怪異と乙女と神隠し (2) (ビッグコミックス)

著者 :
  • 小学館
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本棚登録 : 114
感想 : 3
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (160ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098607495

作品紹介・あらすじ

第1集すぐ重版!話題の異世界ミステリー!



化野の妹・乙の通うお嬢様学校に宿りし怪異の謎に菫子が挑む!

“影をなめる”怪異
牛より出でし霊宝“牛玉(うしのたま)”
まつろわぬ民の“族霊(トーテム)”塵輪鬼
異界の番人“時空のおっさん”
新しい街に宿る新しい怪異“紅衣小女孩”……

令和の世に残された最後の迷宮、“現代怪異”のミステリーに、
しがない小説家志望の緒川菫子(おがわ・すみれこ)と、童顔糸目の魔少年・化野 蓮(あだしの・れん)のコンビが挑む!
求められるのはオカルト知識と体力勝負!
この町にあふれる数々の怪異を解く先に2人を待つものは……?

ミステリアス&バイオレンス&アクション&エロティック現代怪異ロマネスク!!!



【編集担当からのおすすめ情報】
第1集は発売すぐ品切れ続出で重版出来!

超絶画力を誇るぬじま先生、待望の第2集です!
第1集を凌駕する怪異ミステリーと美女&美少女!
新キャラクターもぞくぞく登場します、お楽しみに!

にて第1話公開中!
地味女子でありながら無駄に色気とボディをもてあます作家志望・菫子(すみれこ)と、 見た目は少年なのに妖しさ満載の謎多き化野(あだしの)の書店員コンビの活躍をぜひお試し下さい!

感想・レビュー・書評

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  • どうやら我々が見据える深淵とは引きずり込むべく渦巻くものらしい。

    現代の怪談「都市伝説」の裏側に潜む、いにしえの怪異を追いかけながらも、最新のネットロアも見え隠れする『怪異と乙女と神隠し』。世の裏側に住まう謎の兄妹と、ふたりの友人となった作家の女性の物語は、一巻の終わり、じゃなかった一巻で終わりなんて寂しいことにはならないようです。

    作品に掲げられたタイトルの詳細は未だ語られずとも、その象徴すべきものは早くも見えてきて、みっつめを占める「神隠し」、現世と異界との往還という最終目標を悟ってきた読者も多いはず。
    ここ二巻は幕間に多くのページを割いて、主役の化野兄妹の抱える事情に触れていく巻になっています。

    と、まずは先に一巻で引きになった事件について軽く触れておきますね。
    化野兄妹の妹の方「化野乙」の通うお嬢様学校「コオネ女学院」で巻き起こる連続昏倒事件「通称:ヨダレカケ」については、一巻の展開編に続く種明かし、解答編となっています。

    この場合、ホラーというよりはミステリの観点からこの事件を説明するのが正解なのでしょう。
    そちらの塩梅としては、現象としては起こっている、読者目線なら犯人も見えている。
    ただし、怪異の正体と原理を当てるのは一巻で描写されただけでは難しい、といったところでしょうか。

    女学院の事件の種明かしについてネタバレ抜きで言及しておくと。
    題材の採り方がなかなかに渋かったです。知名度の高さのわりに、実像を説明するのはなかなか骨が折れる妖怪を真相に持ってくるかと思いきや、さらなる大物の残滓だったという面白いパターンでした。

    私個人もそれなりに親しむ、山陰山陽地域の神楽の題材にも用いられている大妖とはなかなかに心憎い。
    深堀り出すと止まりそうにないエピソードなんですが、あっさり流したのはテンポを考えれば納得かな。
    「呪い」とは反動ありきの現象であり、代わりに引き受けた場合の傷の深さを納得させるための説得力ある小道具として割り切ったのは全体の構成を考えれば、きっと必然であったのかもしれません。

    言ってしまえば、動機自体は「いじめ」という身近なテーマなわけですが、ここに「呪い」という現象が加わってくることで、主人公一同が介入する隙が生まれます。
    大人や子供の別はなく、老若男女を問わずに根を張り過ぎている「いじめ」の根治に近道はない一方、(潜在的な)加害者を被害者から引き離すという発想はきっと正解なのでしょう。

    ただ、ゲストヒロインのひたむきさが災いして暴走してしまった一連の流れは胸を衝きました。
    結局、この世はババの押し付け合いなのかもしれません。
    一方的に呪いじみた悪意ある言葉、いじめを押し付けてきた連中には反吐が出ますよね。

    ただしここで関わってしまった呪いとは一方通行ではなく双方向の現象であることを忘れてはならない。
    ここまでの探索過程はもとより、このパートにおいても主人公たる作家の女性「緒川菫子」の特殊能力を満遍なく活躍させつつ、化野兄妹の兄の方「化野蓮」はその秘めた力を発揮すべく開眼します。

    ええ、漫画的に見れば糸目キャラが目を見開くのは王道もといお約束の見せ場なのでしょう。
    ただ、ここで発揮され明らかになった化野蓮の異能、呪いを引き受けた反動が実に痛々しい。
    「人を呪わば穴二つ」はよく聞く言葉ですが、この描写によって呪いは禍々しいものであるという説得力を与えてくれます。普遍的な教訓を前に改めて身を引き締めた方もいるのではないのでしょうか。

    それと展開としては、飄々とした余裕ある少年(年齢不詳)というキャラの表層を早くもめくり、妹のためならすべてを賭す覚悟を持つ兄という姿をあらわにするというカードの切り方が実に上手かった。

    漫画的なステレオタイプを踏襲しながら上手く裏側を見え隠れさせて意外性と好感度を稼いでいます。
    人にもよりますが、蓮くんの菫子さんに向けたセクハラもスレスレな軽口が相互の信頼関係ありきの、外見に甘えていないがゆえの産物というところも引き続き、見えてきました。
    不快に見えないよう、バランス取り、心配り、匙加減が実に実にお見事です。

    全体的には先に申し上げた通りに化野兄妹の事情を進めるために費やしたセカンドエピソードといった感がありますが、その一方で年頃であり同時に無知でもある妹・乙の愛らしさが尋常でありませんでした。
    幕間のお泊り回や入浴回と合わせて男性は入れない環境を設定するなどして、兄をいったん離し至近距離から女性同士の関係を描いたのはキャラの深堀という意味ではこれまた正解だったのかもしれません。

    きちんと、読者にこの物語の果てを見届けるためのモチベーションを与えてくれました。
    サービスシーンを本編に持ち込み過ぎず、ラストのおまけパートに持ってきたバランス感覚も幅広い読者のニーズに応えようという努力なのではないでしょうか。

    一巻を起承転結の「起」とするのなら続く「承」として、理想的な話の運び方と言い切れます。
    カバー裏の設定資料の仕込みや、この巻の裏表紙の兄妹と本編の兄妹の違いなど、仕込みも重々、三巻は元よりそれ以降に向けて上々といったところですね。渦巻く瞳の伏線がいつ回収されるか、楽しみです。

    さて、二巻の引きは一巻の構成に似て三巻のメインエピソードの発端に踏み込む形になっています。
    「紅衣少女孩(赤い服の少女の意)」と題打たれた怪異については過不足なく次巻で説明されるとして。

    ここで勝手に本編の補足をさせていただくと、この巻の幕間で顔を出し蓮と親しげに話す、異空間を管理するおっさんはそのまま2010年代にネットロアとしてささやかれ始めた「時空のおっさん」のようです。

    帯で触れられていますが、現時点の本編では説明はありません。
    とは言え帯をすべての方がお持ちではないと思うのでここで補足させていただきます。
    わざわざ具体名を出さずとも察することは平易というスタンスを崩して無粋とは思いますが、出過ぎた真似をここばかりはお許しください。

    なんにしても最新の怪異譚の住人から、古きと新しきが入り混じる怪異について教授されるというのは心憎いですね。異界の住人もルールに従って行動する、しかしそれは只人が踏み入っていいものではない。

    先に申し上げた通りに好奇心だけでは終わらない。それと行きはよいよい帰るに足りないのでしょうね。
    それでも、進みたくなる理由を知るには進まないといけない。
    ジレンマです、痛い目に遭っただけ価値を期待する。だから恐怖とは面白い感情なのかもしれません。

  • そもそも、この漫画の1巻目を買った記憶が無いのよ。誰も買って無いのに、家の中に1巻目があったみたいで、それを知らずに読んじゃったもんだから、続きが気になって2巻目買っちゃったと言う。

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