創っているのです。苦労も苦労でなくなり最高に楽しい状況です。

    団塊の世代の雇用確保をして、60歳でやっとその下の世代が活躍できると思ったら、まだまだやめないで働き続けているのです。団塊の世代が60歳になるときにいろいろな問題が発生すると予想されていましたが、全く起きませんでした。65歳になるときにさすがに問題が起きると予測されていましたが、それも特に大きな問題は生まれませんでした。それもそのはずで、団塊の世代が既得権を握ったまま働き続けているからです。70歳を超えても現役で社長に君臨しているのです。

    後期高齢者になってやっと仕事をやめて権力を明け渡すのかもしれませんが、次は団塊の世代の年金を確保する時代がやってきます。人数も多く発言権を多数持つ団塊の世代の年金を減らすことは不可能です。死ぬまで時代の中心に君臨し続けるのです。ただ、あと20年ほど我慢すれば本当に(ついに)団塊の世代がいなくなり時代が変わります。
    団塊の世代はうらやましいかぎりの世代です。

    ー 加速技術 ー
    テクノロジーが恐ろしく進化して、大多数の人間の理解を超え始めています。しかし、今現在、極端に進化・成長し儲けを生んでいる分野はテクノロジーの世界しかありません。他の分野はそれほど進歩していませんが、テクノロジーはさらに飛躍する余地を残しています。
    人はテクノロジーを理解することをあきらめるときがいずれやってきます。うまく利用するように移行しますが、うまく利用することすら困難な時代がやってきそうです。少しだけ理解しているものが大多数の理解できていない人間を操るかたちになると思います。
    団塊の世代に勝てる(勝ち負けではないが・・・)ところはここに一つの可能性はあると思います。テクノロジーについていけないようにすればいいのですが、残念ながらお年寄りだからついていけないわけではないというところが悲しいです。お年寄りでもテクノロジーを使いこなしている人は多数います。さらに、団塊の世代はバイタリティー豊なため、下の世代よりテクノロジーを積極的に使用する人も多いです。

    やはり、ボリュームゾーンの世代が亡くなるまでは時代は変わらないのかもしれません。

    • やまさん
      gonco3さん
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      gonco3さん
      おはようございます。
      きょうは、快晴です。
      体に気を付けていい日にしたいと思います。
      やま
      2019/11/16
  • 日本と世界が抱える現代社会の問題点が浮き彫りになる一冊。知識社会の現代の中で人々は明確にその知能レベルによって分断されてしまう。そしてその知能レベルでの分断が経済的な分断も生み出すことになり、さらにそれがモテ非モテといった問題にまでつながってしまう。このように現代社会において日本に限らず世界中で同様の問題が発生しており、これを明確に解決する方法が無いのが現状である。このままではいつまで経ってもインセルに代表されるような現代社会への報復を思想する人間が現れ続けてしまうだろう。

  • 資本主義である以上、格差は発生する。それは仕方がないことだが、マスコミや新聞ではその事実をきちんと報道などをして欲しいものです。

  • 知識経済と評判経済の世界

    「知識社会化・リベラル化・グローバル化の巨大な潮流のなかで、現代世界は、国や歴史・文化・宗教などの違いにもかかわらず、ますますよく似て」きている。「なぜなら、すべての人が同じ目標ーーよりゆたかに、より自分らしく、より自由に、より幸福にーーを共有しているから」だ。「この価値観は、今後もますます強まって私たちの生活や人生を支配することになる」。

    その結果、先進国を中心に中間層が破壊され、「上級」と「下級」に分断されていく。このような未来を生き延びていく方策として、今後大きく2つのトレンドが出てくるだろう。

    ひとつは「高度化する知識社会に最適化した人的資本を形成する戦略。エンジニアやデータサイエンティストなどの専門職はいまやアスリートと同じ」になる。

    もうひとつは、「フェイスブックやツイッター、インスタグラムなどで多くのフォロワーを集め、その評判資本をマネタイズしていく戦略」。高度化する知識社会では、テクノロジーが提供するプラットフォームを利用して、会社組織に所属することなくフリーエージェントとして自由な働き方をすることが可能になった。

    とはいえ、「この潮流からこぼれ落ちてしまうひとたちが生まれるのは避けられ」ない。その結果がどうなるのか、「近代の行きつく果て」をこれから見ることになる。

  • 上級国民/下級国民(小学舘新書)
    著作者:橘玲
    タイムライン
    https://booklog.jp/timeline/users/collabo39698

  • どうしてあんなにトランプ大統領を支持するアメリカ国民が多いのか、これまでとっても不思議でしたがなるほどなぁと。これが理由の全てではないんでしょうけれども。

    ベーシックインカムは成功しない、てか無理!(日本ではまずもって)、と思っていましたが具体的に自分は考えてこなかったなと本書を読んでいて感じました。素養が足らんと思い知りました。

    基礎知識が足らんので「?」なところも正直ありましたが、2020年をこれから過ごすに当たって読んでおいた方がいい一冊と思います。
    次のアメリカ大統領選を、この本を思い出しつつ注目したいと思います。

  • すごく面白い。若いうちに社会の実像として読んでおくと良い。まったく良い未来が見えずに笑えてくる。

    1、団塊の世代の雇用維持のために失われた若者の権利。次は社会保障で失われる。票田は高齢層の手に渡ったから、すでに手遅れ。今後はガダルカナル戦のような撤退戦を20年行い、ちょっとした貧乏国家になるのを待つという国家戦略しか残っていないという予想図。
    正社員と非正規の待遇の差は差別だったというのが、目から鱗。たしかに基本的人権を無視しているが、今の今まで当たり前としていたことが恐ろしい。
    これは日本での分断。

    2、性愛から見捨てられる若者。incel。社会への復讐をすれば神格化される。一夫多妻制の復活を求めること。
    この世界は、事実上の一夫多妻であること。男女の未婚率の差から。離婚を繰り返すことができるのは、上流の者に限ること。年収が低いと、未婚率は上がる。これは世界規模での分断。

    グローバル化と知識社会化が中間層を減らす。中流階級が少ない社会は活気が落ちる。階級の固定だからだ。没落中間層ができる。
    実は戦前ドイツも日本もファシズムに走ったのは没落中間層と、フランクフルト学派で出ている。彼らのルサンチマンが、全体主義に向かった。つまり、今は超危険。

  • ITの出現で便利になり、誰もが情報発信できるようになったことで知らん人からのネガティブシャワーを浴びるようになったなぁ。自分の周りで時間をうまく使っているなと思う人がFBやSNSをやっていなかったので、自分も真似して少しずつ離れてみた。すると本を読む時間が取れ、資格も2つ取れた。自己責任の世界なら、自分の時間を確保し知識を付けることに時間に使うことは成果は不明だけれどもやって損はない気がした。

  • モヤッとしていたものを、橘さんが今回も整理して教えてくれました。(ただし、本書を理解するには、思想や現代社会の背景知識は必要だと思います)

    印象に残ったところ
    ・モテと非モテによる分断
    [用語]
    インセル(Incel):非自発的禁欲の意、モテない男性
    チャド(Chad):モテる男性
    ステイシー(Stacy):魅力的な女性

    ・非モテ(インセル)によるテロ
    非モテの男性は性愛から排除される事で人生を丸ごと否定されてしまう。(誰にも関心を示されない「大きく黒い犬」の問題。)
    =>今までは、モテない男性の話題は笑い事として感じていたが、本書を読んで、モテないことを契機に発生するテロ問題を知って、笑い事では済ませれなくなってきました。好きになっても、傷ついて自信を失くし、誰からも愛されない男性。そんな中から、将来を悲観し、周りのもの全てを憎む人間ができるのは想像に難くない。救う手立てが思いつかない。。

    ・テクノロジーの発展によってとてつもなく豊かな知識社会が生まれると、人々は共同体のくびきから逃れ、一人一人が自由意志を持って自己実現を目指すようになる。これが「リベラル化」

    ・ベーシックインカムはなぜ破綻するのか?
    貧しい人々の経済合理性によって、豊かな国のベーシックインカムは崩壊する

  • この本はSさんからのプレゼント。「読むと暗くなるかも」という話であったが、それほど極端には暗くはならなかった。
    確かにこういう両極端が生まれつつあるのは感じられるし、その傾向がますます加速されそうな予感もするので暗くはなるのだが、一方、誰もが所属階級からの逸脱の可能性が十分にあるということが救いにもなっているのかも知れない。人生、何があるか予測不可能だ。そしてまた、お金だけで決まってしまうものもそんなにないような気がしているからだろう。どんな暮らしをしているかよりも、それを本人がどう感じているかがポイントになると思う。(コアラ)

著者プロフィール

作家。1959年生まれ。2002年国際金融小説『マネーロンダリング』(幻冬舎文庫)でデビュー。『お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方』(幻冬舎)が30万部を超えるベストセラー、『言ってはいけない残酷過ぎる真実』(新潮新書)が45万部を超え、新書大賞2017に。『幸福の「資本」論』(ダイヤモンド社)など著書多数。

「2019年 『2億円と専業主婦』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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