江戸の少食思想に学ぶ 水野南北『修身録』解題 (小学館新書 449)

  • 小学館 (2024年2月1日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784098254491

作品紹介・あらすじ

「開運のための少食論」を解説書き下ろし

高橋源一郎氏推薦「水野南北のメッセージは世界を滅びから救う」

減量のための食事制限でもなく断食健康法でもない。過食・大食をせず、自分の身の程に合った食事の量「腹八分」を守れば、めぐりめぐって「吉」となる──。

江戸時代、そんな“少食・粗食のすすめ”を説いた人物がいる。水野南北──文化文政期に高い人気を誇った観相家だ。その著書『修身録』は、貝原益軒の『養生訓』と並ぶ“食と命の指南書”であり、同書で繰り返し説かれる「食の慎み」と「立身出世」ための少食思想は、過食・飽食の現代にこそ示唆に富む。

「人は天から一生の食を与えられている。これを余計に食べるということは、天に借りを生ずるということだ」
「たとえ天運の人相が悪くとも、当人がその持ち分の食よりも少食で済ませる者は相応の福分を得る」
「本来の天運が良くとも、食を過ごす者であらば、物事に際して障りが出るものだ」
「食あれば命あり。ゆえに少食の者は長寿なのである」
「少しの酒は気の力を増すものだ。血もめぐらせる。しかし多ければいのちを削る」
「立身出世があるかどうか見定めるにはもっとよい方法がある。まず食を減らせ。そしてそれを厳重に定めよ。これを守る者には立身出世があろう」

水野南北自身も、この「少食」を実践していたという。
「わたしは……生涯にわたって米の飯は食わぬこととし、米の形が残るものならば餅も避け、麦の一合五勺をまったく一日の限りの量とし、大の好物の御酒さえ一日一合と定めた。しかしこれはまったく自分の為ではない。世の人の為に食を減じたのだ」

「節食」は「開運」に通ず──その極意を平易な言葉で解説した全編書き下ろし最新刊。

【編集担当からのおすすめ情報】
「水野南北」と言われても、すぐにピンと来る読者は少ないかもしれません。
歴史書どころか、人名辞典などにもほとんど載っていないこの人物は、江戸随一の観相家、人相見だったそうです。
しかし、南北先生の代表作『修身録』は、人相や占いについての本ではありません。むしろ、人相の良し悪しを超え、“食事の量が正しいか否か”“慎みある食事かどうか”で、その後の運命が変わると説いた人物なのです。その根本には、我々が口にする食材はすべて自然由来であり、人は天と地からもたらされる恵みに生かされているという考え方があります。
作家・高橋源一郎さんも注目する南北先生の思想を、ぜひ本書で知ってください。

感想・レビュー・書評

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  • 水野南北の解説について。彼について全く知らなかったため、こういう人がいたと知るのは面白かった。
    彼が解いた言葉の解説などはあるが、それがどういう理念のもとなのか、とか現代の思想と照らして、とか、他の視点からの解説も合わさったらもっと楽しめたかなと思う。
    あとがきに3度読むことを推奨、と書いてあったが、3度読むことで印象は変わるのだろうか。

  •  江戸時代、食を慎むことは運を開く鍵とされた。なかでも水野南北は摂食が人の命運を左右すると説き、『修身録』にその知恵を記した。
     現代、飽食が当たり前となった私たちに彼の教えは静かに問いかける。「命を養うとは欲を制することだ」と。腹八分目の習慣が心を整え運をも引き寄せるという。
     食を慎むことは己を律し未来を拓く道である。食と命をつなぐこの指南書は今こそ一読に値する。


    ---

    もう少し硬め・やわらかめなど、雰囲気を変えたバージョンも作れます。ご希望ありますか?

  • 水野南北について知らなかったし、南北に私淑して教えを実践されているという著者の経歴も失礼ながらちょっと怪しく、どうかなーと思いながら読み始めたけど、意外にもしっかりした文章で、内容もトンデモ本ではない。

    が、とにかく食を「慎む」、本来その人が食べるべき量より多く食べずにむしろ少なくすることであらゆる運が開ける、と繰り返すばかりで、論拠が薄弱。また、これは著者も言うとおり普遍性に繋がる点ではあるにしても、どういう人がどのくらいどう食べればいいのかという具体的な記述がない。あくまで心構えと言うことか。

  • 女子栄養大学図書館OPAC▼https://opac.eiyo.ac.jp/detail?bbid=2000068170

  • 空腹を愉しむ

  • 小食の利:美食肉食と小食粗食 知られざる異才:人間の慎み→寿命 南北相法  小食思想 小食を極める:生まれながらの持ち分のある食 分極論・食の公理 当人の吉凶←食事に書いてある おのれの食を子孫に遺す 食定まって禄定まる 食の驕り=身の驕り 倹約⇔物 生命主義 恵まれた食→不幸 誠心→自得自福 万物の徳を知る:一粒万倍の思想 一身主義思想 貧心忘れるべからず 野菜大食→凶なかるべし 青の論法 美食の都に家滅ぶ 将軍に食なし 過食≒飯を捨てる 腹八分 腹が節に達する→膳より去る 放生に後利益なし 至誠の施し

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著者プロフィール

1960年京都市生。上京在住。考證と執筆では近世近代の独墺音楽、また慶長以降の上方文化がおもな守備範囲。書誌と造本は壽岳文章に私淑。百科書林同人として出版にも携わる。これに並行して、発掘調査、地図製作、観光業、手工藝ほか多様な職歴を有す。酒類を扱うことも多く、JSAの会員でありソムリエの呼称を持つ。2015年に京都を考える集い「上京の石たち」を立ち上げ。友人に兄事して「新日本延命学」を習うことは40年近く、水野南北研究も20年を越える。からだとこころのための「上京福寿館」代表。

「2018年 『江戸時代の小食主義』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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