作品紹介・あらすじ

漫画家たちの「戦争」アンソロジー

漫画家の感性が「未来の戦争」の予感を、戦時への想像力で捉えた作品を集め話題を呼んだ「ビッグコミックオリジナル戦後70周年増刊号」を底本に再編集し、追加原稿も多数収録した増補愛蔵版アンソロジー。
排外主義と非寛容。世界全体を覆うきな臭さは、すでに新しい「質」の戦争が起きているとも考えられる。
漫画家の想像力は果たして「戦争」をどう表現するのか。
水木しげる、山上たつひこから浅野いにおまで異才・鬼才・天才……日本を代表する漫画界の傑物たちの描く「戦争」。小説家等の寄稿も多数収録。角田光代の「漫画の自由さと豊富さ」と題する書き下ろしも収録。


【編集担当からのおすすめ情報】
収録作家:水木しげる、滝田ゆう、松本零士、さそうあきら、浅野いにお、高橋しん、いましろたかし、山上たつひこ、三島衛里子、石坂啓、比嘉慂、竹熊健太郎+羽生生純、あまやゆうき+吉田史郎、東陽片岡、井上洋介、花輪和一……
特別収録:くれよんカンパニー、おざわゆき「あとかたの街」
特別ピンナップ:藤田嗣治「アッツ島玉砕」×古今戦争漫画“超”コラージュ、
中条省平、いとうせいこう、無着成恭、横尾忠則、モーリー・ロバートソン、片岡義男、呉智英、南信長、角田光代

感想・レビュー・書評

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  • 水木しげる氏、松本零士氏など超豪華作家陣による戦争アンソロジー – 小学館コミック
    https://comics.shogakukan.co.jp/news/30726

    戦争×漫画 1970-2020 | 水木しげる 松本零士 滝田ゆう さそうあきら 浅野いにお 高橋しん いましろたかし 山上たつひこ 三島衛里子 石坂 啓 比嘉 慂 竹熊健太郎 羽生生 純 あまやゆうき 吉田史朗 東陽片岡 南 信長 井上洋介 花輪和一 おざわゆき くれよんカンパニー 中条省平 いとうせいこう 呉 智英 横尾忠則 ロバートソン・モーリー 片岡義男 角田光代 無着成恭 – 小学館コミック
    https://comics.shogakukan.co.jp/book?isbn=9784098610976

  • 人気マンガ家たちの「戦争マンガ」を集めたアンソロジー。

    元々は、2015年に『ビッグコミックオリジナル戦後70周年増刊号』として発売されたものだそうだ。それを底本に、新たな作品も追加している。

    過去にも類書は少なくなかった。
    たとえば、『ボクの満州――漫画家たちの敗戦体験マンガ』『漫画家たちの「8・15」』などというものもあるし、祥伝社新書からは『手塚治虫「戦争漫画」傑作選』が出ている。

    この手のアンソロジーでいちばん網羅的にまとまっているのは、金の星社から出た全6巻の『漫画家たちの戦争』であろう。

    それらの類書は、〝大物マンガ家たちの無難な名作集〟になりがちであった。
    また、当然のことながら、戦争といっても太平洋戦争に話を絞り、実際に戦争を体験した年配のマンガ家が実体験を描く作品が多かった。

    要は、毎年8月15日前後に登場する、戦争体験者に取材したテレビ番組のマンガ版のようなものであった。

    もちろん、そういうアンソロジーにも高い社会的意義はある。が、戦後70数年を経たのだから、違う角度から戦争を扱ったアンソロジーも出てしかるべきだろう。

    ……と、おそらくはそんな企画意図で編まれたのが本書なのだと思う。

    本書の作品セレクトは、かなり攻めている。
    水木しげるや滝田ゆうなど、戦争体験世代のマンガも一部にあるものの、戦後世代のマンガ家が中心になっているのだ。

    また、浅野いにお、高橋しん、東陽片岡、花輪和一、いましろたかしなど、一般的には反戦マンガのイメージから遠いマンガ家が、多く名を連ねている。

    内容も、太平洋戦争を扱ったものがメインではあるが、それ以外に、未来の架空の戦争を描いたものなどもある。

    山上たつひこの『光る風』、おざわゆきの『あとかたの街』など、長編の一話のみを収録したケースもある。それらについても、「おっ、あの作品からこの話を選ぶか」という意外性があり、セレクト自体にある種の批評性が感じられる。

    「なんでこんな作品を選んだのだろう?」と首をかしげるものも、なくはない。が、総じて面白い、質の高い作品が選ばれていると思う。

    個人的には、ウワサには聞いていたがこれまで読む機会がなかった、竹熊健太郎作・羽生生純画の「ほーむ・るーむ」が読めたのがうれしかった。
    終戦直後の離島の学校を舞台に、『二十四の瞳』を黒い笑いで塗りつぶしたような物語が展開される傑作。

    それ以外の作品では、さそうあきらの「菜々子戦記」と、くれよんカンパニーの「ワスレモノ。」がよかった。
    2編とも、21世紀に生きる若い世代の視点から、太平洋戦争の時代を生きた人々の〝記憶〟を扱っている。

    マンガのみならず、その合間にちりばめられたコラムや評論も、わりと充実している。
    とくに、南信長の「漫画と戦争」は資料的価値が高い。
    わずか6ページの限られた紙数の中で、戦後から現在までのマンガに描かれた戦争が鳥瞰されている。駆け足ではあるが、一通りの動きが網羅されているのがすごい。見事な力業だ。

    「従来の戦争マンガ・アンソロジーとは違うものを作ろう」という制作サイドの意欲が伝わる一冊。

  • 全体的に穏やかな語り口の作品や戦場そのものよりも市井の人々を描く作品が多いように思われた。また、戦争を経験していない作家の作品も多く、同じく戦争を経験していない私には心強く感じられた。

    特に印象深かった作品は以下

    「菜々子戦記」さそうあきら
    お馬鹿さんな菜々子が、無学だったことで戦争の話題で人を傷つけたり理解できなかったりして、一生懸命歴史を勉強する。私もそういう気持ちを持ち続けようと思わされた。

    「LOVE STORY’KILLED.」高橋しん
    これは元々好きな作品。戦争のぐちゃぐちゃの醜さや人間の極限の精神状態はこんな感じなのかなと想像する。「なにするんですかぁ」の無力さ無機質さがこわい。銃弾が語り手なのがすごい。

    「砂の剣」比嘉慂
    沖縄の小さな島に兵隊たちがやってくる。元兵士の校長は市民が犠牲になるから撤退してほしいと説得。戦略的に重要な島でありつつも、本島の凄まじい爆撃を見た大尉は小島を後にし、後にこの戦争で亡くなる。穏やかで静かながら、恐ろしさと切なさが詰まった作品。

    「あいの針仕事」おざわゆき
    疎開にゆく小さな妹の服を作るため、父親が新しい上着を譲ってくれるが出来上がった服は水を通したら記事がボロボロになってしまった。寂しさ悲しさひもじさ虚しさ情けなさ。少女の心を考えると涙が出てしまう。

  • 戦争を題材にした漫画を集めたもの。この漫画を手に取ってみる人はどれくらいいるのだろう。また買って読む人はどれくらいいるのだろう。
    戦争を知らない自分も含めて、戦争とは何かを正しく理解できるのだろうか。
    でも漫画を通して理解できることは少なくはないはずだ。

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著者プロフィール

漫画家。1922年3月8日生まれ。鳥取県境港市で育つ。太平洋戦争で激戦地ラバウルに出征し、爆撃を受けて左腕を失う。復員後、紙芝居作家を経て漫画家に転向。1965年、「テレビくん」で貸本からメジャー誌へと発表の場を移し、同作で講談社児童まんが賞を受賞、一躍人気作家に。代表作に『ゲゲゲの鬼太郎』『河童の三平』『悪魔くん』『のんのんばあとオレ』『日本妖怪大全』など。『昭和史』(講談社)で1989年度の講談社漫画賞一般部門受賞。1991年紫綬褒章、2003年旭日小綬章受章、2010年には文化功労者に。海外でも受賞多数。2015年11月30日、93歳で逝去。

「2022年 『漫画で知る「戦争と日本」ー壮絶!特攻篇ー』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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