健康で文化的な最低限度の生活 (9) (ビッグコミックス)

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  • Amazon.co.jp ・マンガ (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098606436

作品紹介・あらすじ

1年ぶりの最新刊!「貧困ビジネス編」始動

生活保護ケースワーカーという仕事の
やり甲斐と難しさをわかり始めた公務員・義経えみる。

入庁3年目の春を迎えた彼女が、
新たに担当を引き継いだ受給者たちはみな、
「オレンジパルム」という名の同じアパートに住んでいた。

累計90万部(紙+電子)突破!
“生活保護”CW(ケースワーカー)奮闘記、最新刊。
この国の格差の凝縮である「住まいの貧困」に迫る
「貧困ビジネス編」始動…!!



【編集担当からのおすすめ情報】
連載中の「週刊スピリッツ」誌上でも大好評を得ている「貧困ビジネス編」。目を背けてはならない「住まいの貧困」という問題をテーマに据えたこの新章も、さまざまな方々への取材をもとに構成されており、現代日本の抱えている歪みと、食う食われるの人間の業が見えてきます。今回のコロナ禍によって、いっそうあらわになってきた日本のリアルについて考えるキッカケとなる本格社会派コミックを是非ご一読ください!

感想・レビュー・書評

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  • 小説で生活保護問題を扱うと大抵は「貧困ビジネス」が出てくるから、生活保護費を不正に盗る貧困ビジネスはセットだと勘違いする読者を意識してか、9巻目にしてやっと出てきた。制度と貧困ビジネスは、決してセットではない。ということを前提にして読んで欲しい。どうも今回はその序章っぽい。

    10年前、労働運動との関係で、ひとつの貧困ビジネスの現場を見た。目の前に、倉庫の2階を薄い板で仕分けしてひと部屋として住まわせていた鰻の寝床があった。
    「すごい!こんな地方都市にもあるんだ」
    と、思った。
    いつもしっかり実地調査をして、生活保護制度の実態を描くこのシリーズは、そんなわかりやすい場面は、過去の一コマとしてでしか描かない。

    ここに登場する角間さんは、埼玉の無料定額宿泊所から逃げてきた生保受給者だ。生保が切れていないので、埼玉に帰るように勧める主人公・義経えみるを、角間さんは無言で振り返る。無口な男ではあるが、このシリーズを読んできた読者には、いろんな反論、言い訳、訴えを語っている事を「想像」することができるだろう。結局彼は埼玉に帰らず、空腹で雨に濡れているところを、貧困ビジネスのブローカーらしき人物に拾われる。

    角間さんが無言で思っていた事はいったい何なのか。おそらくこのマンガの中では全面的に明らかにならないと思う。生保受給者には、その受給者の数だけのいろんな人生があり、そのひとつひとつの事情は、育成環境だったり、色や欲からくる人生の間違いだったり、運の無さだったり、病気だったり、ホントに様々で、ケースワーカーの仕事は、それを解決することではないからだ。ただ「勘違い・思い違い」は正すことができる。それが、それだけでも、正しい知識や判断を知らされる事はもしかしたら男の人生にとってはとてつもない人生の岐路になるのかもしれない。というようなことを、貧困な私の経験から思ったりもする。このマンガは、その経験を少しだけ豊かにしてくれる。

    だから、この作品は出版されると取り寄せて読むようにしている。毎度のことながら、巻末の「教えて半田さん 住まいの貧困編」は、肯(うなず)ける事ばかり書いていた。

  • マンガコミュニティの「アル」、『健康で文化的な最低限度の生活』最新第9集発売を記念したコラボレーション企画を開催
    https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000015.000041122.html

    健康で文化的な最低限度の生活 9 | 書籍 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09860643

  • 漫画喫茶にて読了。

    「貧困ビジネス問題」に切り込む話。
    生活保護の手続きに同行するNGOの存在(担当する公務員が制度の内容をきちんと把握できていないかチェックするこために)の助力があるケースが冒頭にある。
    その類似系のようでありながら、貧困ビジネスと呼ばれる犯罪があることが語られる。
    被害にあっていると思われる受給者たちは最初「いろいろと良くしてくれた人に会い、薦められた」と口をそろえる。「オレンジパルム」というアパート。

    一見するとルールから逸脱していないようでいて、影で巻き上げられている可能性が示唆される。
    同じアパートメントというところに、大家が絡んでいそうな雰囲気。
    事務的にしか仕事をこなさない五反田がスルーしてしまっていた問題に、えみるは気づく。

    現場の問題も垣間見れる……
    2年おきに職員の配属先が変わってしまう可能性が高いお役所仕事。専門性が培われない。また、不本意な人事で仕事がおざなりの可能性も……
    ケースワーカーとは単なる事務職ではないことを痛感。

    えみるが恫喝されたシーンでは、女性だけだと危なっかしい現場の雰囲気がうかがえる。
    やくざがいる…
    そこに組織として守ってくれる人がいることの重要性を感じる。

    半田さんが兄貴分なら京極係長はお父さんのような存在に見えて、ちょっとクスッとしてしまった。

  • 貧困に関わっていると、貧困ビジネスに関わらざるを得ず、今回は貧困ビジネスと住まいの問題がテーマ。今後、どのような展開になるか目が離せないが、次に出るのが半年先なので、間が伸びそう。

  • 新年度。去る人がいて入る人がいて、いかにも「新章突入!」というムードの中、「貧困ビジネス」編スタート。生活しづらくて喘ぐ人々がいる一方で、必ず存在するそんな人に群がって利益を得ようとする人々。マフィア紛いの闇組織に、役所はどう対処していくのか…。相変わらず、キツイけど目を逸らせない作品。

  • 裏社会が存在するのかと思うと恐ろしい。。
    救いたくても縦割り社会だし 無責任な担当者であれば関係の無いことに手を出して仕事を増やしたくないと思うだろうし、、ケースワーカーの責任感の持ちようで人生が変わることもある。

  • 毎回息を詰めるようにして読んでしまう。今回は最近でもまだ話題に上ることもある、無料低額宿泊所周辺の話。無料なのか、低額なのかわからないが、とにかく人間の住める環境でないところも多いと聞く。最近ではこの問題が取り上げられるようになって、改善されてきているところもあるらしいが、まだ玉石混交だという。自分もいつ生活保護を受ける境遇になるかわからない。自分の身のこととして捉えながら、読んでいるつもり。ワーカーさんには感謝。

  • 約1年振りの単行出版。次の案件は、貧困ビジネス。まだ、本巻では、まだその実態が見え始めてきた段階。今後、主人公は、どのように対応していくのか。

  • 726.1||Ka77

  • 漏れてますよ、心の声が… 行き場を無くした屑共が、窓口に集まってくるよーな職場… ホームレスから生活保護申請…無料低額宿泊所へ。そこから失踪して再びホームレス…そしてまた別の区で生活保護申請。 居宅(アパートなど)を設定して保護利用するように定められています 無低=貧困ビジネスというような捉え方も確かにありましたが 「生存」から「生活」に支援を転換することは

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著者プロフィール

柏木 ハルコ(かしわぎ はるこ)
1969年、千葉県生まれの漫画家。千葉県立東葛飾高等学校卒業、千葉大学園芸学部卒業。1995年『いぬ』でデビュー。
代表作に、2008年映画化された『ブラブラバンバン』、そして2018年7月からドラマ化された『健康で文化的な最低限度の生活』。

柏木ハルコの作品

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