灯し続けることば

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 135
感想 : 16
  • Amazon.co.jp ・本 (158ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098400904

作品紹介・あらすじ

「国語教育の神様」とまで言われた国語教師・大村はま、98歳になる今日までの著作・執筆から選びだした珠玉のことば52本と、その周辺。自らを律しつつ、人を育てることに人生を賭けてきた大村はまの神髄がここに凝縮された。 「熱心と愛情、それだけやれることは、教育の世界にはないんです」「したことの悪さより、しかられた傷のほうが大きいということはないでしょうか」「熱心結構、いい人あたり前です」「スタートラインが一緒でも、ゴールには同時に入りません」「しかられ上手であることが必要です」etc.子どもにかかわるすべての大人、仕事に携わるすべての職業人に、折に触れてページを開いて読んでほしい。

感想・レビュー・書評

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  • 時々無性に、思い切り叱られたいと思う時がある。
    どれほど注意しているつもりでも、知らずに間違うことがある。
    そして大抵、気づいたときは間に合わない。
    両親だったら何と道理を説いてくれただろうか。
    甘えだと笑われるかもしれないが、大人になると誰も本気では叱ってくれない。
    苦い思いをかみしめ、間違った地点まで戻っては考え直す。
    その後ひとりで心の灯を新たにともすしかない。

    大村はまさんの「灯し続けることば」は、そんな時のために傍らにある。
    国語教育のパイオニア的存在で、戦後の公立中学校で教壇に立ち続けた方。
    2005年、99歳で逝去されている。
    同じ教材は二度と使わなかったというほど子どもたちにことばの力を伝え続けた方で、残された数々のことばがきっと、皆さんの心にも灯をともしてくれるかと思う。
    ハンディサイズで文字も大きく、すぐ読めてしまう。
    しかしそれで終わりではない。読み終えてからがむしろスタートだ。
    時を重ねながら、事あるごとに読み、咀嚼することばたち。

    以下、少し引用してみる。

    「日常の話したり聞いたり、読んだり書いたりするのが十分で、何の抵抗もなくそれらの力を活用していけるようになっていたら、それが私が子どもに捧げた最大の愛情だと思います。」

    「後になってみれば、一緒に遊んでもらった、頭をなでてもらったなど、そのほかのことは単にうれしかった思い出にすぎません。生き抜くときの力になっていない単なる愛は、センチメンタルなものだと思います。」

    「教師としての子どもへの愛情は、子どもが私の手から離れたときに、人間として一人で生きていく力を身につけさせることだと思います。
    それができなかったら、子どもを愛したとは言えないのではないでしょうか。」

    「したことの悪さより、しかられた傷のほうが大きいということはないでしょうか」

    これほど的を射たことばたちを他に期待することは出来ない。
    教師という職業だけでなく、子育て中のお母さまたちにも、あるいはひとを相手にする立場の方々にもお勧め。心に響くエッセンスの集合体をお読みいただけたらこの上なく嬉しい。
    私もまた、いつも何度でも読み続けたい。

    • nejidonさん
      夜型さん(^^♪
      ちくまの「教えるということ」しか手元になかったので、この本はリクエストしました。
      読んで本当に良かったです。
      今すぐ...
      夜型さん(^^♪
      ちくまの「教えるということ」しか手元になかったので、この本はリクエストしました。
      読んで本当に良かったです。
      今すぐ何が出来る出来ないではなく、理念として抱いているだけでも違うものがあります。
      良い出会いでした。ありがとうございます

      本棚の歴史は怖いくらい面白いです・(笑)
      もう、どうしましょ(*'▽')
      2020/11/26
    • nejidonさん
      goya626さん(^^♪
      その気持ち、よーーーく分かります。
      やさしい言葉でありながら、とても追いつけない領域です。
      でも難しいから...
      goya626さん(^^♪
      その気持ち、よーーーく分かります。
      やさしい言葉でありながら、とても追いつけない領域です。
      でも難しいから良いのです。
      熱心とか一生懸命と言うレヴェルで褒められても嬉しくないですもんね。
      だってそれは当たり前ですから。
      2020/11/26
    • 夜型さん
      人のお話を聴くときもそうなのですが、本の良さがわかるには、素直さと、わかるための素あるいは種がなければなりません。
      うまく、本たちとnej...
      人のお話を聴くときもそうなのですが、本の良さがわかるには、素直さと、わかるための素あるいは種がなければなりません。
      うまく、本たちとnejidonさんがマッチングしたようでよかったです。
      よい化学反応が起きていますでしょうか。
      レビュー待ってますね。
      2020/11/26
  • nejidonさんのレビューで読みたくなった本です。

    目次にある短く強く辛い(からい)言葉がタイトルになり、短い説明がついています。

    こういう形の本で初めて、ひとつもぐさっと心に刺さらない章がないというのは初めてでした。それくらい最後までひとつひとつが精査されているんです。

    教育のプロの哲学です。圧倒されます。怖くてすぐに二度目など読めないくらいに、生き様が圧倒的でした。

    いつの時代にも通じる教えです。
    特に人を育てる職業の方には、突き刺さり、指針になり、真似などできないまでも、少しで良いので近づきたいという憧れを抱かせてくれるとような書物です。

    とても素敵に苦しい読書でした。ありがとうございました。

    • nejidonさん
      Michiyo Kさん、ありがとうございます!
      「いいね」をいくついただくよりも、こうして読んで下さるのが一番の喜びです。
      読みながら胸...
      Michiyo Kさん、ありがとうございます!
      「いいね」をいくついただくよりも、こうして読んで下さるのが一番の喜びです。
      読みながら胸がいっぱいになってしまいました。
      大村はまさん、素晴らしい方ですよね。
      とても手が届かない方であっても、本のおかげでこうして遺された言葉に出会うことが出来る。
      そして新たに読んで下さる方も。嬉しい限りです。
      感謝です。ありがとうございます!

      2020/12/17
    • Michiyo  Kさん
      nejidonさん、素敵な本のご紹介、本当にありがとうございました!
      『本のおかげで遺された言葉に出会うことができる』
      本当にそうですね。
      ...
      nejidonさん、素敵な本のご紹介、本当にありがとうございました!
      『本のおかげで遺された言葉に出会うことができる』
      本当にそうですね。
      大村はまさんは1906年生まれ、2005年に亡くなられているので、もうお姿は見られないのですもんね。
      お声を聞いてみたかった、どんな話し方をされる方なのか知りたかった、と思います。
      でも言葉から想像するのも楽しいです。きっと低めの落ち着いたお声だろうとか。
      いつも私が直接は出会えそうもない本をご紹介くださって、楽しみにしています。nejidonさんのたくさんのお仲間とのやりとりも楽しく読ませていただいています。時折、それが本を読むより面白かったりしています。これからもよろしくお願いします!
      2020/12/17
  • 市立図書館で読みました。
    大村はまさん。
    いつも気づかせてくれます。
    初々しい感動を自分が感じていなければ伝わらない、その通りです。
    新たな一滴を、常に求め続けなければなりませんね。
    自分らしくないときは、小言は言わない。
    私は意識していませんでした。
    その通りだと思いました。
    気をつけます。
    余分なことを言わないで済むかもしれません。

  • 自分なりの教育観、授業観、子ども観を身につける。そこから本当の教育が始まる。

    所蔵情報
    https://keiai-media.opac.jp/opac/Holding_list/search?rgtn=090065

  • 4

  • 常識的で一般的な正しさ、固定した見方にとらわれないように・・・本当に注意する必要のあるときは案外少ないものだ/しかられた傷のほうが、したことの悪さより大きい、そんな過酷なことがないように/ほめる種をまく大切さ/興味を持つべきことに興味を持つように連れて行く/自然に背筋が伸びるようにする/「忙しい」は禁句/”一生懸命”はあたり前/心の中に、百のお話を/聞き返されたら、自分の話し方がまだ十分ではない証拠/「裾を持ちなさい」小言でなく、具体的で必ず成功できることを適切に指示/「少し上手になりたい」と心がける

  • 抜粋

    今日の太陽が昇って、昨日の自分とは違う新しい自分がいる、そういう激しい成長力のようなものが子どもを動かします。
    教師という職業の拠って立つものは何か。子どもに一人で生きていける力をつけること、そのための技術を持っていることでしょう。
    子どものようすに惑わされず、自分の指導が本当に正しいか、子どもに力をつけているか、それを見きわめ、自分で全部責任をとっていく存在なのです。
    子どもが発表し終わると、必ずその指導者を見る。その時に、ねぎらいの気持ちを込めて目を合わせる。
    ほめる種をまくほうが大切。
    勉強のことは、どこまでも自分の責任と思って指導を工夫するのが、専門職としての教師。
    自分が調子悪い時は、小言を言わない。言い過ぎたりキツ過ぎたりする。
    「仏様が、ちょっと指で車に触れられました」自分が努力して出来たという自信から、生きる力をつけるように仕向ける。
    子どもが嫌なことを言ったら、少し傷ついた顔をして、子どもが満足する演技をする。
    子どもがだめなのは、どんなに言い訳をしてみても、やはり教師の不始末のせい。
    力は使い切ったときに伸びる。
    「一生懸命」というのは、あまり上手でなかった時に励ます言葉。自分のことをそう言うのは、人の批評をうかがって自分を鍛えていこうとする人の言葉ではない。甘い言葉。一生懸命は当たり前。子どもにも使わせない。
    「優も劣も」といった時に、教室では「劣」のほうに重みがかかってしまい、その子たちの面倒を見ることで教師が満足して、「優」の子を退屈させてしまうことが多い。
    聞き返されたら、自分の話し方がまだ十分ではない証拠だと思って、工夫を重ねたいものです。
    自分で自分をかばうような言葉が過ぎると、批評の言葉を封じてしまいます。自分を育てるお言葉をいただけないようになります。謙虚な心、自分に対して厳しい心が、「しかられ上手」につながります。
    小言でなく、具体的で必ず成功できることを適切に指示できてこそ教師。
    持ち合わせの力や知識でやらずに、「すこしでもよく」と意識して取り組む。
    「この子たちは自分をはるかに乗り越えて、未来の国をつくっていってくれる人なんだ」そういう敬意をもって、子どもという宝物に接していかなくてはならない。
    なんにも用意してこなかったと言ったのも、私の案でした。いろいろな案があってこそ、ないように見えるすばらしさが心にしみた。案はいくら練っても練りすぎることはない、それを重い感じにならないように気軽に聞いてもらうために苦心がいる。

  • 国語教師として、長い教師生活を送った著者の大村はまさんが、教師に
    ついて熱く語っています。1つ1つのことばに、改めて教師はどうあるべきか考えさせられます。

    鹿児島女子短期大学:ばく

  • 教師は裏方なんだと再確認。子供をいかすためにいかに心を尽くせるか、努力できるかが書かれていたと思います。原点。

  • 教師としての姿勢を教えてくれる。文章から品を感じて、心に響くことばかりである。

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