風光る(フラワーC) (45) (フラワーC)

  • 小学館 (2021年2月25日発売)
3.26
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  • 本 ・マンガ (192ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784098712991

作品紹介・あらすじ

新選組少女まんがの名作、ついに完結!!

女子の身を隠し「神谷清三郎」として新選組に入隊した一人の少女。
彼女が武士として生き、沖田総司を愛する生き様を描いた名作が、ついに完結!
23年を駆け抜けた「風光る」、その結末をぜひご覧ください。

風光るアナザーワールド「大江戸新選組!」も収録!

【編集担当からのおすすめ情報】
女子として生まれ、武士として生き、沖田総司を愛した一人の少女の物語が、23年の時を経てついに完結しました。
連載と共に駆け抜けてくださった読者の皆様にも、ぜひ彼女の生き様を見届けて頂ければと思います。

感想・レビュー・書評

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  • 単行本派で連載終了時のネタバレ感想は
    完全にシャットダウンしていたが、評判がイマイチなのは
    なんとなく聞いてはいた。
    実際読んでみて、なるほど、という感じ。
    つまらないとは自分は思わなかったが、
    連載中の血が滾るような思いの儘終結という訳にはいかなかった。

    連載開始時に、箱館までセイちゃんを行かせるのでは
    と思っていて、その点は予想通りではあったが
    そのほかの部分がちょっと期待と違った。
    風光る自体、そもそも女が主人公で女が男を装って
    新選組に入るというのがナンセンスだと思って
    ずっと手に取らなかったのが、
    読んで見るとかなり時代考証がきちんとされていて
    月代を沿ったり生理の時に過ごし方を描いたりという
    どうしようもないことも乗り越えて
    セイちゃんが武士として生きようとする様に惚れ込んで
    ここまでついてきた。

    ただ前巻からどうしても、少女漫画に振り幅が大きくなった気がしてしまった。
    最愛の人を亡くしたショックはわかるが、
    沖田さんが死んでから半月もひとりで
    ただ暮らしていたのは意外過ぎた。
    セイちゃんならすぐにでも北へ向かうかと思っていた。
    周りが伏せてくれていたからと言っても
    上野戦争のことすらも知らないほどただのおなごになってしまっていて、唖然とした。
    それを自分でもなにをやっているんだ、と思った割には
    その後の言動にも疑問を覚えてしまった。

    歴史ものは説明したい事柄が多過ぎて
    事実の羅列、合間にエピソードになりがちだ。
    風光るも残念ながら終盤にはその気が強くなってしまい
    最終巻は沖田さんが死んでからはオマケみたいなものなのか
    全体的に駆け足過ぎた。
    松本良順先生が
    「アメリカの援助を受けて海賊を巻き込んで輪王寺宮をたてて京都に攻め込めばいい」
    と景気の良いことを言って
    「先生が言うことはいつも調子が良すぎる」
    と土方さんに窘められるエピソードなど、
    風光るの松本良順キャラに合っていたし見たかった。

    会津の人が新選組に好意的なのはとても良い。
    大河ドラマ八重の桜ですら描いてくれなかった点だ。

    しかし榎本さんの脱走・合流エピソードもかなり薄い。
    純粋で理念があったが政治家としてはいまいちで
    善い人過ぎてぐずぐずしている間に重要局面に間に合わなかったことなどは
    描いて欲しかった。

    会津を見捨てていくなど正義にあらず、と斎藤さんが言い決裂した、とする歴史家もいるが
    「ここは俺が」と土方さんに言ってくれるのは良かった。
    ただ、あっさりしていた。
    ここまで斎藤さんという人物像を、風光るのオリジナリティを出しつつ
    結構丁寧に描いてくれていたと思ったのに
    彼の生き様、考え方に意外にもあまり触れてくれなかったのががっかりした。

    土方さんが優しくなったのが局長が共にいるから、という解釈はなるほどと思った。

    北海道上陸してからの苦難のエピソードもかなり薄い。
    挟み撃ちにされたら前を倒して振り向きゃいい、と言ったり
    土方さんが率いた戦は負けなしだったりという
    土方さんの活躍は描いて欲しかったところ。
    開陽が沈んだときは土方さんが男泣きして悔しがったと伝えられるが
    このエピソードは事実ではないと判断されたのだろうか。
    土方さんが全く動揺していないというのが違和感があった。

    宮古湾海戦も一応コマは割かれていたが
    野村利三郎が土方さんに恩義を感じていたから死地に飛び込んだという感じが伝わってこなかった気がする。

    セイちゃんが突然箱館に現れるが、
    どうやってひとりで、しかも新選組の阿修羅と呼ばれ
    それなりに敵に名が通っていたと思われるのに
    旅をしてきたのか。女装をしていたのだろうが
    女一人旅でこの状況で箱館まで行く船をどうやって掴まえたのか。
    再びの男装も、月代を剃るわけでもない。
    何故1巻で月代を剃ったか、という話はどこへ行ってしまったのだろう。あの時あんなに理由を語っていただけに、突然こんなことをされると急にリアリティがなくなってしまう。
    隊内向けには如心遷が進んでいるからで押し通せるのかもしれないが、
    もうここに至っては新選組は古参メンバーがほぼいないし
    土方さんは新選組を率いていない。
    全く知らない人たちから見たら、男装の女にしか見えなかろう。

    そしてやはり、中身も女になってしまった。
    女というか、元々の新選組入隊前に戻ったというのか。
    幼くて我儘で、実力が伴っていないのに気が強いという
    同性からも嫌われる女だ。
    ここは本当にがっかりした。
    本当に死にたいなら、土方さんの見ていないところで死ぬべきだ。
    帰隊させてくれないなら死ぬなんて、
    まるで別れるって言うならリスカする、と言い出すメンヘラである。

    近藤さんも沖田さんも失くした土方さんを前にして
    よく言えたものだ。
    神谷清三郎であったなら、
    以前にも土方さんの気持ちを考えて労ろうとしたことがあったし
    弱音を吐けない土方さんを気遣うなり
    自分には土方さんに比べたら悲しむ資格は無いと思うなり
    したのではなかろうか。

    あんな展開にするのなら、寧ろそこを描いて
    最早この世に、残されて死に場所を求める寂しさを
    分かり合えるのはお互いだけという心情で寄り添うなら
    まだ理解もできた。
    これまで、土方さんがセイちゃんを憎からず思っていたことはわかっていたわけだし。
    これではまるで、メンヘラセイちゃんと突然狼になる土方で
    翌朝穏やかに語り合うシーンが寧ろ謎だった。
    何事もなかったのかと一瞬思ったレベル。

    日野に行くのがセイなのも、どうなのだろう。
    何人か訪ねた内のひとりがセイ、というならまだしも
    市村鉄之助が無かったことにされて乗っ取られた感じがしてがっかりした。

    先程も書いたが、あれほど作り上げたキャラである斎藤さんとの再会もあっさり過ぎた。
    多分後ろにいるのが時尾さんなのだろうが。
    風光るは斎藤さんは会津からの密偵説をとっていたのに
    容保公が仲人をしてくださっての再婚というエピソードも
    まるっきりカットされているのはショック過ぎる。
    史実を知らない人にも勉強になり、
    知っている人にはなるほど、と思わせる展開が多い
    と思ったからずっと読んできたのに、
    斎藤さんのエピソードひとつとっても
    会津で別れて実は生きていた、なぜか警察の恰好をしている程度で
    史実を知らない人にはよくわからないのでは。

    セイちゃんは武士として生きたかったのではなかったのか。
    帰隊を許されなかったが、それでも「自分が生きているから武士の時代は終わらない」と言った癖、
    武士として生きているようには見えなかった。
    勿論ずっと武士として男の恰好をするわけにはいかないが
    何故か最愛の人にそっくりなしかし父は別の人である
    子供のお母さんとして生きているセイは
    結局は沖田さんが願った時にあれほどセイが嫌がっていた
    普通のおなごに戻ってしまったようにしか思えない。
    あんなに我儘を通して仲間を裏切ってでも隊にいたのは
    結局恋愛ごとでその対象がいなくなったら女に戻ってしまう程度の気持ちだったのか。
    命懸けで守りたかったのは沖田さんはもちろんだが
    他の仲間たちみんなじゃなかったのか。

    本編に満足できなかったから余計に、
    『大江戸新選組』にがっかり。
    パラレルワールドならまだしも、原田左之助は本物が出てくるし
    時代的にも同時代で描かれてもなという感じ。
    この分のページ数を本編に割いて欲しいというのが正直な感想だ。
    あまり読む気になれず読み飛ばしてしまった。

    もうひとつ期待していた、参考文献リスト。
    完結したら公開するという話だったが本当にリストだけ、
    しかも一部だけだし、あとがきなども特に無く
    リストの羅列で終わってしまったことも期待はずれだった。
    書名なども間違いと思える点が幾つかあったし
    資料としてあげて良いものと個人的には思えない物もあった。

    ここまで長い連載を経て大きな作品を描ききってくださったことはすごいと思うが
    自分としてはがっかりしてしまった部分が大きかった。


    自分は作品と作者は別物だが密接な関わりがあると思っているので、
    先生の言動に疑問に思うことが多く
    これ以上作者さんの人となりを知ってしまうと
    作品自体読めなくなってしまうのではないかと
    感じてかなり前にTwitterのフォローを解除した。
    それで幸いにも知らなかったが、
    他のファンの方から聞いて
    コロナ禍でオフ会を企画し、コロナは風邪派で
    更に苦言を呈した医療関係者に暴言を吐いたというのを
    知ってしまい、やっぱりなと、とても残念な気持ちだ。

  • 結末に賛否両論があることは知っていたけど、まあ、流れ的にはアリかなあと思った。自分じゃ子を為せないことはわかってただろうしそれを土方さんに託すってのもある意味沖田さんらしい選択だなとも。沖田さん、割と相手の気持ち考えずにあらぬ方向に突き進むとこあるか
    ら。
    最後の大江戸新撰組はちょっと本編読んだ直後に読むにはあまりにもテンションが違いすぎて困惑した。
    あとがきで作品に対する熱い愛を読めるのかなと思ったらまさかの参考文献一覧のみだったのが一番ショックだったかも。
    とはいえ作品全体としてはとても面白かったので満足です。出会えて良かった!先生お疲れ様でした。

  • 学生の時からずっと追ってきた作品。遂に完結。50までいくかと思っていたのですが、45で完結です。
    歴史を題材にしている作品なので、学生時代に習った日本史により、ネタバレは強制的にされている作品で、ここまで作れるのは凄いことなのではないでしょうか。
    わかっているのに幸せを願ってしまう、不毛な思いをこの作品を読んでいるときは願ってしまうのですが、総司はもちろんですが私としては、もっと丁寧に…土方さん。どうしても好きキャラで、総司よりも土方さんが好きだったので、結末としてはわかっていても、あんな…。
    局長と土方さん。そして総司の三人の笑える昔が懐かしいです。
    あぁ…読み返さなければ。懐かしい。太夫が出てきたころも懐かしい。あれからどれだけの人が渡ったのだろうか。戦が絶えない時代ではありましたが、生きるということに必死だった時代を、楽しく読ませていただきました。

  • 44を読んでからのこの冒頭。
    昨日は何のことかさっぱりわからず、ただただポカーンとしてたけど、44のラストからこの始まりを読むともう思わず涙が。
    でも確かにこの巻はセイの新たな旅立ちの巻だなと思いました。
    函館に現れた彼女は一年たって、女性身が増していてきれいになっていましたね。
    死を覚悟したからの美しさが醸し出されていました。
    子供の件も、44巻で伏線は張られてるし、思ったほど嫌ではない気がしました。
    そしていくつ目の名前かわからないあの人と再会し、子供が沖田さんに似ている、と。
    そこはもうファンタジーということでよいでしょう。なんなら生まれ変わりでもいいや。
    セイがたくましく新時代を生きていて、なんならシングルマザーの先駆けみたいになっていたのも、彼女なら困難ミッションやり遂げるんじゃないかと思いました。
    連載23年。
    未だに沖田先生とお馬さんの話していたり、脇差しで紅の修羅と化していた清三郎と沖田先生の姿が目裏によみがえるのですが、遠くまで来たものですね。そしてたどり着き、また旅立っていった。
    そんな感じです。
    ラストのカット、複雑ではあるけれど、救いがあって私はいいと思いました。
    再び歩き始めたセイの力強さと明るい未来を想像させてくれるから。
    ありがとうございました!

    追記
    一晩眠って沖田ロスが激しい。
    沖田さんの髪型、髪を結う高さで元気度表してたんだな。
    試衛館時代の仲間と再開するシーンで、あんなに高く髪結っていたんだっけと思った。
    元気なときは上の方で、療養中は肩の辺りで緩く結んで、ついには切っちゃった。
    短髪もいいわねぇ~と思ってたけど、今朝は切ないわ。
    44のあとがきの幽霊沖田で変わらないお茶目な姿を見られたので、昨日はなんかいいかなと思ったけど、今朝のこの喪失感ときたら。
    いいのよ、ラスト見開きの夢と希望に溢れたちびっこ聡ちゃんを思い出すから。
    ーー大分やられてるなぁ。
    試衞館の夢に合流しなかった永倉さんは、その後長生きして新撰組時代の回想録的なものとか残してくれるから、まだまだお役目があったんだなぁ。
    斎藤先生との再会の時に同じコマにいた女性は奥さんだろうか。
    野村利三郎は分かってたけど、思い返せば死亡フラグたちまくっていたな。あの時点でも天候は彼らに味方していなかった。
    相馬さんがクールで熱い男なのいいよね。
    原さんが上野で散っていたとは。おまささんとは会えてたんだろうか。
    榎本さん、松本方眼の親戚筋か。土方に比べて戦ベタというか、土方は死ぬ覚悟でやっていたけど、榎本は新時代に夢を見ていた。黒田さんにも海の法律関係の本あげて戦場なのによしみ通じちゃって。
    生き残るか否かって、未来への夢や希望の大きさだったのかなぁ。

  • 本編の最後まで

    スピンオフは未読

    個人的には最期に生きる意味を持たせた終わり方で悪くなかったのだけど、賛否あるみたいですね。

  • ここまで読み続けてきたのだからこそ
    ラストまでしっかり読む
    こう言う終わりにしたんだね。
    歴史は続いているのだからこそ
    何を物語の最後に持ってくるのって
    難しいんだろうな
    死は一つの簡潔だけど
    二人の関係という意味では
    前巻で終わったあとの今の話
    どうあるべきなのか

  • なるほど、そうきたか…
    総司亡き後誰がセイの心を支えるのか
    子どもでもいれば別だけどタイミング的に総司とは無理あるよな〜
    だからってセイの性格的にどんなに時間かかっても他の人を好きにはならんだろうな〜
    と思ってたらそうきましたか…

    23年の連載お疲れ様でした
    とても素敵な幕末物語でした

  • あー……
    やらかしちゃいましたねぇ

    しかしそもそもがあの鬼氏がやるわきゃないんで、
    きっと別人ですな

    しかしまぁ……
    ほんとに起きたらお掃除くんのファンなんですかねぇ?
    怪しいもんだw

    それにしても、booklog にこの巻の感想を書いていらっしゃる方々はみな優しいですなぁ

    この方々を大事にしなきゃダメですよ、セイ!
    ……じゃねぇ、渡辺先生
    バチ、当たりますぞ

  • 新選組を新たな視点で描く歴史少女漫画の最終巻。

    ほぼ四半世紀ご苦労様でした。
    自分としては、沖田さんの死からの展開は駆け足で物足りなく、また男性作家だとさらに議論を呼びそうなラストは納得できないものの、この着地点しかなかったかもしれないとも思います。
    25年近くの労作、お疲れ様でした。

  • ボロ泣きしすぎて、翌日頭が痛くなった。
    しかしラスト、セイの息子の父親は一体誰なの……。
    総司だと計算合わないし、やっぱ土方なのか?
    土方に総司の魂が乗り移って、的な……?

    良い終わりでもあるけど、あんなファンタジーな終わりはちょっと納得いかない。

    髪が長いおセイちゃんの若衆髷姿はなかなか決まってたな。
    戦いにくそうだけど。

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著者プロフィール

日本保健医療大学保健医療学部准教授

「2017年 『保健の実践科学シリーズ 学校看護学』 で使われていた紹介文から引用しています。」

渡辺多恵子の作品

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