チ。―地球の運動について― (7) (BIG SPIRITS COMICS)

著者 :
  • 小学館
4.20
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本棚登録 : 1212
感想 : 39
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098612604

作品紹介・あらすじ

これが運命でも意志でもいい。やるぞ。 ヨレンタは生き延び、異端解放戦線の組織長として闘っていた。25年前、希望と絶望を味わった彼女は自らの運命を変えるという強い信念を持つ少女・ドゥラカに何を想い、何を伝えるのか。そして、時を経て復活した「地動説」の行く末は――!?私達が出会ってしまったからにはさ、もう運命とかは置いといて、すべてを変えてみようよ。 【編集担当からのおすすめ情報】 単行本1~6集累計180万部突破!「マンガ大賞2021」第2位、「漫道コバヤシ漫画大賞2021」大賞、宝島社「このマンガがすごい!2022」オトコ編 第2位受賞作!!第1集で岩明 均氏、第2集で高橋しん氏、第4集で最果タヒ氏に絶賛され、多くの著名人やメディアから紹介されている、2022年も勢い止まらぬ話題作の第7集です。

感想・レビュー・書評

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  • 本来ならば、こんな長期連載になる様な話ではない。
    あらすじ解説は数行で済む。
    15世紀中世、天動説が唯一の真理とされ、地動説を称える者は火あぶり含む凡ゆる迫害を受けていた時代において、それでも「地球は動いている」ということを証明しようとした者たちの列伝である。

    第1集に於いて、既に「自分の生命よりも大切なことは何か」という、本作の大きなテーマは出尽くしている様に見える。そのあとにはよくある英雄物語にに変化する。と、私は予想していた。命を賭して守った「論文」を巡って、異端審問官たちと渡り合うバトルマンガになるのか?‥‥ところが、1度までか2度も、彼らの遺した「論文」は、歴史の中に埋もれる。ヒーローは勝利しない。

    これはホントに天動説対地動説、つまり「地」の物語なのか?描かれるのは「血」にまみれた世界だ。

    これは地動説の物語を借りた、戦前の共産主義者対特高のメタファーなのか?確かにノヴァクの執拗な異端追求そして拷問は、かつての特高を思い起こす。ただ、それが第7集にもなる様な大長編になるとも思えない。

    そもそも第1集で作られた「論文」が、決定的な文章だとは思えない。形を変えて、次から次へと復元され、最後は全く違う文章になる。第5集に於いて復元されるのは「理論」ではなかった。「感動」だった。そしてこの巻に於いて更に重要なことが語られる。
    「この世に何かを残して
    全く知らない他者に投げるのは
    私にとってなんら無意味で無価値だ。
    しかし、不思議なもので、それを無価値だと
    判断しない領域もあるようだ。例えば‥‥
    歴史がそうらしい。」(86p)
    「この世を変えるのに
    必要なものは知です」(169p)

    私たちは知っている。
    やがて歴史は、天動説から地動説へと
    「知」が、
    コペルニクス的転回を遂げる。

    15世紀初めから始まった物語は、第五集で10年後、第6集で更に25年後に飛躍する。
    それでも「たった」35年しか経っていない。
    しかし、コペルニクスが論文を書くのは16世紀の初めなのである。更に言えばガリレオが裁判にかけられるのは17世紀の初めだ。ともかく「歴史の転回」まであと半世紀以上ある。

    C教(キリスト教?)とかP王国(神聖ローマ帝国?)とか、架空の言葉が使われているのは、当時異端審問でこんな酷い拷問は存在しないという説があるからだろう。そうかもしれない。そうでないかもしれない。マンガの視覚的効果を狙っているだけなのかもしれない。それは歴史が後に決めることなのかもしれない。

    さて、第6集7集の15世紀中頃のお話について一言のみ。
    この頃、何故かC教正統派は弱体化しているらしい。代わりに台頭しているのはC教H派(ルター派?)。なおかつ、爆薬と羅針盤が既に開発されて、もう一つ作られたばかりの「活版印刷」によって、5集から生き残ったヨレンタたちはH派に「感動」つまり『地球の運動について』の本の「情報の解禁」を始めようとしているらしい。

    話はかなり広がっているが、
    「信念とは何か」「信仰とは何か」が語られる。
    もはや、地動説の根拠たる「科学とは何か」は
    後方に追いやられる。

    1〜7集一気読み。次回、最終集?

    2022「このマンガがすごい」オトコ編第2位。
    2021「マンガ大賞」第2位。2022年第5位。
    結末は未だわからないが、大河物語風の作品で、最後をハッピーエンドで終わらせないとしたら「進撃の巨人」以来、21世紀のトレンドのひとつを踏襲しているのかもしれない。
    「世界は残酷」だけではない。
    「世界はフェイクニュースだらけ」。
    という若者の世界観を反映しているのかも。

  • いよいよあの父子を中心に話が回る…かと思いきや…。
    やはり全編を通しての主人公は彼なのだろう。
    次巻で完結するそうなので、どう着地していくのか楽しみ。さまざまな歴史を織り込んで、宗教と科学の折り合いをどうつけていくのだろうか。

  • 異端審問官たちは解放戦線の目論見が地動説を出版することだと気づき、アジトを突き止め急襲する。

    直前に気づいたヨレンタは、ドゥラカから聞き取った文章と活字をメンバーに託し、自らは異端審問官をひきつけておいて、自爆する。

    印刷所にたどり着いた一同は印刷を開始する。しかし書籍が完成する直前、メンバーの一人が寝返り、印刷所も急襲される。メンバーが白兵戦を挑むなかドゥラカとシュミットは相手の馬を奪い逃走する。

    書籍を巡る歴史群像劇といったところか。活版印刷や火薬がテーマになっているあたり、ルター派がモデルってことですかね。それにしてもこの人の絵、どこまで読み進めても慣れない…。

  • 怒涛の急展開。もしかしたらこの物語の真の主人公はあの人かも?だとすると、最後に命懸けで地動説を伝えてきた人々の想いとどう向き合うかが楽しみになってくる。

  • 物の価値ってなんだろう。
    人の心ってなんだろう。

    心ひとつで物の価値が変わることがある。
    ほんの小さな出来事で人の心が変わることがある。

    うまく言えないけど、そういうことの積み重ねで歴史ってつくられてきたんだろうなと感じる。

    ヨレンタさんの名前を表紙に入れるところが良すぎた。
    ヨレンタさんのNが、ドゥラカの何よりも大切にしていたお金で造られているところが良かった。

  • 異端活動組織の長となったヨレンタと、彼女が求めていた書をすべて記憶した上で焼き捨てたドゥラカ。C教が覆う世界に印刷した地動説の書をひろめることに命をかけるヨレンタと、金儲けこそ至上と思い極めるドゥラカの対話が白眉。権威の中で生じる思考停止は宗教だけではなく学問の中でも起こるのでは、という問い。「自由の定義は?」「そう問えること」。そしてドゥラカの「人の作る模倣が時として「自然が成し遂げないことを成し遂げる」こともあるという信念。時代を越えて多くの人の手を介して伝えられてきた地動説の書は…次の最終巻でどうなるかが描かれるのか。

  • 地動説を巡る物語、第3章第2巻目。

    父・ノヴァクと、娘・ヨレンタの再会は叶わず。もし叶うとすれば、『地球の運動について』が出版され、発行人の名前をノヴァクが目にするときだろうが、その場面が実現したとして、それはノヴァクにとって祝福となり得るのだろうか。

    「地」と「知」と「血」を底に据えながら、人と人との偶然の出会いや、思いの継承を描いてきた作品だけれど、ついに次巻で最終巻とのこと。異端審問官から逃れたドゥラカとシュミットが誰に出会うのか、何を継承するのか、続きを待ちたい。

  • “神は人を通してこの世を変えようとしている”
    活版印刷が、世界を変える。

  • 物語のコペルニクス的転回。
    宗教と科学、中世と近代、集団と個、信と利、停滞と進歩。
    あれほどに絶望的に盤石であった、教会が、国家が、権威が足元から揺らぐ。
    人類が宗教という揺り籠から科学の厳しい大海に出ていこうとする話。

  • 絶えることのない真実を探求する個が、やがて線となり受け継がれていくことで歴史になっていく。

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