消された外交官 宮川舩夫 (小学館新書)

  • 小学館 (2025年6月2日発売)
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Amazon.co.jp ・本 (336ページ) / ISBN・EAN: 9784098254699

作品紹介・あらすじ

ソ連軍「満洲侵攻」80年目の真実

一九四五(昭和二十)年八月の日本降伏直後、ソ連第一極東方面軍の前線司令部が置かれていた僻村ジャリコーヴォで、「日ソ停戦交渉」が行なわれた。その場で通訳を務めたのは、在満洲国ハルビン日本総領事・宮川舩夫。だが彼は、単なる通訳ではなかった──。

〈当初、秦総参謀長から停戦会談への同行要請を受けた宮川は、こう答えたとされている。
「外務省に入って以来、今日まで、ソ連関係一筋の務めについてきました。今、国家の重大事に軍使に同行することは外交官として当然、かつ最後の御奉公であります」
(瀬島龍三著『幾山河』)
文字どおり、これが外交官・宮川舩夫の「最後の御奉公」となってしまったのだった。〉

ノンキャリアのロシア語通訳官として任官した宮川は、歴代の駐ソ大使に重用され、「日ソ中立条約」の締結交渉を陰で支えるなど、外務省きってのロシア通として知られていた。その一方で、ウラジオストク総領事やハルビン総領事などを歴任し、対ソ情報収集の最前線に立つインテリジェンス・オフィサーとしても八面六臂の活躍をした外交官だった。

しかし、終戦後まもなく、宮川は外交官の不逮捕特権を蹂躙され、ソ連軍に拘束・収監される。そして、隠密裡にモスクワの監獄へと送られ、起訴されることもないまま獄死した。そうした経緯が明かされたのは、ソ連が崩壊した一九九一年暮れのことだった。

なぜソ連は真実を隠し続けたのか──。
ソ連軍の満洲侵攻から八十年、その舞台裏が初めて明かされる。

【編集担当からのおすすめ情報】
「外交官・宮川舩夫」と言われても、多くの日本人はその名を知らないと思います。私自身、著者の斎藤充功氏から初めて教えられた人物でした。これまで、専門書以外では、ほとんどその動静や経歴が語られてこなかったノンキャリアの外交官です。

斎藤氏は、陸軍中野学校初代校長で終戦時にハルビン特務機関長だった“日本のスパイ王”秋草俊の足跡をたどる過程で、ハルビン総領事・宮川舩夫の存在を知り、関心を持ったそうです。そして今回、本格的に取材を進め、遺族にたどりつきました。遺族の元には多くの資料が残されており、宮川舩夫という有能な外務官僚の素顔が浮き彫りになったのでした。

「日ソ中立条約」締結から破棄へと至る舞台裏、そして「日ソ戦争」の陰で起きていた外交官の奮闘と悲劇が、本書で初めて明らかにされます。ぜひ書店で手に取ってご覧ください。

みんなの感想まとめ

戦後の日本とソ連の外交の裏側を描いたこの作品は、外交官・宮川舩夫の悲劇的な人生を通じて、国家の運命を背負った一人の男の奮闘を浮き彫りにしています。彼は、ノンキャリアのロシア語通訳官として重要な役割を果...

感想・レビュー・書評

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  • 良本です。決してハッピーな内容ではありませんがこの国には必要な歴史が書かれています。
    筆者の熱量には、感謝の念が込み上げます。

    さて、本文。
    家族からすると仕事はほどほどにしてもらいたかったかもしれない。1人の男からすると、そのプライドと責任感と国運を背負った立派な行動だとも思う。

    いずれにせよこれが現実だったのです。
    他にもこんな人がたくさんいたかもしれません。
    戦争は常に起こりうるのですが交戦には反対せざるをえませんね。

  • 2025.08.19
    まずわわかること。
    いま、トランプとプーチンの会談を受けて、ウクライナのゼレンスキーとトランプの会談の結果が報じられている。
    残念ながら、ロシア、ソ連、そしてロシアはまったく信用がならないということが、このノンキャリアの優れた外交官の悲劇を通じてよくわかる。このままでは、アメリカとロシアの都合だけで、ウクライナはむしり取られ続け、蹂躙され続ける。
    次にわかることは、いわゆるキャリア官僚がどれだけ自分の都合だけでノンキャリアの優秀な人をしゃぶりつくして、最後は見捨てるという人々なのかがよくわかる。宮川氏はキャリアの試験の受験を自分の所属する外務省に邪魔され続け、挙げ句の果てにはシベリア抑留の憂き目にあい、最後はモスクワで無念の死に至る。
    歴史の教科書に出てくるような、松岡、広田などという輩は宮川氏のようやノンキャリアの支えがあって仕事ができていた。だから、便利遣いされ続けた。この本の感想を外務省のノンキャリアであった佐藤優氏にもきいてみたいとも思う。日本の組織は本当に人を大事にしないなとつくづく思う。夏の酷暑が続くが、読んでいる間も読み終えても心が冷え冷えとする。

  • 突然メールが、、、「消された外交官 宮川舩夫」を読んで、400字で引用し、その理由を400字で書けという、、、佐藤優さんが出られるオンライン講座の課題だった。
    まさか、課題があるとは、、、ただ、思っている以上に面白かった。
    佐藤さんの講座のコメントの中で印象的だったのは、「宮川氏は、民衆は見えていない。という点に関しては知っておくべきだ」ということ。民衆を離れての国家はないことをよく知っておくべきだと思った。

  • ソ連という国家の在り方はロシアになっても変わっていない。
    北朝鮮、中国みな同じ。
    国家統制のためならば何でもできるところが恐ろしい。
    戦前に斯様な立派な外交官がいたんだ。
    今の外務官僚に国家を憂うる外交官が何人いるのかな?

  • 戦前のノンキャリア外交官、宮川舩夫の生涯を追った1冊。ソ連との外交交渉の実務的な要とも言える人物で、戦後はソ連により拘束・獄中死した。
    宮川に関する記述自体は遺族が残した膨大な資料によって充実したものとなっている。特に若い頃に関しては当時の家制度や外務省キャリアルートの実態を知ることができる貴重なものだろう。
    ただし、遺族の資料ではなく本人の著述部分になると恐ろしく「浅い」。
    まず宮川の生涯を補完するための歴史事象の引用が殆どジャーナリスト出身の「歴史家もどき」ばかりなのがいただけない。半藤一利はまだともかくとして、ソ連の出す資料は批判的論考を全く加えず鵜呑みにする保坂正康をソ連が深く関わる本で引用するのは言語道断であろう。酷いものになるとWikipediaからの引用まである(しかも張鼓峰事件という他に幾らでも参考文献がある事象についてである)。小学館の編集部は止めなかったのだろうか。大学の卒論どころか中学校の調べ学習でも説教されるレベルだが…。
    次に著者の勝手な感情移入が多い。全く入れないことは不可能にせよ、ジャーナリストだから人間の感情が推測できるという傲慢さを感じる。
    総じて資料部分以外の価値が無に等しい。これなら資料をほぼ丸写し編集して「編集協力」とでもすれば良かったのではないか?

    資料の貴重さとしては⭐︎5以上、著者の記述部分の価値は⭐︎1。

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著者プロフィール

斎藤充功(さいとう・みちのり) 1941年東京市生まれ。ノンフィクション作家。東北大学工学部中退。陸軍中野学校に関連する著者が8冊あり、その集大成として『陸軍中野学校全史』(論創社)を刊行。共著を含めて50冊のノンフィクションを刊行。現在も現役で取材現場を飛び回っている。

「2026年 『安重根はなぜ伊藤博文を撃ったのか』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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