本ページはアフィリエイトプログラムによる収益を得ています
本 ・マンガ (228ページ) / ISBN・EAN: 9784098600960
作品紹介・あらすじ
空海と最澄!激動の時代に立ち向かう二人
既刊重版続々!
唐で留学生として学ぶ空海は
期間20年の決まりを破って、日本帰国を目指す!
一方、ひと足先に帰国した最澄は
桓武天皇の崩御による政変に巻き込まれていく…
8世紀の平安期、二人の天才・空海と最澄を
おかざき真里が華麗かつ剛胆な筆致で描き出す
圧倒的歴史大河ロマン第8集!
【編集担当からのおすすめ情報】
東京国立博物館特別展「仁和寺と御室派のみほとけ-天平と真言密教の名宝-」でのグッズコラボ、BS朝日「京都ぶらり歴史探訪 歩いてわかる弘法大師・空海」におかざき氏出演と話題が続いている注目作です。歴史が大きく動き始め、新たな展開を見せていく第8集、是非ご一読ください!
感想・レビュー・書評
-
20年の留学期間を待たずして日本への帰国を決意した空海。運良く、一緒に旅立ったが難破した高階遠成の第四船が再到着。遠成がそのまま空海を乗せて日本に帰国することを請け負ってくれる。自分は唐に残るしかないと思っていた逸勢に空海が声をかけ一緒に帰国することに。(空海、逸勢には一緒に来てほしかったんだな)(可愛い)
しかし霊仙はこのまま唐に残ることを選び、さまざまな別れがやってくる。アーラシュは空海にゾロアスターの火の儀式を見せてくれる。白居易は宗教ではなく詩の力で後世に名を残す宣言。恵果和尚は入寂。どの宗教も、政治との兼ね合いで迫害されたり弾圧される可能性がここでちらりと示される。
悲しかったのは唯一の癒しだったリィフォアが…。彼女はもともとモンゴル遊牧民で敵対する一族から狙われていたので長安に身を隠していたが、国に戻れることになり、ちゃんと女の子の恰好で会いに来て、大好きだった逸勢におそろいの棗の首飾り渡して…。再会を約束したのに…。運命は残酷だ。
そうして空海と逸勢は無事帰国。しかし留学期間を破って戻ってきたため大宰府に留め置かれることになる。だが桓武天皇が崩御したため都の政情が変わり、貴族の逸勢だけは都に呼び戻される。
都では、安殿が平城天皇として即位。安殿の側近は、征夷大将軍の坂上田村麻呂と、空海&最澄らと遣唐使として旅立ち先に帰国していた藤原葛野麻呂。二人とも安殿に手を焼いているが、彼の性格を考えると従わざるをえない。 安殿は早速、桓武に追放された薬子を呼び戻し、彼女にべったり。
薬子、初登場時からいつも台所でつまみ食いしていて、その描写がなんともいえず彼女の品性のなさを表現していてすごい。
即位しても安殿の劣等感はなくならず、薬子もまた嫌われ者。伊予の母親であり人望のある藤原吉子を薬子はライバル視しており、伊予を排斥したい安殿と利害が一致。伊予と吉子は謀反を企てたという無実の罪を着せられ投獄されてしまう。餓死させられる前に二人は毒を飲んで自殺。
そのころ最澄は、高階遠成と坂上田村麻呂(声大きいチーム)を経由して、空海から託された『請来目録』を手にする。しかしこれは目録にすぎず、目録に記された経典を読むため、最澄は空海のいる大宰府に向かおうと決意、声大きいチームの協力もとりつけてウキウキだったが、そこへ伊予自殺の報…最澄はまたしても、朝廷の事情で自分のやりたいことを完遂することができなくなってしまう。本当に彼は「運がない」
その後も、南都の妨害工作などで天台の僧は報われず、最澄は自分のもとにいないほうがいいとあえて弟子たちを手放したりしていたが、勤操がそんな最澄の支えになる。勤操和尚、空海だけでなく最澄のことも支えてくれて有難さしかない。
一方空海は、大宰府で教えを広める決意をし、ゾロアスター教の火を取り入れて人民の心を掴む。
そしてかつて伊予の教育係だったため隠遁し勤操に匿われている阿刀大足(空海の叔父)と智泉のもとへ、空海は帰ってくる。そこへ逸勢も合流!空海のほうはいつもファミリーがいるんだよね、いいな。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
諸行無常って、ホントそうだなぁ、って…知らない事で無かった事にもなるんだけど…後に怨霊となるが、おかざき真里さん描く橘逸勢がイケメンって事もあるけど、求められる事は出来ないし、求められてない事には秀でているのに誰も褒めてくれない感じが凄く好きでね…字が上手な事は、空海は気付いてるんだよね…空海も美しい字が書けるからこそ、すぐに気付くんだよね…そう言うの、凄く救われる事だと思う。速成は実は武道もきちんとたしなんでいて、リフォアを狙った暗殺者をやっつけたりするんだけど、武闘派を語ってもお前のその立場では必要ない、と言う、とにかく良い所があるのに、生まれの境遇で不遇を舐めたからこそ飄々としてて、その速成が真剣に自分の意志で口に出した言葉なんだろう…「ここからが人生だ。」
「美しすぎる」と言い放たれた最澄が、それでも純粋な水は混ざらないと静かに言い返す場面。この間、ある人に言われた事に、合点が行かず、それでもなお、と私も私なりに「容認し肯定したふりをする」が出来なかったので、もうこの場面は物凄く心に沁みた…混ざるようなくらいの覚悟では駄目なのです、と言ってるんだろうな…最澄は。それが「険しい道」「災難を招く」とよそ目から見れば思うんだろうけど、それを踏まえた上で混ざらない事を追及するが使命、それくらいの覚悟はとっくにした上で、最澄は密教で空海と結ばれてく前振りの8巻だった…
この、空海が義操に贈った詩が美し過ぎる。
『同法同門 喜遇深し
空に遊ぶ白霧 忽ちに岑(みね)に帰る
一生一別 再びまみえ難し
夢に非ず 思中にしばしば尋ねん』
『阿・吽』は「仏教を知らない」人間が興味を持つのには良いきっかけになると思うけど、仏教の成り立ちとか小難しい事は一切描いてない。あくまでも「人間」が描いてあって、今の日本の中で生きててしんどいな、辛いなと感じる時、もしかして自分の意固地な性格の性かも…と思ってる人は読んで欲しい。立場だけで物を言う社会の中の誰とも知らん人間の言葉を聞くより、自分の事が解る漫画だ。 -
ホラー寄りのSF風味が上手くまぶされていて、相変わらず圧巻の迫力。歴史の授業でしか触れたことのない二人だけど、他の物語も読んでみたくなる。司馬作品とか。
-
平城帝即位後の混乱。
最澄の苦悩と運の悪さ。
空海の爽快さ。
坂上田村麻呂の豪胆さとその裏に潜む悲哀。
この時代は確実になにかが「要請」されていたことがよくわかる本巻。 -
川崎DICE
-
逸勢……生きて……(支離滅裂な以下略)
-
空海が予定を繰り上げて日本に帰って来ました。本朝は、桓武が崩御し、平城天皇が即位、薬子も姿を見せて、不穏な雰囲気です。 旧勢力が支配する宗教界に対して、空海と最澄が新たな時代を切り拓いていくのですね。
著者プロフィール
おかざき真里の作品





