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本 ・マンガ (192ページ) / ISBN・EAN: 9784098630363
作品紹介・あらすじ
新章突入!トーシローが生まれた謎とは!?
ぶ厚い雲に覆われ陽が差さなくなった遥か未来の地球。
植物が枯れ酸素も薄くなった世界。
しかし人類は、人を植物に変える技術を開発し、
わずかな酸素を作り出して生き延びていた。
そんな世界で貧困に喘ぐトーシローもまた、霊花になることを選ぶ。
霊花になるまでの時間を豊かに生きようともがくトーシロー。
そんなトーシローの前に、完全に「霊花」となっても動き回る
アイヴィーが現れる。
アイヴィーとの激闘を終え、転花院にも束の間の平和が訪れる。
しかし、九大博士から課せられた指令により、
ヨミコはトーシローを転花させた科学者を見つけようとする。
その謎を追ううちに、ヨミコは新たな事実を知ることになる…
【編集担当からのおすすめ情報】
圧倒的な画力と秀逸な設定で表現されるのは、現代にも通底する「格差」と「貧困」の問題。舞台は100年後の未来ですが、今を生きる人にこそ読んでほしい物語です。絶望の世界であてもなく生きていくのか、植物となり残りの生に豊かさを見出すのか、人々に突きつけられる究極の選択に注目ください!
感想・レビュー・書評
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九大博士から指令を受けたヨミコは、転花院でトーシローを転花させた研究者の正体を探ろうとする。だが、その人物は転花職員でありながら転花職員じゃない存在らしく──。転花院の中にいるセントラルのスパイの目をかいくぐり、その人物と接触することができるのか?!
九大博士からのミッションによって、新章への号砲が鳴らされた。ヨミコはトーシローを転花させた人物を命がけで捜す。九大博士との連絡役・四水(よみず)のクセが強い(笑) ヨミコはセントラルの目が光る中での調査に限界を感じ、アキラに真実を伝えて巻き込んでいく。アキラが登場した時は態度がデカいなと思ったけど、ヨミコとの作戦では腰が引けているのが可愛い。まあ、今までの常識がひっくり返ったようなものだからね……。仕事はきっちりこなすも直接戦うのを恐れるアキラと、転花の功罪を噛み締めた上で先に進むトーシローたちの対比が効いている。
転花院に潜むセントラルのスパイたち。そのあぶり出しと足止めを任せられたアキラ。これまでは転花反対派と戦うわかりやすい構図だったのが、身内を疑わなければならない暗闇へと落ちていく。それでも彼の判断は的確で、だからこそあの人物がスパイなのかと鳥肌が立った。アキラ自身はこう着状態を狙うも、ひょんなことからミッションを知った人事部の雪間アイはより積極的な手段に出る。彼女の上昇志向の源流。誰もが世界を閉ざす雲の上を目指しているだけなのだ。闇から降りた蜘蛛の糸があるなら、他人を蹴落として掴むのみ。
ヨミコがたどり着いたのは、明けない夜の世界では異質な場所。そこで例の人物のことを知る人間と接触を果たす。トーシローとアイヴィーが対話した空間とも繋がってきそう。そこを目指しているのであれば、トーシローの手術をした意図もわかってくる。ここで仏教が絡んでくるのにも驚かされた。「諸法無我」は初めて知った概念。「この世のあらゆる存在は各々の関係性によって生じるもので 存在そのものには本質…つまり『我』はないという考え方」というのはなるほどと。個人ではなく関係性の中にのみ意味が生じるという話は勉強になる。これもまた、人の可能性の芽なのか。
ラストで大きな爆弾を落としてきて、続きが気になりすぎる! 転花反対派よりも闇深き存在。ここから根こそぎひっくり返るのだろうか。もう今までのような日常には戻れないだろうなあ──。詳細をみるコメント0件をすべて表示
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