偽物協会 (2) (サンデーCSP)

  • 小学館 (2022年6月10日発売)
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本 ・マンガ (192ページ) / ISBN・EAN: 9784098511785

作品紹介・あらすじ

普通でいることに 疲れたあなたへ__

偽物協会とは…
たのしくて、やさしくて、ふんにゃりカオスなそんな場所です!!

人間の偽物・綿子が加わってからも、
偽物協会は依頼や事件に大わらわ!

踊り出すカツレツ、動き回る絵の具、汚れを嫌う真っ白な紙。

さらには会長の弟まで登場して……
どうなる綿子!?

「偽物」たちの ふんにゃり不思議でドタバタな日々は加速中!

楽しさいっぱいメルヘンチック偽物コメディー、第2巻!!

【編集担当からのおすすめ情報】
単行本限定おまけ!!
キャラクター設定資料集&らくがき集もドドンと10p収録!!
白井先生のコメント付きです!!

感想・レビュー・書評

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  • 本物の枠からはみ出してしまった偽物たちが集う偽物協会。その会長に助けられた、不安になると体が毛布になる女の子・綿子。偽物たちとのふんにゃりカオスな日常が描かれるメルヘンチックコメディー!

    会長の弟・世迷も登場!毒舌ながらも繊細な感情を隠し持つ彼。ラベンダーの逸話がよかった。大切な人を陰で想うあまり、無害な花になった少女。有害な片想いよりもいいと言う世迷に、有害な花が咲いていること自体、美しいことだと思うと返した綿子の視点にハッとさせられた。包み込む毛布のようなやわらかい哲学。

    絵を勝手に広げてしまう絵の具、汚されたくない白い紙、様々な偽物たちが登場する。紙の偽物によって言葉を空白にされた協会メンバー。しかし、言葉を失うことで何かを伝えることの窮屈さや恐怖から解放されて、さらに「生きるって戻せない汚れで空白を汚し続けているのかも」と洞察が深まるのが素敵だった。

    絵の中に入って、油絵のでこぼこした地面を歩いていくシーンはまさにファンタジーで好き。トンカツの話は絵本みたいでほのぼのする。ラストの会長の過去も胸にしみた。「偽物」だった自分を「特別」に変えてくれた出会い。普通とか本物とかいう概念に縛られる現代こそ、こういう発想が大切なんじゃないかなと感じた。

    最後に好きな文章を引用して終わります。

    「相手を想う気持ちを何か返したいと思った時──相手の視界に入らないのが一番だって気づいてしまうことだってある。それでそのおまけに無害で美しい花になれちゃったら出来過ぎじゃね?それってすげえベストだよ。相手にとって有害な片想いより。」
    「…私は、有害な花が咲いていること自体、美しいことだと思いますけどね…」

    「何かを伝えるきゅうくつさや恐怖から、解放されているからかもしれない。空白を汚してしまう自分から。私 今まで上手な言葉と下手な言葉があると思ってた。自分の下手な言葉ばかりが空気を汚してしまうみたいに思ってたけど…けど良い言葉も悪い言葉もどっちも空白を汚しているのは一緒なのかもしれない。だってどんなに美しく折った紙も、折り目は付いてしまうもの…生きるって戻せない汚れで空白を汚し続けているのかも……」

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