ゴルゴ13 スペシャルエディション 脚本/沖吾郎(=さいとう・たかを)作品集 (2) (ビッグCスペシャル)

  • 小学館 (2022年9月30日発売)
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Amazon.co.jp ・マンガ / ISBN・EAN: 9784098614455

作品紹介・あらすじ

幻の脚本家・沖吾郎作品の全てをここに! これまで『ゴルゴ13』には数多くの脚本家が関わり、作品クオリティを支えてきた。しかし、数は多くないものの、様々な理由で作者さいとう・たかを自身が脚本まですべて手がけた作品が存在する。その際の脚本家名義は「沖吾郎」。超名作『海へ向かうエバ』を含む沖吾郎作品を全て収録!! 【編集担当からのおすすめ情報】 劇作家の故・つかこうへい氏が「文学である」と絶賛した名作『海へ向かうエバ』を、発表時に近い新編集で収録! 生涯「ドラマ」にこだわり続けたさいとう・たかを氏の構成が冴え渡る作品集!

感想・レビュー・書評

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  • まず、最初に、改めて、さいとう・たかを先生のご冥福をお祈り申し上げます。
    年齢的な事を考えると、普通と言えば普通なんですが、やはり、もっと、最前線で劇画家として全力を奮って欲しかった、そう、ファンとしては悔しくなってしまいます。
    ただ、さいとう・たかを先生の生み出した、分業制作システムによって、「ゴルゴ13」は決して、“死ぬ”事がない、それに関しては、感謝しかありません。
    この単行本は、さいとう・たかを先生が脚本家を起用せず、なおかつ、自らが沖五郎の名で考え、世に出したストーリーを漫画にした回を収録したモノになっています。
    脚本家を起用したモノも、相当にレベルが高い、それは絶対的な評価、結果です。その上で言いますが、沖五郎が脚本を担当した回は別格感が漂っていますよね。
    あくまで、私個人の考え方ですが、漫画読みには、いくつか、人間力を強化するために読むべき漫画が、各々にある、と確信しています。私の中にあるそれらの一つが、この『ゴルゴ13』です。
    『ゴルゴ13』の良さを語る上で、やっぱり、沖五郎が脚本を担当した回を外す事は出来ません。特に、『海へ向かうエバ』は断トツに凄まじいんじゃないでしょうか。
    『ゴルゴ13』の色、また、さいとうイズムを特に感じるモノは何か、とファンに尋ねたら、この『海へ向かうエバ』は間違いなく、上位に入るでしょう。さすがに、1位になる、とは断言できません。断言してしまったら、洒落にならない喧嘩になる事くらい、私にも想像が出来ますから、自重もします。
    何がどう凄いか、それを説明するのは、情けない事にファン初級どころか、見習いの域も出てない私には難しい。なので、恥も承知で言いますが、これを買って読んでください。確かに、これは魂が震えるな、と一人でも思ってくれれば、嬉しいです。
    あえて一つだけ、素人丸出しの意見を言う事を許していただけるのならば、多くの漫画に登場し、死を迎えるヒロインの中でも、彼女、エバは特に幸せな気持ちを最期の最期まで抱えて、逝ったんじゃないでしょうか? 「満足する死」を、さいとう・たかを先生は、エバで表現してくれていました。

    この台詞を引用に選んだのは、ゴルゴ13を筆頭にした、生きるか死ぬか、の世界で生きている本物のプロ意識を感じ取れるものだからです。
    周りが、死への恐怖でパニックになる状況でも、決して、冷静さを失わず、かと言って、諦めるのでもなく、どうするのが正しいか、を判断し、自分が生き残るルートの選択を的確に行い、手を打つ時が来るまで穏やかな気持ちを保てるのは、ただただ、凄い。
    ぶっちゃけた話、この境地に達するには、人として大切な何かを欠落させるほどの経験をしなきゃいけない気はします。
    しかし、ほんの少しでも憧れ、近づこう、真似ようとすれば、人間力を高められる気がします。
    そして、そのピンチを乗り越えられたら、絶対に、人間として大きくなれます。
    「?? お、お客さんたち、ふ、船を、はなれないんですか!?・・・お、お客さん!?」
    「荒れている海にボートでこぎ出すのと・・・時限爆弾をかかえた船に残るのと・・・あまり変わりはしない・・・」
    「ほんとうね・・・わたしも、そう思うわ・・・どっちを選んだとしても、危険度は同じでしょうね」(byバーテンダー、ゴルゴ13、エバ)

    そして、もう一つ、私の心にぶっ刺さってきた名言を紹介させてください。
    これを外したら、漫画読み失格の烙印を、自分で、てめぇの顔面に押したくなります。
    上の台詞も、自分では上質のモノ、と断言できるんですが、これと比較してしまうと、どうしたって、霞んでしまう気がします。
    それほどまでに、この言葉は、『ゴルゴ13』そのものなんですよ。
    ゴルゴ13の生き様、自身の“仕事”に対する矜持、特別である女性への愛情表現と別れ方の流儀、そして、これら全てをひっくるめた覚悟が視えます。
    繰り返すのも恥ずかしい話ですけど、ほんと、これは読んでいる人間にしか伝わらないので、もどかしい、と言うか、自分のレビュー力の低さが嘆かわしい、と言うか。
    私の自己嫌悪はさておき、改めて確信しました、人間力を上げたかったら、『ゴルゴ13』は読まなきゃだめだな、と。
    「でも・・・偶然、また、再会できて・・・うれしかったわ・・・」
    「いや・・・偶然じゃあない!・・・」
    「え? ?? ・・・・・・」
    「・・・・・・じゃあな・・・・・・エバ・・・・・・」
    (わたしの・・・・・・名前を・・・・・・さようなら・・・・・・わたしの・・・・・・男・・・・・・)(byエバ、ゴルゴ13)

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著者プロフィール

さいとう・たかを

1936年(昭和11年)大阪府出身。1955年『空気男爵』(大阪・日の丸文庫刊)でデビュー。翌年創刊された「影」「街」など貸本向け漫画誌の中心的な存在として、大阪で精力的な活動を続ける。63年『台風五郎』の大ヒットで不動の人気を獲得。その後、活動拠点を大阪から東京に移し「さいとう・プロダクション」を設立する。作品制作過程における分業化をはかり、脚本家が在籍する脚本部門を設けるなど、プロダクション形態の劇画制作システムを構築。自他ともに認める劇画の第一人者である。76年に第21回小学館漫画賞を受賞した代表作『ゴルゴ13』は、現在も描き下ろしが続く記録的な長期連載作品。主な作品に『鬼平犯科帳』『影狩り』『無用ノ介』『サバイバル』『雲盗り暫平』などがある。2003年11月紫綬褒章受章、2010年4月旭日小綬章受章。

「2021年 『ワイド版 マンガ日本の古典20 太平記 下』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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