東京貧困女子。 (11) (ビッグ コミックス)

  • 小学館 (2024年5月30日発売)
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  • 本 ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098628018

作品紹介・あらすじ

虐待、家出、売春…子供たちの叫びを聞け

貧困は子供たちにも容赦なく牙を剥く。
「夢」を見られない、この国の現実を直視せよ。

「立ちんぼ」で体を売り続ける18歳家出少女、「トー横」に居場所を求める少女たち、夢を奪われたグラビアアイドル…この貧困は決して他人事ではない--。

東洋経済オンラインで1億2000万PVを突破した人気連載、待望のコミカライズ!

【編集担当からのおすすめ情報】
ノンフィクションライター・中村淳彦が貧困に喘ぐ女性達の心の叫びを丹念に取材し、日本の暗部を照らし出した「東京貧困女子。」を、若手の実力派・小田原愛が鮮烈に描く!もはや豊かな国とは言えない、「貧困大国」と化した日本の”リアル”。目を背けたくなるけれど、ページをめくってしまう作品です。ぜひご一読ください!

感想・レビュー・書評

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  • 実母の癌治療に遁走したら、親にばかり気をかけ続けたせいか……夫婦・親子の関係が驚くほど急激に冷えて、その親があえなく他界したら速攻で離婚となり。貧困に落ちた女性……なんて話が展開されてるが。
    元年収2000万円のアメリカ暮らしの旦那さんが離婚した後になんでか養育費等を完全に打ち切るぐらいに転落した風だったり。
    ……いやもう、仲良くできない親子・家族のビジョンだとかで可哀そうげにしてる点は漫画として見事だけど。正直言って、転落具合が勢いよすぎて、どこか物凄く嘘くさい。

    なぜそうなったか、実際アラフォーのシングルマザーの就職がどの程度キビしいかを示す実態データがあるのか、なぜそういうシングルマザー就職難が起こってるのかを示す話だとか。何か方策はなかったのかとか……
    色々な部分で細部の説明や追加情報がもう一歩欲しくなる……離婚から貧困になるケースというのを書きたかったのだろうけども。釈然としなさが残る。

    何より、介護職がブラックだの底辺だのと散々に酷評してきた作者(中村淳彦氏)が
    「親を介護した経験を生かして、介護職へ就職して人生明るい方に好転させた人」風な結末を書いてると思うと。何かひっかかるものを感じてしまう。
    どの口で「介護に就けたね良かったね」と……というか、再就職先を探すことに遁走しまくって、屋根裏部屋で凍死しそうな人生してたこの女性が、なぜか介護職関連の求人を探すという選択肢をそれまで持ってなかったのか……就職関連で誰かに深い相談したことすら無かったのか、という意味では……話に違和感が。
    えらい高学歴で2児の母だったという設定の割に、何か生きる力に欠けた人のような印象が残ってしまう。

    「そのまま書いたら取材相手の貧困女子が『自業自得だ』とか、批判の的になるだろう」的なこと言ってるけども。
    そんな読者を「けなしたいだけの人間」かのような前提で考えながら、批判の声黙らせて、自分は正義主張してるんだ、的な。
    卑怯な詭弁くさい口上をこねるよりも。話の解像度上げて欲しいよ。
    読み手がしゃんと納得できる程度まで話を詳しくしてくれないと、読者は貧困云々を深く考えることもできやしねえ。

    他人の悲劇を見て「うえーん可哀想だー」と泣いたり、ちょっと報われて「うわーよかったー」と泣いたりっつう、お涙頂戴エンタメで終わりでしょうよ。
    ヒネた解釈しとるかもしれんが、どうも釈然としないものがあってどこか半端な感触しかしない。
    (ていうか。仮にこれ、幾らかが作り話のエンタメであるなら、分かれた旦那と娘、不仲になった息子との関係に何か救いがあった風な方向性でも、なにかきざしの光ひとすじでも入れてやってくれって感じになるし……)

    なんだろうな?
    作画の人はいい画描いて、いい仕事してると思うんだが。
    「この上なく感動した」「非常に学びになった」「すごく有意義な読書体験をした」といった感覚には至れなくて、逆に気分が悪くなる感じがある。とかく釈然としない。

    (ただでさえ、年老いた親を介護したら自分や家族が不幸になった的なやるせない話で。読む人によっては
    「自分が幸せになりたかったら、老いて病気になった親を捨てろっちゅうんかい!」
    という、非道な行為を暗に推奨する内容にもとれそうな中身だと思うし)

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著者プロフィール

1972年生まれ。ノンフィクションライター。AV女優や風俗、介護などの現場をフィールドワークとして取材・執筆を続ける。貧困化する日本の現実を可視化するために、さまざまな過酷な現場の話にひたすら耳を傾け続けている。『東京貧困女子。』(東洋経済新報社)はニュース本屋大賞ノンフィクション本大賞ノミネートされた。著書に『新型コロナと貧困女子』(宝島新書)、『日本の貧困女子』(SB新書)、『職業としてのAV女優』『ルポ中年童貞』(幻冬舎新書)など多数がある。また『名前のない女たち』シリーズは劇場映画化もされている。

「2020年 『日本が壊れる前に』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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