おっさんの掟 「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」 (小学館新書)

  • 小学館 (2022年2月1日発売)
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本 ・本 (192ページ) / ISBN・EAN: 9784098254170

作品紹介・あらすじ

ラグビー界、こんなハチャメチャやったんか

2022年1月に開幕したラグビー新リーグ。その発足に向け中心的な役割を果たしていたのが、前年まで法人準備室長・審査委員長を務めた谷口真由美氏だ。彼女はなぜ突如としてラグビー界を追われたのか、その秘された理由を明らかにする。
彼女が目にしたラグビー界は、男性中心主義、時代遅れな序列主義など「おっさん」的価値観が支配する、ダメな日本社会の縮図だった--。

<あなたの会社にも、こんな「おっさん」いませんか?>
●口癖は「みんなそう言っている」「昔からそうだ」
●ITや新しい提案には「リスクが大きい」
●ムラの長には絶対服従、部下や下請けには高圧的
●退職の日まで「勝ち逃げ」できれば、が本音
●部下の功績は自分の手柄。「アレオレ詐欺」の常習犯

川淵三郎氏(日本サッカー協会キャプテン)との特別対談も収録!


【編集担当からのおすすめ情報】
『サンデーモーニング』(TBS系)のコメンテーターとしてお馴染みの谷口真由美氏が、日本ラグビー協会理事として経験した驚愕の体験を明かします。
具体的な事例からニッポンの「おっさん社会」の問題点をえぐる本書は、令和版「失敗の本質」「タテ社会の人間関係」とも言える刺激的な論考となっています。

感想・レビュー・書評

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  • 2022年2月発行ということは、かなり最近の本だ。
    筆者は法学者で、かつ、テレビやラジオのコメンテーターをやられていた女性。2019年6月に、日本ラグビーフットボール協会の理事に就任。2020年1月にラグビー新リーグ法人準備室長に就任されている。
    2019年のW杯で、日本チームは大活躍をし、日本中にラグビーブームを巻き起こした。一方で、競技人口の減少に危機感を持っていた協会は、ラグビーのプロ化に舵を切る。筆者の谷口さんが、法人準備室長に就任されたのは、そのようなラグビー界にとって非常に大事な時期であり、また、法人準備室長はプロ化にあたっての対外窓口を務めるキーポジションであった。
    筆者はラグビー界のために、自らの収入を減らすなどを犠牲を払いながら奮闘する。しかしながら、(本書の中の情報で判断する限り)筋を通しすぎたために、孤立し、裏切られ、最後には解任されてしまう。
    本書で紹介されている、ラグビー協会・ラグビー界の姿は、谷口さんの目を通してのものだけであり、実際にどうだったのかは、協会側の見解も知る必要があるが、谷口さんの書いていることは、信頼がおけるように思える。
    谷口さんの目を通しての組織としての日本ラグビー協会は、
    ■内向きの論理で動いている
    ■よそ者に冷たい
    ■現状維持・波風を立てないことを優先する
    ■組織の意思決定や業務遂行に関するガバナンスの仕組みがほぼない
    等の、例えば東芝といった失敗した日本の法人組織と似たような特徴を持っているように感じた。
    それを谷口さんは「おっさんの掟」と呼んで本書の題名としているが、実は、もっと一般化できる腐った組織の特徴を書かれているように感じた。

  • あの ”THE わきまえない女” 谷口真由美の大問題作!『おっさんの掟:「大阪のおばちゃん」が見た日本ラグビー協会「失敗の本質」』 - HONZ
    https://honz.jp/articles/-/50796

    ラグビー協会を追われた女性法学者が見た「おっさん組織」のしがらみ | News&Analysis | ダイヤモンド・オンライン
    https://diamond.jp/articles/-/295804

    おっさんの掟 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09825417

    • 猫丸(nyancomaru)さん
      「おっさんの掟」谷口真由美著/小学館新書|日刊ゲンダイDIGITAL
      https://www.nikkan-gendai.com/artic...
      「おっさんの掟」谷口真由美著/小学館新書|日刊ゲンダイDIGITAL
      https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/book/301249

      <書評>『おっさんの掟』 残念すぎる現実 - 琉球新報デジタル|沖縄のニュース速報・情報サイト
      https://ryukyushimpo.jp/news/entry-1476873.html
      2022/03/01
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      谷口真由美さんが深刻危惧「“おっさんの掟”に縛られていたら日本の地盤沈下は止まらない」|日刊ゲンダイDIGITAL
      https://www....
      谷口真由美さんが深刻危惧「“おっさんの掟”に縛られていたら日本の地盤沈下は止まらない」|日刊ゲンダイDIGITAL
      https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/life/302049
      2022/03/07
    • 猫丸(nyancomaru)さん
      オッサンとは「年齢を重ねた男性」に限らない…私たちがオッサンについて書く理由(長谷川 あや) | FRaU
      https://gendai.i...
      オッサンとは「年齢を重ねた男性」に限らない…私たちがオッサンについて書く理由(長谷川 あや) | FRaU
      https://gendai.ismedia.jp/articles/-/97136
      2022/07/08
  • ◉あらすじ
    著者は、年々無神経な発言が目立つ関口宏氏の『サンデーモーニング』のレギュラーコメンテーターとして、関西弁で寸鉄釘刺す意見をビジバシ吐かれておられる法学者 谷口真由美氏。

    幼少時から16歳まで育った家がラクビーのメッカ『花園ラクビー場』。父親は近鉄ラクビー部の選手から指導者に、母親は花園ラクビー場内にある独身寮の寮母を務めていたことから、むくつけき選手たちに囲まれ育つ。

    そんなバックボーンを持つ谷口氏に、白羽の矢を立てたのが大体大ラクビー部監督であり、当時日本ラクビー協会副会長の坂田好弘氏。折りしも、スポーツ庁が女性理事40%というガバナンス設定もあり、坂田氏は理事に推薦。さらに後押ししたのが、以前より交流のあった清宮克幸氏。これが決定打となり、2019年6月日本ラクビー協会理事就任。

    この清宮氏との関わり以降、著者の表現を借りるなら『ラクビー村』に蔓延る、昭和も昭和バリバリの時間も価値観も止まったままの『おっさん社会』に翻弄されていく。

    さて清宮氏、現役時代の活躍のみならず指導者になっても、母校早大蹴球部を常勝チームに育て、サントリーの監督でも名将ぶりを発揮。清宮氏に目を付けたのが、他でもない早大の先輩であり当時日本ラクビー協会名誉会長 森喜朗。森氏の後ろ盾を得て、理事経験なしでいきなり副会長に大抜擢。早速、イノベーションプロジェクトチームを立ち上げ、その一員として谷口氏も参画。

    知名度と実行力を兼ね備えた清宮氏だけに、否が応にも期待は高まる。森氏の隠然たる影響力を笠に着たのか、生来の性格か十分な根回しをせず改革を急ぐ。面白くないのは守旧派の面々。激しい抵抗を見せ、プロジェクトは頓挫。わずか4ヶ月で解散。

    著者は清宮氏失脚の理由として、『ジェラシー』ではないかと推察。根拠として『あいつはジャパン(日本代表)になっていないくせに』という言葉を反清宮派から異口同音に聞かされたと綴る。

    清宮氏は失脚し、理事に就任してわずか数ヶ月で、谷口氏はハシゴを外された最中、新リーグの法人準備室長の打診を受ける。もちろん固辞するも、『なんでもサポートするし、何があろうとあなたを必ず守るから』とまで言われ、就任を渋々受諾。しかしその約束は早々に反故にされ、理事就任から2年で明確な理由なく解任の憂き目に…。

    ◉私見
    本書は2019年日本ラクビー協会理事就任から2年の間に起こった様々な出来事を谷口氏観で描いた、謂わば私家版『日本ラクビー協会 vs 谷口真由美』の暗闘史である。当事者意識に著しく欠け、シャンシャン総会レベルの理事会、プロジェクトチームを立ち上げても実務スタッフもろくにおらず、リーダーが掻き集める惨状。そんな体たらくぶりを伏字のない実名報道で容赦なく克明に綴り、まさしくそこまで言って委員会。そこに谷口氏の強い覚悟を感じられる。まぁ、そもそも出版自体が明らかに仁義なき戦いの表れである。

    はたして、日本ラクビー協会は谷口氏の『たった一人の反乱』と見てるだろうが、言われ放しでいいのか。協会はここでも昭和のおっさん論理を発動し、『女性だし、口達者の大阪のおばはんに反論しても分が悪いだけ』とダンマリを決め込むのか。

    いやいやこれはノーサイドで済まないだろう。現に谷口氏に向けて協会は内容証明郵便で『協会内で知りえた情報を口外すれば法的措置を含む断固たる措置を採る』という、脅しとも取れる文書も通知。理事会の宣言通り機密漏洩を理由に法廷という場外乱闘に打って出るのか…。

    いずれにせよ、遵法精神バリバリの法学者 谷口氏は手ぐすねを引き、『かかってこんかい!昭和のおっさんども』と咆哮し、ファイティングポーズをしているようにも見えるのは僕だけかな。

  • 私はラグビーというスポーツが大好きなので、本書を読むまでは、協会に入ったが、結局自分の思うとおりにならず爪弾きにされたおばさんの恨み節のような本を読むべきか逡巡したが、読んでみると内容的には意外にも面白かった。

    著者は、2019年から約2年間、日本ラグビー協会にて法人事務室長などの要職につきながら、最終的には協会を追われた。

    著者の谷口真由美という人を私は知らなかったが、サンデーモーニングなどにもコメンテーターとして出演していた、そこそこ有名な方のようである。

    本職は法学者で専門は国際人権法、大阪芸術大学客員准教授である。

    肩書きからはラグビーと何の関係もない人のようだが、実は著者の父はラグビーの実業団チームである近鉄の選手であった。
    さらに、著者の家族は近鉄のホームグラウンドであるラグビーの聖地花園ラグビー場で暮らしていた(父が近鉄の合宿所の寮長を務めていた関係で)。

    つまり、ただのおばちゃんではなく、元々ラグビーとは縁のある人でかつその業務運営能力を買われて協会に招聘されたのであろう。

    一方、日本ラグビー協会は本書でも指摘されているように、旧態依然とした男社会。
    このことは、2019年のラグビーワールドカップ日本大会の年に放送された大ヒットドラマ「ノーサイドゲーム」でもその組織の疲弊ぶりが詳らかにされたので、協会の体質についてはなんとなく察しがつく方もいると思う。

    しかし、それは森喜朗元総理大臣が協会の会長を務めていた時までのものであり、2019年に現在の会長である森重隆氏に変わってからは組織の中味も大分変わったのではないかと個人的には思っていた。

    実際、著者のような、ラグビー界からみれば部外者の女性を招聘したり、副会長に当時51歳の清宮氏(早稲田→サントリー)を起用したことなどから(それまでは60代、70代の老害が中心を占めていた)、旧弊を刷新する意図を感じていたからだ。

    著者が協会を去った後も、女性の役員比率を40%にするなど、少なくとも今の世の中の流れであるダイバシティーなどの要請に応えようとしているように見える。

    なので、著者の言う旧態依然とした協会ということには、どうも納得がいかない(外見が変わっても中味は簡単に変わらないということもひとつの真理ではあるが、少なくとも協会が変わろうという意思があることは見て取れるのであり、その組織の中で著者がいかに立ち居振る舞うかがポイントであった)。

    つまり、本書で書かれていることは、一面では真実であろうが、もともと協会はそのような古い男社会の組織であり、それを所与の事実として一端受け止め、その中で自分が何を出来るかを考え行動できなかった、つまり今まで自分が成功してきた自分なりの正攻法のやり方でやろうとしたことに失敗の原因があったのだと思う。

    端的に言えば、著者はサラリーマン的な振る舞いができなかったのだ。

    もちろん、サラリーマン的な態度に終始していては、何も組織の改革などできないのだが、とはいえ、まずは低姿勢から組織に馴染み、信頼を得てから、少しずつ自分の主張をするなど、適宜のステップを踏まなかったことが敗因であろう。

    郷に入りては郷に従え、歴史の教えるところである。

    さて、それでは本書のどこが面白かったのか?
    というか、私が本書を読む前に興味をもったのは、下記の点である。

     ①著者の協会での振る舞い

     ②清宮副会長と著者の関係

     ③森重隆会長と著者の関係

    まず①についてであるが、本書を読む限り、著者は思った以上に協会内では自制的であったようである。

    テレビなどでのキャラ的には、「言いたいことを言う大阪のおばちゃん」ということになっているようであるが、協会役員と丁々発止の議論をしたことなどは、本書では描かれていない。

    唯一、著者が協会とやりあったことが窺い知れるのが、新リーグ(リーグワン)の暫定順位決定についてである。

    新リーグの暫定順位とは、2022年1月に始まった新リーグ(リーグワン)における順位分けである。
    新リーグは3つのディビジョンに分かれ、ディビジョン1(要は1部)12チーム、ディビジョン2とディビジョン3は各6チームとなるが、どのチームをディビジョン1に入れるかが肝であった。

    そして著者が出した結論は、12位近鉄(ディビジョン1)、13位トヨタ(ディビジョン2)というもの。

    著者曰く、この順位決定の判断基準はチームの戦績だけでなく、事業力(例えば15,000人規模のスタジアムの確保)や社会力(次世代養成のためのアカデミーやラグビー教室の有無)などを書面で審査するもの。

    その結果、トヨタは名門チームで人気もあるが社会力の部分のレポートがあまりにお粗末(ラグビー教室の記事の切り抜きを貼り付けただけのものを資料として送ってきた)などの理由で、著者はトヨタを近鉄よりも下位に位置付けた。

    これ自体、客観的な基準であり正しいことと思うが、協会としては人気チームのトヨタが2部からのスタートでは集客に影響がでるとか、さらに、著者は近鉄の人間だから近鉄を贔屓したなどといい、結局この著者の決定を反故にした。

    この事実を見る限り、著者が正しいように思えるが、果たしてそんな簡単な問題なのか?

    次に清宮副会長との関係。

    清宮氏はラグビー界では有名人で、その子息が数年前にプロ野球選手として日本ハムに入団したことは有名。

    本人も早稲田大学からサントリー、引退後も早稲田やサントリーの監督を務め華々しい結果を残している。
    また、同じ早稲田大学の先輩である森喜朗前会長の後ろ盾や電通などのラグビー界以外の人脈もあったようだ。

    ただ、彼は簡単に言うと傍若無人で独断専行なところがあり、相手が誰かにかかわらず自分の言いたいことは言い、実行に移すというタイプの人である。
    それが協会の重鎮にどう受け取られるか気になっていたが、やはり重鎮とそりがあわなかったようで、協会内での実質的な権限を奪われたようだ(一応、協会の副会長職にとどまっている)。

    そして、この似た者同士の清宮氏と著者が協会内でどのような関係であったかに興味があったのだが、これまた意外、著者は清宮氏の考え方には賛同しつつも強引に物事を進めようとする態度には賛同できず、適当に距離を置いて付き合っていたようである。

    次に、森重隆会長との関係。
    森氏は明治大学から全盛期の新日鉄釜石、日本代表とこれまた輝かしい経歴。
    引退後は九州の実家の家業の傍ら福岡県立福岡高校ラグビー部(あの福岡堅樹の母校)の監督も務めた。

    森氏のキャラクターについてはよく知らないが、清宮氏とは異なり鷹揚な感じの性格だという噂である。
    森氏であれば、ちょっとやんちゃな清宮や著者も上手いこと操れるのではないかと思っていた。

    実務能力のほどは不明だが、むしろそのような人心掌握術に長けていることを期待され会長に推挙されたのではと思っていたが、その人物を著者がどう評するか興味があった。

    結論は、古い日本協会の象徴のような描かれ方で、前述の通り著者が必死に考えた新リーグの暫定順位を反故にされたなどのエピソードが語られる。

    本書ではその事実しか書かれていないが、その背景には著者の根回し不足や手続きの不備など、著者自身も反省すべき点があったのではないか?
    また、相手(協会幹部)の視点に立って物事を考えるという視点も欠けているように見える。

    森会長に反故にされたと、一方的に言うのではなく、そのプロセスなどをもっと詳細に語って欲しかった。
    おそらくそのプロセスの中に著者の落ち度もあったものと思われるが、それに無自覚なのか書きたくないのか分からないが、その点に言及しなければ、真実は判然としない。

    このように、やや食い足りないところはあるものの、大阪のおばちゃんの奮闘記として気軽に読むのであれば、なかなか楽しめる本である。




     

     

  • ラグビー協会内の暴露本かと思いきや日本のジェンダー問題までえぐったかなり攻めた内容だった。
    著者がいくら大阪のおばちゃん気質だと言ってもこの本を書くにあたってはかなり勇気が要ったと思う。
    それにしても日本のおっさん気質、このまま放置しておくと取り返しのつかない事態になるな。根が深いだけに改善は難しいと思うけど。
    とりあえず自分は「おっさん」にならないように努力しよう。

  • とてもわかりやすく組織の硬直化の様子がわかった。やはり外部の人間が入った時にその組織の異常性が見えてくるとおもう。作中にもあったが歴史の長い組織ほど慣例化、硬直化が激しい。
    男女間の差異ではなく、組織の運営が長くなればなるほど、一部の人間が権力を持ち、自分のやりやすい仕様に組織を変化させていくのではないだろうか。
    このような例はおそらく世界に多く存在すると思う。そのような組織の硬直を打破できると現代で考えられているのが、論理性、数字なのだと思う。ただ、本文中にもあったがそれすらも組織が葬ってしまう場合も多々あるのだと思うけれども。

  • 2025年2月14日読了。2019年のラグビーW杯開催後、日本ラグビー協会理事・新リーグ審査委員長などを務めた著者が、その活動・解任の内幕や「おっさんの掟」に染まったラグビー界の実態について説く本。森喜朗氏の「女はわきまえない」発言が大いに話題になったが、森氏個人の問題ではなく構造的な問題がラグビー界にはあるのだろうし、組織内の論理のみを優先して健全な疑問・議論をうるさがる日本的な価値観はあらゆる組織に蔓延しているもの…とは自分でも実感するもので、「法学者である大阪のおばちゃん」を自称する著者が直面した怒り・苛立ちは相当なものであったろうと感じる。おっさんがおっさんを再生産していく日本社会が変わることはないんじゃないかと思うが…セクハラ・パワハラが明るみになりやすくなったり、人々が声を上げることで社会は透明性の高い方向に向かっており、それは概ね良いことであると言えるのではないか。

  • 「私がこの本でもっとも伝えたいことは、審査の内幕暴露ではありません。」
    ※審査とは、新発足するリーグに登録されるチーム選抜の審査のこと

     と終盤になって書いてるけど、それまでの3分の2ほどが、まぁ、ぶっちゃけ暴露話(笑) まぁ、本人的には、もっと言えないこともあったんやで、ってことなのでしょう。
     で、そこから先は、
    「合理的思考よりも優先される年功序列主義」、「組織の硬直化は、なにもラグビー協会に限ったことではなく、日本の津々浦々でおきている」と、ラグビー界を例に、未だに立ち遅れる我が国のジェンダー問題に切り込んでいく。 いや、ジェンダー問題というだけでもなく、そもそもの国民性というものか。

     結局は、『失敗の本質』(中央公論新書/1984)や、もっと遡って、中根千絵の『タテ社会の人間関係 単一社会の理論』(講談社/1967)で指摘された、日本社会の本質が何も変わっていないということか。本書の中でも、上記ふたつの古典を引いて、日本における組織の問題を強く訴えている。

     著者の定義する「おっさん」のカテゴリに―当て嵌まらないようにすることはもとより、そんな組織の問題点は実生活においても(要は職場においても)大いに指摘していきたいと思った。
     なにしろ、近頃、うちの職場でその「おっさん」化の傾向が顕著になりつつあるという危機感を抱くから。

  • 3.5

  • 「さもありなん」という感じだった。
    あらゆる組織の、ある程度上位に女性を増やすことが、これからの日本に必要で、そこにこそ、そこにのみ希望が見出せると思っている。
    一つ一つおっさん的なものを潰していくしかない。

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著者プロフィール

1975年生まれ。大阪大学非常勤講師、全日本おばちゃん党代表代行。国際人権法、ジェンダー法などが専門分野。TBS系『サンデーモーニング』、朝日放送『おはよう朝日です』『キャスト』、ABCラジオ『伊藤史隆のラジオノオト』はじめ、TV、ラジオ、新聞のコメンテーターとしても活躍。

「2019年 『ネットと差別扇動』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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