教えないスキル ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術 (小学館新書)

  • 小学館 (2021年2月1日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784098253913

作品紹介・あらすじ

ビジャレアルの育成改革に日本人女性の凄技

スペインのフットボールチーム「ビジャレアル」。
欧州リーグ優勝をしたクラブとしても、人気が高い。

ビジャレアルのカンテラ(育成組織)はヨーロッパ及びスペインで
最も堅実な育成機関と評されている。
自前の下部組織からの選手が多勢いることからもわかる。

2014年から、チーム一丸、この育成・指導大改革に携わった著者。
彼女はスペインで初の日本人クラブ監督に就任した経歴もある。

★テーブルは丸テーブルに
★注意するときは「サンドイッチ話法」で
★「こうだよ!」を「どう思う?」の「問い言葉に」
★選手が選手を指導する「学び合い」作戦
★コーチ全員にビデオカメラ。指導法は客観視する、など。

サッカー(フットボール)の指導のみならず、
ビジネスの現場で若手を育成する際に、
学校教育の現場でも、
日常の家庭での教育にも、
置き換えてみれば取り入れ可能なメソッドが多い。

「教えない」ことで「学びの意欲が増す、成長する」。
そのヒントが満載の書である。

【編集担当からのおすすめ情報】
小言を言いたくなったとき、
早速、このビジャレアル・メソッド、実践してみました。

相手も聞く耳を持ってくれた(ような)・・・。
何より、小言を伝えた側にありがちな、
こちらがいやな気持ちになる、ということがなかったのが、
大きな収穫。

今日から、今から使える! 実感できます。

感想・レビュー・書評

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  • 冒頭のつかみが良い。
    アスリートの課題、収入を得られない選手になったら?

    スキルだけでなく、生きていくこと。
    それに合わせてコーチとしてどう接するのか?


    とフットボールだけでなく生き残るには、そして、現代にあわせてどのように接していけばいいのか。
    静かな熱量のある一冊。

    200P以下なので、非常に良く読めました。

  • 自分はスペインリーグにそんなに詳しくないのですが、
    ビジャレアルというサッカーチームは
    他のチームよりも育成が得意なようです。
    この本は、そんなビジャレアルでコーチ・監督をされていた
    日本人著者(何と女性!)による
    ビジャレアル流のサッカーコーチングの手法の紹介。

    細かいサッカーのトレーニング手法というよりも
    もう少し抽象的かつ大きな視点から見たときの
    育成の考え方を述べた本で、
    ビジネスを意識しているのかサッカーに限らず、
    ビジネスの場面にも十分応用が効くような内容になっています。

    内容自体は結構、ベーシックな当たり前のようなことが多いですが、
    サッカーの育成手法の進化を感じ取れる本でした。
    (ビジャレアルも最初からこのやり方を歴史的にやっていたというよりも、
    変革を通じて新しい手法に進化していったという本の構成になっています。)

  • 教えないスキル
    ビジャレアルに学ぶ7つの人材育成術
    小学館新書 391
    著:佐伯 夕利子

    良書、おもしろかった。
    プロ選手の引退後の過酷な現実から、本書は始まります。
    NBAの選手の60%が、現役を退いて5年以内に、自己破産するそうです。
    高級車から軽自動車に乗り換えられる感覚が備わっていないと、プロとしてキャリアを積んでいくことができない。だから、プロ選手を育てるのではない。人を育てるのだと語っています。

    指導者は、選手の学びを創出するファシリテーターに過ぎない。
    著者は、持続可能な人材育成術といっています。
    教えないスキルとは、脳科学、行動科学、心理学、教育学のエビデンスをもとに、10人の心理学者のサポートを得て作り上げたものであると語っています。

    気になったのは、以下です。

    ■reflection

    ・指導方法をカメラやビデオをとって俯瞰することが重要。
    ・選手の動きをただ声に出している、リアクション・コーチングを行っていないか
    ・内省すること これって意味があるのかな、これって、選手のためになっているか、コーチ同士で顔を見合わせてノーとため息をつく

    ・練習や試合での態度、声掛けをチェックして仕分けをする
     ①選手を肯定したり鼓舞するようなポジティブメッセージがどれだけあるか
     ②ダメ出しをを含めたネガティブメッセージはどうか
     ③同じ選手に何回声をかけたか
    ・意識や意図が芽生えることがいかに重要かを個人的に学んだ
    ・(選手が)自分たちで気づいたものを学びにする
    ・(コーチが)自分たちは答えを持っている人間ではないし、問題を解決する仕事でもない
    ・私たちが、自分で気が付いたように、選手にも気づいてもらう。
     自分たちと同じ道のりをたどれるよう、選手たちに施せばいい
    ・アンラーンから始めよう。アンラーンは、学び壊しというのがしっくりしているかもしれません。
     ①ラーン
     ②アンラーン
     ③リラーン
     この繰り返しこそ、指導者に不可欠です。
    ・流れる川に小舟がながれてきました。あなたは、小舟にのりますか、それとも、岸からみてますか?
    ⇒小舟に乗る=感情に執着する⇒本質を見失う
    ⇒岸でみている=自分の感情と距離をとる⇒本質なものの優先順位を間違わなくなる
    ⇒だから、岸でみてましょう、一緒に流れるのではなく、岸から眺める

    ・心から子供たちをリスペクトをもって接する。そうでなければ、私たちもあなたに対し、リスペクトをもって接することができません

    ・絶対やってはいけないこと、ここだけの話し、ひそひそ話、組織として成長ができなくなる
    ・問題(苦情)を持ち込むときは、一緒に、解決策をもっていく。これがルール

    ■question

    ・プレーするのは選手、自分に力が及ばないことに時間を費やすのは無駄
    ・指導者が、勝敗に意識を奪われていたら、選手の学びや成長に気を配れるはずはない
    ・自分ができることをやる、自分が行動すれば変化が起きる
    ・何を言っても、何をやっても、受け入れてもらえる、安心安全な環境でこそ、選手たちは成長できる
    ・オープンクエスチョンをなるべく心がける。言えないときは、二択、三択のクイズで誘導的な問いかけをする

    ■words

    ・サンドイッチ話法
     ①良いところを伝える
     ②聞きたくもないかもしれない改善点などを伝える
     ③それに対する期待を伝える
    ・人は知っていることしか、見ない
    ・見るべきものが見える、選手を育てる

    ■knowing

    ・あの子はやる気がないと思う ⇒主語が指導している自分自身 ⇒主語を選手に変えよう
    ・個人目標は2カ月スパンで見直す⇒個人目標の振り返りや気づき、現在地の確認のため
    ・3つの学び
     ①主観だけで考える癖をなくす
     ②自分の考えを一方的に伝えない
     ③答えに正解はない

    ■equality

    ・コーチから一方的に教え込むのではなく、選手同士が学び合う環境を作る
    ・指導者の役割は、失敗しないように導くではなく、失敗を恐れずに出せる、失敗を糧にできること
    ・コーチのミーティング まとまりがつかない⇒振り出しにもどる、選手の学びの機会が増えたかどうか?
    ・上司が命じてやるではなく、社員が自ら取り組みたくなる環境を整備する、が正解

    ■centred

    ・ガミガミと怒られながら学ぶなど、意欲が生まれるわけがありません
    ・手取り足取り教える ではなく 心地よく学べる環境を用意し、学習効果を高める
    ・教え方がうまい ではなく、 子どもたちが学べる環境を作ることが育成術
    ・生命線
     ①考える癖をつけることに重きをおく、考える余白を用意してあげる
     ②一方的なコーチングをせず、問いをつくる
     ③子供たちが、学びたいと自然に意欲がわくような環境を用意する

    ■cognitive

    ・認知力を身につける 時間、空間、スピード、変化、シチュエーションなどの不確定要素を認知する
    ・がんばる ⇒ 創造する へ
    ・認知力は、禁止事項はすくなく、たくさんの選択肢から選べるような環境で養うことができる

    目次
    教えないスキル 目次

    序章 持続可能な人材育成を目指して
    第1章 自分の言動に意識をもつ reflection
    第2章 「問い」を投げる question
    第3章 パフォーマンスを生む言葉を選ぶ words
    第4章 伸ばしたい相手を知る knowing
    第5章 丸テーブルに変える equality
    第6章 「教えないスキル」を磨く centred
    第7章 認知力を育てる cognitive
    終章 好きだからこそ本質を探究したい

    ISBN:9784098253913
    出版社:小学館
    判型:新書
    ページ数:192ページ
    定価:800円(本体)
    発行年月日:2021年02月
    発売日:2021年02月06日第1刷
    発売日:2021年05月29日第3刷

  • サッカーの指導のみならず、子供達の育て方や関わり方についてもとても勉強になる一冊です

    子どもたちへの指導ではなくて、子どもたちが主語となるような環境設定や関わり方がとても大切であることがよくわかります

    今の時代だからこそ考えないといけない、とても大事なことが本当は何なのかを再考していかなければいけませんね。

  • スペイン初「日本女性サッカー監督」怒涛の人生 | リーダーシップ・教養・資格・スキル | 東洋経済オンライン | 経済ニュースの新基準
    https://toyokeizai.net/articles/-/415681

    教えないスキル | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09825391

  • サクッと読めるボリューム感にも関わらず、育成における重要な本質はおさえられているため、サッカー好きはもちろん、上司や親といったあらゆる人に推せる。

    自分の中に既にインストールされてるようなことが多かったり、同じような価値観だったりするけど、そこに自信を持てたり、見直そうと思わされた部分もある。

    タイトルは『教えないスキル』だが、そのまま受け取れば、教えずに放置すれば、勝手に成長していくの?という単純な話でもなく(それもアリかもしれないが)、その代わりにやるべきことが示されているし、もし、子供や部下の成長を本気で願うのであれば、実行できるものばかり。

    雑にまとめると、

    ・教えない理由は、認知力を磨くため
    ・発言可能な対等な関係を築く(指導者同士も対等に)
    ・楽しめる環境、失敗できる環境をつくる
    ・学び合えるようにファシリテーターに徹する
    ・言葉を丁寧に使う(共通認識をつくる)

    こんな感じ。特におもしろいのは、指導者たちが自らヒエラルキーを取っ払ってるのが素晴らしいなと。口だけではなく、自ら行動で示すのは、子供たちに伝わるはず。「攻撃と守備」とすると「2つは別物である」と思わせてしまうというのも、理解はできるが、それを意識しだすと、自分が安易に先入観を形成してしまうような言動をしてしまっていないかと、気が引き締まる。


    以下、見返し用の個人的メモ書き↓

    ・世界のあちらこちらで元選手が引退後のキャリア形成に苦しんでいる。

    ・プレミアリーグの選手の60%が引退後5年以内に自己破産していた。(Xプロの13年発表)

    ・ハイリスクの現実を見て見ぬふりをしたまま、お預かりしている選手たちを「フットボール選手」としてしか育成してこなかったのではないか。

    ・子どものスポーツとビジネスシーンが内包する問題は類似している。圧迫して萎縮させる関係性。

    ◎コーチにカメラとピンマイクをつける。

    ・選手への声がけに支配的なワードが目立つ。指示、命令、ダメ出し。否定。

    ・方法論以上に「自分の言動に意識的かどうか」の振り返りをする習慣が重要

    ・自分の力が及ばないことに時間を費やすのは無駄。

    ・指導者が勝ち負けに意識を奪われていたら、選手の育成に気を配れるはすがない

    ・多くの指導者がすでに自分が出している答えを押しつける。

    ・何を言ってもダメ出しをされる環境では心のシャッターを下ろし、何も言えなくなる。

    ・ビジャレアルでは3歳児にさえ判断を伴わない練習はさせない。考える癖をつける。足元の技術を磨くと言ったことには一切重きを置いてない。

    ◎軸になるのは「体を動かすことは楽しい!」と感じてもらうこと。失敗できる環境を提供する。

    ・問いを投げて、日本の子供が自分から発言するのはごく少数。

    ・スペインでも以前は命令されて従うような文化はあった。

    ・スポーツも社会も、その基盤は教育。

    ・「ナイスパス!」で終わらせず、「なぜ、〇〇に出したの?」で深める。「ナイストライ!」で、ポジティブフィードバック。

    ・サンドイッチ話法。良い点⇨改善点⇨期待

    ・「攻撃と守備」この言葉を使うと、「2つは別物である」という理解が生まれてしまう。

    ・実際の試合にはゾーンもレーンも存在しない。

    ◎「軽率な言語化は要注意」であり、よく使う言葉はみんなに考えてもらい、共通認識をつくる。

    ・動画を止めながら、「行け!って言ってたけど、何をして欲しかったの?」と確認する。

    ◎言葉はアクションを生み、アクションがパフォーマンスを生むのであれば、言葉のイメージを合わせておく必要がある。「走れる」「ボールを動かす」「寄せろ」「ラインが高い」「コンパクトじゃない」など、よく使う言葉を挙げてみる。

    ・「沈黙=考えていない」は間違い

    ・コーチが教えるのではなく、選手同士が学び合う環境をつくる。ファシリテーターの役割を担う。

    ・大人が子供に、上司が部下に、成長してほしい相手にキャスティングボードを譲るだけで大きな成長が得られる

    ・否定せずに見守る。失敗すれば、やり直せばいい。

    ◎選手と指導者の関係をフラットにするには、まずはそれぞれの指導者を対等に扱うこと。監督、助監督といった肩書きをなくし、みんな監督、みんなコーチとした。
    自分たちのヒエラルキーを壊すことで、自分たちが変わらなければいけないと決意した。

    ◎四角テーブルを丸テーブルに。そしてフリーアドレスに。指定のデスクや部屋を取り除き、壁を壊し、オープンスペースに。

    ・「集中しろ」「気を引き締めろ」は命令形。対等な印象ではない。日本語はヒエラルキーが生まれやすい。

    ・練習を何時間行うかではなく、「学習効果を高めるためのスポーツ環境づくり」が何よりも重要。

    ・クオリティの高いトレーニングを90分で収める。

    ・週の平日5日間の中で1日はオフ。土曜か日曜は試合のため、どちらかはオフ。

    ・スペインは8時間労働で基本的に残業をしない。

    ◎スペイン人同様、体格に劣る日本が指向すべきスタイルは「ビジャレアル的なもの(認知力)」

    ・日本は一生懸命頑張る文化はあるけど、自ら考えて行動する文化がなさすぎる。

    ◎認知力は禁止事項があまりなく、自由で、たくさんの選択肢から選ぶ機会が多い環境で養える。日本の環境はそうではない。指向すべきサッカースタイルと教育がアジャストしていない。

  • 「育成」ってどういうことを言うのだろうか。
    指導者が「教える」のではなく、選手が「学ぶ」環境を整えることが大切。
    失敗すること、間違うことを通して、選手たちが何を学ぶのかを見ること。
    短期的な結果だけで判断をするのではなく、長期的な目線で見守ることができなければ、育成とは言えないと思う。

  • コーチングについて学びたくて手に取り、たくさんの学びが得られたのだが、主題とは違う点に激しく共感した本。エディ・ジョーンズの本と同じ事が多数書かれていたので、これが海外のスタンダードだと仮定すると、日本の教育、コーチングの時代遅れ感がすごい。外から見た「日本のここがおかしいよ」の数々の指摘に頷き、失望すると同時に、著者のような日本人女性が世界有数のサッカークラブ(男性社会)で活躍しているという事実に一筋の希望を感じた。

    この国の抑圧的な教育に苦しめられた日本人の大半は、苦しむ事がデフォルトになってしまい、社会に出てもやりたくない仕事をして、日々我慢することで対価をもらって生活している気がしてならない。海の向こうには多様性を認め合い、自由に生きられる世界があるんだってことを知れば、日本のヤバさを実感できるはずだ。この本が1人でも多くの教育者や子育てをする親たちに読まれ、この国に1人でも多くの自立した、幸せな子供(のちの大人)が増えることを願う。

    最後に紹介される著者の子供時代の話に涙したのは私だけではないと思う。個人的にはぜひ彼女の自伝を読んでみたい。

  • 職場で活かしていきたいと思った。
    意図した声かけを行うこと、相手の考えを問うこと、自分の力が及ばないことは気にしないこと。

  • この本は、子供を持つ親だけでなく、部下を持つ上司にもとても響く内容になっている。

    「自分で考えて行動しろ」、「失敗を恐れるな」といったことはよく言われるが、いざ実践するのは難しい。

    佐伯さんは自らの経験を経て、下記のような「教えないスキル」を見出していく。
    ・自分たちではなく、伸ばしたい相手を主語にする
    ・考える癖をつけるために、考える余白を与える
    ・一方的なコーチングではなく、問いを投げかける
    ・心地よく失敗できる環境を整える

    日本は「生きやすいけれど、息苦しい国」。そんな日本を変えるきっかけになってほしい。

  • 一見サッカーを例に取ったビジネス書のようだが文字通りサッカーの指導にも役に立つ。子供がサッカーをやっているような親には二重に役に立つ。学者じゃないので文章が簡略なのも良い。

  • サッカーの指導に関わらない人が読んでも、人材育成や教育に対する考え方のヒントをたくさんもらえる本。

    「フットボールは、想定していた現象が起きる可能性が圧倒的に低いスポーツであり、教え込みの指導はまったく意味を持たなくなる」

    本の中にあるこの文章は、作者がなぜサッカーにおいて「教えないスキル」を大切にするのか、その目的をよく表している。

    よく考えると。これはサッカーだけの話ではない。
    私たちが生きる人生も、「想定していた現象が起きる可能性が圧倒的に低い」。

    だからこそ教え込みから脱却し、教育にも人材育成にも「教えないスキル」を活用していかなければならない。

    まずは「どうして?」「どのように?」といった「オープンクエスチョン」問いかけることを意識することから始めたいと思う。

  • スペインのフットボールチーム「ビジャレアル(久保健英選手が移籍)」の育成組織の育成術について解説した一冊。日本のサッカー組織と比べる形で、若手選手の育成手法について解説される。タイトルに「教えないスキル」とあるように、ビジャレアルでは基本的に選手の自主性に任せる形で育成が行われておりかなり自由度が高い、日本の硬直的なビジネスの現場にも流用できる内容も多く勉強になった。

  •  文句なしの★5つの本です。 すごすぎる本でした。 ゴールデンウィーク明けのサンデースポーツに佐伯さんが出ておられたことを母から教えられ、発注した本。すごかった。感動した。 
     私は、スポーツに長いこと関わってきて、さらに今でも柏ラグビースクールというスクールでコーチをしています。 ラグビースクールのコーチをしていて、本当に『教えないスキル』には感動することばかりなのですが、特にポイントとなる点を先に二点抜粋しておきます。

    P95 フットボールは高さ、強さ、速さを競うゲームではない。 むしろかたちにならず、可視化できず、数値化できないものを秒刻みで脳内で処理し、マネージメントしていく競技です。 莫大なファクターがからみ合い、ピッチ上は予測不可能な状況が90分間以上続きます。 準備して事前にリハーサルできる事柄は、決して多くありません。
     選手は、瞬時に情報をキャッチし、解析、分析して、可能な選択肢からひとつ選び(プレーの判断)、アクションに移します。これがフットボール選手のパフォーマンスと呼ばれるものです。
     (中略)これら一連のプロセスをより短時間(判断スピード)で、より正確に行うこと(プレーの精度)が、その選手の「クオリティ」になります。 
     
    P98 プレスをかけるタイミングや一を詳細にレクチャーして教え込む指導はリスクがある。 想定していなかったシチュエーションが発生したとき、選手はちょっとしたパニックに陥るだろう。なぜなら、教え込まれた時点から、「自分で考える」という脳の動きがすでに休止してしまっているからだ、と。
     つまりフットボールは、想定していた現象が起きる可能性が圧倒的に低いスポーツであり、教え込みの指導はまったく意味をもたなくなるのです。

    以上二点。 ガーーンとなった。 ごもっともだ。 だからこそ、子ども達に判断させる練習を数多くとりいれている。 刻一刻と変化する状況の中で、何をどう判断し、プレイするか。フットボールにおいては、本当にそれが重要である。 
    スクールのコーチを実施するようになって6年目を迎えている。大橋メソッド的にプラスのフィードバックをすることは意識をしてきたが、さらにもう一段意識を変えていかねば、と思いました。

     また、私は、ファザーリングジャパンというNPOでも活動をしています。 そこで「スポーツ(特にラグビー)から学ぶ子育て勉強会」という会をこれまで二回実施したことがあります。 その中のコンテンツの一つとして、ヒーローズカップの「ベンチ及び観客席からの指示は一切禁止」の取り組みに関して共有しています。
     この『教えないスキル』に関しては、これら思想の延長線上にある、素晴らしい概念と思いました。 


    思いきりネタバレですが、本の主メッセージはここだと思います。

    P159 「教える」は指導者や上司が主語です。 一方の「学ぶ」は選手や部下が主語になります。指導者はあくまで選手の「環境」の一部と言えます。
     したがって、彼らは教えません。 手取り足取り教える代わりに、選手が心地よく学べる環境を用意し、学習効果を高める工夫をする。「教え方がうまい」といった指導スキルではなく、選手が学べる環境をつくることが育成術の生命線なのです。

     考える癖をつけることに重きを置き、考える余白をつくってあげる。
     一方的なコーチングをせず、問いをつくることにこころを砕く。
     選手たちが「学びたい」と自然に意欲がわくような環境を整備する。


    そして「フットボールは、日本人が世界の上位に食い込んでいけるスポーツのひとつになりうるのです。(P170)」という応援メッセージも読みつつ、改めて、自分のコーチングスタイルをアップデートしていきたいな、と思った次第でした。
    あらためましての『プレイヤーズファースト』です。


    その他、抜粋引用となります。(今回も多いです)
    =======
    P22 「指導者は、選手の学びの機会を創出するファシリテーター(潤滑油)に過ぎません。 私たちのクラブでは、指導者個々の内省から、これを指導哲学のベースとしています。選手のみなさん、保護者のみなさん。選手をけなしたり、威嚇し恐怖を与えたり、責任を背負わせたりする人は支配者であり、決して指導者ではありません」

    P42 アンラーン(unlearn)は、学びの棄却、学びほぐしなどと訳されることが多いようですが、感覚的にしっくりくるのは「学び壊し」という表現かもしれません。育成部に所属する約120名のコーチたちは、まずこの学び壊しにより、個々がこれまで信じて止まなかったスタンダードや、当たり前、常識を、根こそぎ覆されました。
     学び壊しの対象となったのは、例えば以下のようなものです。
     ホワイトボードとマグネットを使って、監督が一方的に選手の動きを指示する試合前のミーティング。
     トレーニングにおけるエクササイズの構築が自チームの「選手」ではなく、「相手チーム」に起因した発想(相手が長身だからハイボールの対応、など)。
     試合中の、選手に対する過度なアドバイス。

    P61 「指導が一方通行だ。 子どもの判断に対し、僕らは自分の考えを押しつけるばかりで、彼らの判断について尋ねてみたことがあっただろうか」

    P74 認知に関するアプローチでいうと、例えばフットボールの「団子になる」現象がありますが、子どもたちが団子にならないよう指導者が何らかの指示を出すことは一切ありません。 ついつい指示を出したくなる衝動と常に戦っています。

    P78 スペインの教育現場は、先生が問いを投げ終わる前に「それはね、こうだと思う」とみんな一斉に答えを言い始めます。間違ってたらどうしようと逡巡する子はいません。(中略)コミュニケーションのありようがまったく違います。

    P83 「ナイスプレーだったね」と言われ続けるだけではなく、一歩踏み込んだところで、「なぜそう思って(感じて)、なぜそのアクションをしたのか?」
     そのことを説明させてもらえる機会が与えられると、そこで彼らは自分を表現できます。

    P103 言葉はアクションを生み、そのアクションがパフォーマンスを生むのであれば、まずは先頭の「言葉」のところで丁寧にイメージを合わせておく必要があるのです。 でなければ、目の前で起きる現象は違うものになってしまいます。


    P131 改革を始める前は、20人の選手がいたら、そのなかで2,3人の気のきいた選手、キャプテンシーのあるような選手が意見を言っておしまいでした。それがまるで「みんなの意見」みたいになっていました。 ところが、現在では20人が20人それぞれのレベル、それぞれの感覚でどんどん言葉を出していくのです。
    =======

  • サッカーの指導者のお話ですが、そのまま学校現場の教師と子どもたちとの関係に置き換えて読み進めることができます。
    子どもたちと関わる教師自身の在り方を考え直さねばいけないと改めて感じました。

  • ヨーロッパのサッカークラブで行われている育成方法についての本。
    組織改革的な話も書いてあったので気になったが、時間、労力かかってそうだな…という印象。
    また、「ペティコミテ(ミニ会議、派閥的な)は禁止」という話があり、これは日本人はやりがちだと思うが「チームとして機能しなくなる」とのこと。
    この考えはヨーロッパでは広く浸透しているそうな。

  • 人材育成に関する示唆に溢れる本だった。
    スポーツの世界だけではなく、会社でも役に立つと思う。

    教育方針を変える過程では、自分のフィルターを外すことの難しさと大切さを感じた。

  • サッカー指導の話だけかと思っていたが、ビジネスの分野でも役にたつ内容がスペインと日本の対比もあり、参考になりました。
    「監督と選手の役割はあるけど対等であること。」
    子どもたちとサッカーをする際の声かけなどもより意識したいと感じた本でした。

  • スペインのサッカーチーム「ビジャレアル」で行われたコーチや選手の意識改革について、コーチとして携わった著者が解説している。
    タイトルにもある「教えない」ことは、教える方も教わる方もメンタルが強くないとやっていけない。
    専門家を招き心理学に基づいた改革を行ったことで、チーム全体が良い方向に向かうことができたという。具体的な声掛けの例などが載っており、参考になった。
    作者の佐伯さんは女性で、スペインのサッカーリーグで監督まで務めたことがあるという。全然知らなかった。

  • 日経ビジネスに載っていて?興味を持った。
    サッカーのことなんて全く興味ない私だが、子育てや、仕事で育成の立場になった時に必ず役に立つと思える本だった。

    プロでなくなった選手の60%が5年で自己破産しているという事実には驚き、この本の重要性を感じてからはどんどん引き込まれていった。

    冒頭の、「選手じゃなくなった時の彼ら」に責任をもとう。という言葉に強い衝撃を受けた。
    スポーツ選手は、プロでなく学生であっても、それを続けられなくなった時の人生への絶望感は大きいに違いない。このマインドはきっと誰にでも必要なものだと思った。

    子供の習い事を選択するときも、どんな環境を作ってくれる場所なのか?というのをしっかり比較して決めたいと思えた。
    知り合いには、たくさんの習い事をこなすように行なっている子供もいるけれど、きっとそれでは本人にとって良いことはないかもしれないとも考えさせられた。

    以下、抜粋とメモ。

    ・コーチがカメラやマイクをつけて、お互いにアドバイスし合う。
    素晴らしい。会社でも同じようなことができたら、優秀な指導者が育ちそう。

    ・発する言葉を仕訳して、意識して選ぶ。
    会社でもそうだし、子供に対してもそう。ただのネガティブな声掛けになっていないか?は振り返る必要がある。

    ・「とにかく一周しておいで」仮に自分が信じているものがひとつあるとしても、一度ぐるっと回って違うものを見てきたらいい。それでも前居たところが良ければ、戻ってくればいい。
    会社でコロコロ組織改革が行われたりするが、それも同じ。やってみないとわからないし。やればよい。

    ・感情を対岸から眺める。感情と距離を取り、賢く取り扱う。

    ・「ここだけの話」が多い組織は成長できない組織。
    じぶんもそれはしないようにしたい。

    ・言いたいことがあったら言いに行く。問題を持ち込む時は解決策も添付する。
    それで、あなたはどうしたいの?という言葉は、子供に対してだけではなく、上司としても聞きたい。

    ・自分の力が及ばないことは気にしない。執着しない。
    では自分が行動すれば変化が起きるものは何?と考える必要がある。

    ・主語を相手ではなく自分に変えて、できることをやる。

    ・日本の選手は自ら考えて動けない。

    ・スペインの教育現場では、教師の発言に反応する生徒が多い
    自分の留学の時も感じたこと。向こうの人たちって、すぐ喋る‼︎

    ・いいね!は無意味。へえ、なんでそうしたの?で、理由を教えてもらう。問いかけは、質の高いフィードバックになりうる。

    ・ネガティブ(感情的)なフィードバックは、態度や取り組みに対してはして良い。チームの一員として良いことではないから。スキルに対しては、伸び代は誰にもわからないので、サポートするようなポジティブなフィードバックを。存在否定はもちろんNG。
    彼はセンスがないから定型を中心に、とかは会社でよく聞くことだが、変わらぬサポートをする必要あり。

    ・ネガティブフィードバックは、サンドイッチ話法で。いいところ、改善点、期待。

    ・指導者は、選手の学びの機会を創出するファシリテーターに過ぎない。が指導哲学のベース
    子育てと同じ。会社でもそうかな。

    ・教え方が上手い、というスキルではなく、学べる環境を作ることが育成術の生命線。考える余白を作ってあげる。学びたいと自然に意欲が湧くような環境を整備する。

    ・社会に近づける取り組みを大人がする、接点を作ることが大事。持続性のある事前活動への取り組みなど。一般社会との接触が乏しい選手たちにぱんぱんに予定を詰め込むだけでなく、社会経験を積む機会を。
    一般の子供には当てはまらないかもしれないけど、厳しい習い事をさせ過ぎないように気遣いたい。

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佐伯夕利子の作品

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