塀の中の美容室 (ビッグコミックススペシャル)

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感想 : 17
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (166ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098607372

作品紹介・あらすじ

女子刑務所内の、一般人が通う美容室にて

女子刑務所の中に、
“受刑者が一般客の髪を切る”美容室がある。
美容師は、重い罪を犯した者。
だけどそこには、いつも青空があった――

服役中に美容師となった小松原葉留は、
女子刑務所内の美容室で、一般客の髪を切っている。

天井から壁まで青空が描かれた
その美容室を訪れる者は、
小松原がもたらす静かな時間に
いつしか心を洗い流され……

小松原はなぜ、美容師として鏡の前に立つのか。
客たちはなぜ、そこで髪を切るのか。

『アルティストは花を踏まない』の新鋭が贈る、
ひとりの受刑者と、社会を生きる女たちの
あたたかな再生の物語。

空はどこまでも、青く、深く。
誰の上にも、きっと――

描き下ろし美麗カラーイラストも収録!






【編集担当からのおすすめ情報】
「何かに一度つまずいたり、転んだりした人が
また立ち上がる姿を描きたい」と語る小日向まるこ氏。

桜井美奈さんの同名小説(双葉文庫)を原作に、
悩みながらも前に進もうとする女性たちの姿を
繊細なタッチで描き出します。

前作『アルティストは花を踏まない』にて
第23回文化庁メディア芸術祭マンガ部門
審査委員会推薦作品に選出された、
小日向まるこ氏の新境地。

連載時、かつてない反響を呼んだ
やさしくてあたたかな物語です。

感想・レビュー・書評

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  • 『塀の中の美容室』~心に青空が広がる場所~ : |本の泉|有隣堂|
    https://www.yurindo-izumiblog.jp/archives/57496321.html

    小日向まるこ|pixivFANBOX
    https://igjyonbf.fanbox.cc/

    塀の中の美容室 | 小学館
    https://www.shogakukan.co.jp/books/09860737

  • 女子刑務所の中にある“受刑者が一般客の髪を切る”美容室を舞台にした作品。受刑者・葉留と客、刑務官たちとの交流が連作短編で描かれていく。こういう場所が実際にあるんだと初めて知った。受刑者にハサミを持たせて大丈夫なのかな?という読者の疑問を解くように、取材記者の体験から物語を始めるのが上手いなと思った。

    空の中のような美容室のデザインも素敵だよね。カラーページも収録されていて、その柔らかな雰囲気が伝わってくる色彩が好き。重い物語ではなく、読み終わった後はこの青空を見上げているような清々しさが残るストーリー。「井の中の蛙 大海を知らず されど空の青さを知る」という言葉も心の中に余韻を残してくれる。

    第3話の鈴木公子さんの話がほっこりする。夫を亡くし、地元に戻ってきた公子。退屈な日々を過ごしていた彼女が、この美容室に通い始めて少しずつ変わっていく。表情が柔らかくほぐれていくのを見ていると、こちらの胸まで温かくなってくる。シャンプーの時にあの青空を見上げたら気持ちいいだろうね。

    大切な髪を背中とともに預けるって、とても大きなことだったのかなと感じた。生活の一部だった髪を切るということが、心の中を晴れやかにするひとときだと気づかせてくれる物語だった。

  • ジャケ買い。女子刑務所にある、受刑者が美容師をする美容室の話。彼女の罪状は殺人未遂。それ以外は至って普通の女性で、オムニバスの話も日常的で、ほろりと泣ける。よくぞ出会えた。

  • 犯した罪は消えません。過去は変えられないからです。過去を忘れたくて髪を切る人もいれば、忘れないようにと髪を伸ばす人もいるでしょう。塀の中で美容師の資格を取った主人公は、刑務所内の美容室で社会復帰に向けて一般人の髪を切リ続けます。自分自身は髪を伸ばし続けています。ある日、病気の治療でこれから髪が抜けてしまうという高校生に「過去を大切にしようと、そばに置いておく人がいてもいいと思うんです。」といって自身の髪でかつらを作るよう勧めます。塀の外に出た主人公は、外に出て自分自身の髪をどうしたかはまでは言いません。思わず目頭が熱くなる場面もありました。塀の中で罪を償い社会復帰しようとする人たちを応援したい気持ちになりました。青空を背景に髪を切る美容師が描かれた表紙に、初めはとても違和感を感じました。しかし、読めば納得です。

    • NAGIさん
      コミック化されたのですね。
      以前、桜井美奈さんの原作を読みましたよ。
      読めて良かった本でした。

      コミック化されたのですね。
      以前、桜井美奈さんの原作を読みましたよ。
      読めて良かった本でした。

      2020/11/09
    • 権大納言さん
      読み終えてから原作があることに気づきました。私も読んでみたいです。
      読み終えてから原作があることに気づきました。私も読んでみたいです。
      2020/11/09
    • NAGIさん
      いつか、ぜひ…読んでみてください。


      それと…
      こちらの細かい設定を理解しておらず…(苦笑)、改めて、また設定をいじってみました。...
      いつか、ぜひ…読んでみてください。


      それと…
      こちらの細かい設定を理解しておらず…(苦笑)、改めて、また設定をいじってみました。
      私の方、コメントできるようになったと思いますので、よろしくお願いします。
      2020/11/09
  • 漫画読みとして、自信をかなり持って、これは良い漫画だ、と他の漫画読みに勧められる
    表紙を見れば、勘の鋭い漫画読みなら、なんとなく察しがつくだろうが、実に心優しいストーリーだった
    胡散臭い言い方と捉えられるだろうが、読むと、人間に対しての期待や希望を捨てずに済む
    少なくとも、私は、人は気持ちさえ切らさなければ、やり直す事が出来るし、やり直していいんだ、と思えた、この『塀の中の美容室』を読んで
    ざっくり、中身を説明すると、軽いとは言い難い、とある罪を犯した女性が、血に濡れ、重い罪の枷を付けられた手に、「美容師」と言う資格、職業、そして、矜持を得て、心を再生していき、更生するチャンスを自分で掴んでいく、そんなストーリー
    所詮は、作り物のストーリーだ、と貶す者もいるだろうが、そういう奴は、罪を犯しても反省せず、真っ当に生き直す事も出来ない、可哀想な奴だ、と勝手に思う事にしているので、この『塀の中の美容室』がバカにされても怒る気にならない
    優しくて、暖かくて、けど、甘過ぎはしないストーリーに、小日向先生の柔らかい絵がよくマッチしていて、より読みやすくしてくれている
    何様、と言われそうだが、こんだけの内容を、よく、この一冊に見事、入れ切ったものである。こういう話を纏めて、整えるセンスが、私はまだまだなので、実に羨ましい
    どんな人に読んでもらいたいのか、と聞かれると、少し迷うが、やはり、色んなことが悩みの種になっている学生に読んでもらいたい、漫画の力を信じている人間としちゃ
    この『塀の中の美容室』が肩の荷を軽くしてくれたり、背中をそっと押してくれたりするか、それは判らないけど、自分が今、立っている場所くらいは教えてくれ、なおかつ、自分と見つめ合う余裕を与えてくれるはずだ

    この台詞を引用に選んだのは、グッと来たので
    綺麗事かもしれないけど、あながち、間違っている訳でもない
    世の中、多くの事に手を出し、どれも上手く出来る、器用な人間ばかりじゃない
    確かに、やる事なす事が裏目に出て、落ち込みたくなる日も、人生にはある
    ただ、いい日だってやって来る。来ないなら、こっちから行くか、引っ張って来ればいい
    今の自分に出来る一つの事から、コツコツと熟していく、それも成長していく方法だ
    出来る、を一つずつ増やしていけば、いつか、出来ない、も減っていく
    そうしたら、きっと、苦しい時に泣くばかりじゃなく、笑える強さも得られる気がする
    人生、悪い事ばかりだ、と思っていたら、いつまでも良くなったりしないんだから
    動き出さなきゃ始まりませんからね、なんにも
    「ひとつ、何かにつまづくと、いろんなことが連鎖して、ダメになってしまったりして。それで、何もかもうまくいかない時に、一度に全部考えると、余計にこんがらがってしまったりして・・・だから、逆に、とりあえず、ひとつだけ決めて、頑張ってみたら、他のことも、また連鎖して、いい方向に進むような・・・そんな気がします」(by小松原葉留)

  • Twitterで1話を載せてくださっているのを見て、続きが気になり読みました。
    重い題材と思いますが、優しい絵で読みやすかったです。
    もう少し読みたかった気もしますが、余韻が残るくらいでちょうどいいかもしれません。

  • 2020.11.26読了。
    井の中の蛙、大海を知らず。されど空の青さを知る

  • 堀の中の美容室でゆっくり人生と向き合う女性たち、その描写が丁寧で好きでした

  •  お話の雰囲気と絵がすごく合ってて、空気感がめっちゃ良かったです。

  • 一面の青空の天井という設定にも、単話の内容にも、小日向さんの優しい絵にもほっこり、幸せな気持ちになった。小日向さんの絵を初めてみた時からとても癒される好きな絵だな、と思い調べてみると刑務所に関する漫画があるとのことで手に取った。刑務所の中に美容室があるというのも「空の青さを知る」という諺の続きも知らず、新しい発見がいくつもあった。今は和歌山、笠松(岐阜)、栃木にしか刑務所内に美容室がないというが(理容室は川越、函館少年刑務所)、PFI刑務所ができるもっともっと前の70年前から、刑務所が社会に開かれていたことに驚いた。こういう人と関わる職業訓練がもっと増えて、相互の理解ができる場がたくさんあったらいいのになぁと思う。管理する側は大変だし社会の理解も得られにくいのかもしれないけれど、閉ざされていることはさらに理解を難しくしている一因でもあるだろう。まず少しでも多くの人にこの物語を読んでもらえたらと思い、珍しく漫画レビュー。
    一番近い美容室は栃木だけど友達がいる和歌山でもいいな、いつか行ってみたい。

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