100年の経 (1) (ビッグコミックス)

  • 小学館
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  • Amazon.co.jp ・マンガ (190ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098627929

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  • 2016年、東京。売れない作家・菅井櫓は27歳で余命宣告を受けた。彼は努力が報われなかった文筆業を廃業し、有意義に過ごそうと試みる。そんな中で出会ったファンの女性・更科結依。残りの寿命をかけて、彼女のために作品を書き残し続けた。

    2120年、つくば。国家主導のコールドスリープ実験から目覚めたのは、菅井櫓だった。実験に参加するまでに作品を書けるだけ書き、結依に復活の希望を与えないように秘密にして実験へと参加。結果として彼は100年後の世界で無事に目覚め、病気も寛解することができた。

    だが、彼が眠っていた内に、文章生成AI『タレット』が出現して作家界は激変していた。利用者がプロンプトを打ち込むことで、その条件にあった物語を自動生成してくれるシステムは、今や作家ですら使わない人間はいないものになっていた。その中で、菅井櫓の作品がタレットの出力モデルではないかと噂され、なんと21世紀の文学作品として大ブレイク!凍った眠りから目覚めたら、寝耳に水どころかお湯状態!作家のあり方が変化した世界で、菅井は何を書くのか。また、結依のその後とは──。

    生成AIに揺れる現代社会に真っ向勝負を挑む意欲作! 今でもAIを利用して創作された作品が芥川賞を受賞しているよね。それでも、ほぼすべてを創作してしまえるようになったらどうなるのか? もしかしたら、亡くなった作家の作品を学習させて新作を生成させることができるのかも? ただ、現代の作家としては脅威と映るよね。

    誰でも気軽に作品が自動生成できること以上に、生きている作家を学習させて作品を作らせたらどうなるのか。また、作品をAIに直させたらどうなるのかなど、作家性への大きな問いになると思う。まだ1巻では物語の導入段階だけど、タレットや取り巻く社会の様相は皮肉に映る。ここにどう答えていくかが楽しみ。

    ただ、なぜ小説なのか? マンガで描くのだからマンガの方がいいような? 小説家をテーマにしているのに、肝心の菅井櫓作品がどんな物語で文章なのかが提示されず、マクガフィンになっているのが気になる。ヤマシタトモコ『違国日記』で槙生の小説が描写されたみたいに、結依も引用するならルターじゃなくて、菅井の作品から取ってくれればなあ…。あと、コールドスリープは50年くらいにした方が、結依が生きてるかも?ってなりそうなんだけどね。たぶん結依はタレットの制作者の一人で、タレット=張り出し櫓ということで意味を引っかけてるのかも。つまり、AI化した自分との戦い?!

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