- 本 ・マンガ (192ページ)
- / ISBN・EAN: 9784098531813
作品紹介・あらすじ
動物たちの感情を紡ぐ法獣医学ミステリー!
法獣医学を学び深めていく当麻は、
北海道を離れ、東北の大地を訪れる。
そこで遭遇する新たな事件と視点。
今巻で描かれるのは、
イヌ、イワツバメ、カルガモ、ウマ、バラトソウスケ――
人と動物の狭間に横たわる価値観に触れる。
激動と激情を紡ぐ法獣医学ミステリー!
感想・レビュー・書評
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法獣医学を学ぶ当麻は、達美先生の勧めで学会へ勉強しに行くことに。北海道を離れ、学会が開かれる東北獣医大学へと向かった。現地での学会の後、イワツバメの大量死という事件に遭遇。学会で出会った一つ年上の青年・神里とともにその原因を探る!
最初の「ケガワ」のエピソードからよかった。資料館に展示されている外套と老人の物語。その外套は陸軍でかつて使われていたもので、その毛皮の鑑定依頼のために当麻たちは資料館を訪れた。すると、ヒツジ・ヤギと書いてあるはずが、犬の毛皮を使っているらしく──。
戦時中は外套の毛皮として犬も集められていたとのこと。極寒の満州で戦う兵隊のことを考えるとやむを得ない。だが、愛犬を手放すことが軽くなるわけではない。日雇いでと殺する仕事もあったというのは過酷すぎる。
「人に触れられると錆びついてしまう、否定も肯定もされたくない感情ってありますよね。」
そう老人に声をかけた当麻が素敵だった。外套の模様に愛犬を思い出し、展示に足を運び続けた時の重さ。一話完結でも読み応えがある。
東北獣医大学での「イワツバメ」編は当麻のスタンスがハッキリしてよかった。そこで出会ったのは同じ完全記憶能力を持つ学生・神里。彼は当麻へ問う。
「野生動物医学の使命は、『個体の救護』か、それとも『生態系の保全』か。大切なのはどっちだと思う?」
この質問に対する答えは、とても納得感がある言葉だったと思う。
「人を動かす原動力は気持ちだと思ってます。『生態系の保全』の大切さを伝えるためにも、『個体』を『救護』して野生動物の大切さを多くの人に示し続けるべきだと思うんです。だから『どっちも』です。」
かねてから当麻が大切にしてきた思い。これは優柔不断ではない。不断の努力への決意表明なのだ。イワツバメの大量死という事件を経て、当麻の価値観を取り入れていくツンデレな神里が面白かった。基本は見下してくるけど(笑)
よくニュースで見るカルガモの親子の話もほっこりした! そして、環境省で働く当麻の父と茨戸の会話もしっとりと沁み込んできた。茨戸はバーテンダー姿が似合いすぎ!詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
今回は読み応えあった。
それにしても…戦中は残酷な事だらけだな…
この話、実は知ってたけど…。
主義主張が違っても、きっと皆んな優しくて、少し不器用な正義感をもつ人達なんだろう。 -
敵みたいなキャラ登場か!?と思ったけど、そこまで悪者ではないし、せいぜい好敵手ってところ。物語は相変わらず面白い。
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