雪国 (新潮文庫)

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レビュー : 654
  • Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001012

感想・レビュー・書評

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  • 「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」は、日本文学史の中でも屈指の書き出し。余談ながら、富山から東京へ新幹線移動の場合は、越後湯沢で乗り換えなので、越後湯沢の雪深さが現実感としてあらわれてきました。(笑)
    実は物語らしい物語はなく、背景や経緯も読んでいてあまりよくわからないのですが(笑)、情感たっぷりに雪国の風景を描写した中で交わされる島村と駒子の会話が、しっとりとした面白い風情を感じさせ、ぐいぐいと引き寄せられました。駒子が島村にまとわりつく様子も嫌味でなく、本来は鬱陶しいはずの言動も(笑)、雪国の景色の中へとけこんでいくような感じ。
    四季のうつろいと蛾の生死の有様の対照化や、女性の美を鏡に反映させて描く筆致は見事です。
    ラストは余韻がかなり残る終わり方ですが、その後を描いていくよりはむしろ、大舞台の中、情感を最高潮に達したところで終わりにする心憎い演出ではないかな。(笑)しっとりとした美を描く日本映画、といった趣の作品でした。

    • だいさん
      >女性の美を鏡に反映させて描く筆致は見事です。
      私も川端の女の描写はすごいと思います。
      >女性の美を鏡に反映させて描く筆致は見事です。
      私も川端の女の描写はすごいと思います。
      2013/05/26
    • mkt99さん
      先日、「川端康成 ・東山魁夷コレクション」という展示会を観てきました。川端コレクションを観ていますと、川端の審美眼を通した「女性像」というも...
      先日、「川端康成 ・東山魁夷コレクション」という展示会を観てきました。川端コレクションを観ていますと、川端の審美眼を通した「女性像」というものがあるのかなと思いました。
      2013/05/26
  • 川端康成を読むのはこれで二作品目。冒頭の夜汽車に揺られる一連の描写が、どことなく芥川の『蜜柑』にも似て、たいしたことを描写しているわけでもないのだけれど、物憂げな心持ちにさせる。

    銀白の雪国、閉ざされた世界、島村のいうように「徒労」でしかないのかもしれない駒子の、その無垢さを象徴するかのように、それはいつも白い。窓越しの駒子の赤い頬との対比が、まるで美人画のようで、たおやかなれど官能的でさえある。

    おわりは突然やってくる。以前に読んだ『みずうみ』もそうだが、彼の物語は唐突にはじまり、唐突におわる。まるで登場人物たちの人生を適当な尺で切り出してきたかのように、まったくもって完成しない。着地点がわからないから戸惑うのだけれど、現実の日常にもそれがないのと同じで、彼の語り口はどことなく真に迫るものがある。わたしには永遠に訪れることのできない雪国が異次元に存在して、彼はそこに出入りができるかのようだ。

    架空の世界が現実を肉迫する。寂しくなったら、慰めがほしくなる。そんなときは彼が切り出した別の人生の一コマをまたのぞいてみたいと思う。

  • 文字が織りなす作品世界、私は他の作品以上にこの点を強く感じた。

    一言一言、
    一文字一文字がすべて意味をなし、
    無駄なものが一切無く読者に情景を想起させる。
    彼のこの作品を体験することで改めて日本語の持つ表現の幅広さを感じることが出来たと思っている。

    表現という観点から作品を見た時に頂点に君臨するのが
    川端康成の「雪国」であることは私の中では疑いようのない事実である。

  • 言わずと知れた名作であるため、一読しようと本書を手にとった。本書は、主人公の島村がトンネルを越えて雪国に赴き、美の追求に臨む物語である。著者が本書に込めた思いを汲み取るのは難しかった。物語の内容が読者の想像に委ねられるところが多く、それ故に難解な作品になっていると感じた。非日常が演出されていることが理想である雪国で、島村がその理想の維持のために恋愛など一切の日常を寄せ付けまいとする姿は印象的だった。本来は「徒労」が本作の題になる予定であったこともあり、島村を愛する芸者の駒子の様々な行動が徒労に帰する様子は読んでいてとても寂しい。読了後には、なんとも言えない虚しさが残った。

  •  「文豪とアルケミスト」とのコラボ版を購入。

     以前、自分は横光氏の自然描写を「美しく悲しい」、梶井氏のそれを「美しいけど美しくない」と打った記憶があるが、川端氏の場合は、「美しくも残酷」だと思った。

     秋から冬へと移ろいゆく季節の中で、静かに息絶えていく虫たち。どれだけ季節が変わろうとも、「それ以上」へと向かわないようにする島村の心。「徒労」「天の河(=二人の仲を別つもの)」といった繰り返し使われる単語が、駒子をただ「見ている」だけだということを強調させている。
     彼があまりにびくともしないから、途中途中で駒子の言動を、鬱陶しいとすら感じてしまう。かといって、読者に彼女をそう「見させて」いる彼を、「悪い男」ときっぱり言い切れない部分もあり……その点に関しても、残酷なんだよなあ。

     ところで、序盤の、「左の人差し指」の描写に漂うエロス。あれは格別。

  • 川端康成の繊細な文章の醸し出す、静謐で幻想的な雰囲気。本当に大好きです。

    特にこの「雪国」は私の大好きな雪の描写がどれも美しい。雪国の静謐なムードを演出してます。島村と駒子の哀しいとも取れる関係は、今の私にはまだ理解できないところもあるけど、自分がもっと大人になったら再読したいと思った。きっとその時の感想もまた変わってるような気がする。

  • 本には、それを読むのに適した年齢があると思います。高校生のとき、大学に入ったばかりのとき、島村や駒子を取り巻く状況が全く分かりませんでした。動きがない、答えを出さない、臆病。なんでこれが‘名作’なの??と。
    わかった、エロか!!この妙にほのめかすエロな感じがいいのか。いつの時代も妄想を掻き立てられる表現が歓迎されてきたのは一緒か。
    もちろんその年齢は人によって全然違うのが当たり前ですが。私は三回目にしてやっと、この文体になんとかついていけるようになりました。以前と受け取るものが違うなぁと感じるのは新鮮なことです。要は、「読書をするとき背伸びをするな」。わからないものはそのままに、いつか再チャレンジしてみると楽しい。

  • 久しぶりの再読。
    自分が二十歳頃に読んだ時、世界に吸い込まれていく感覚で、とても感動したのを覚えている。
    あの頃の私は感性が鋭かったのか。
    大人になった今、そこまでの感動は得られなかった。
    ただ、文章の美しさ、ひとつひとつの素晴らしい言葉のセンス、情緒たっぷりに描かれる雪国の風景や季節の移ろい。
    島村の眼を通して表現される駒子と葉子。
    必死に生きる女たちの美しさの表現。
    そんなものを少しは感じ取れるようになったのかもしれない。

  • 最後のシーンに鳥肌がだった
    描写が秀逸

  • 初川端文学、ノーベル賞文学にふれたので、初心者にはかなりハードル高かった。時代が違うのもあって、男性独特の感性を女性から読むのは、境遇も理解できないので、意外とんんん?とのめりこめない部分もある。最後ページ数からするとまだあるよねと思いながら読み進めていたら、意外なとことで終わったので、あらってなったw。

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著者プロフィール

1899年生まれ。1920年東京帝国大学文学部英文学科に入学(のち、国文学科に転科)。1921年第六次『新思潮』を創刊。『伊豆の踊子』や『雪国』などの作品を残す。1961年文化勲章受章。1962年『眠れる美女』で毎日出版文化賞受賞。1968年10月、日本人初となるノーベル文学賞受賞が決定する。1972年没。

「2017年 『山の音』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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