- Amazon.co.jp ・本 (224ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001012
感想・レビュー・書評
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美の表現が極まり一つの美しい芸術作品であった。終始感嘆させられた。
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「国境の長いトンネルを抜けると雪国であった。」は、日本文学史の中でも屈指の書き出し。余談ながら、富山から東京へ新幹線移動の場合は、越後湯沢で乗り換えなので、越後湯沢の雪深さが現実感としてあらわれてきました。(笑)
実は物語らしい物語はなく、背景や経緯も読んでいてあまりよくわからないのですが(笑)、情感たっぷりに雪国の風景を描写した中で交わされる島村と駒子の会話が、しっとりとした面白い風情を感じさせ、ぐいぐいと引き寄せられました。駒子が島村にまとわりつく様子も嫌味でなく、本来は鬱陶しいはずの言動も(笑)、雪国の景色の中へとけこんでいくような感じ。
四季のうつろいと蛾の生死の有様の対照化や、女性の美を鏡に反映させて描く筆致は見事です。
ラストは余韻がかなり残る終わり方ですが、その後を描いていくよりはむしろ、大舞台の中、情感を最高潮に達したところで終わりにする心憎い演出ではないかな。(笑)しっとりとした美を描く日本映画、といった趣の作品でした。-
2013/05/26
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先日、「川端康成 ・東山魁夷コレクション」という展示会を観てきました。川端コレクションを観ていますと、川端の審美眼を通した「女性像」というも...先日、「川端康成 ・東山魁夷コレクション」という展示会を観てきました。川端コレクションを観ていますと、川端の審美眼を通した「女性像」というものがあるのかなと思いました。2013/05/26
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さすが川端康成文学。左手の人差し指!
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川端康成を読むのはこれで二作品目。冒頭の夜汽車に揺られる一連の描写が、どことなく芥川の『蜜柑』にも似て、たいしたことを描写しているわけでもないのだけれど、物憂げな心持ちにさせる。
銀白の雪国、閉ざされた世界、島村のいうように「徒労」でしかないのかもしれない駒子の、その無垢さを象徴するかのように、それはいつも白い。窓越しの駒子の赤い頬との対比が、まるで美人画のようで、たおやかなれど官能的でさえある。
おわりは突然やってくる。以前に読んだ『みずうみ』もそうだが、彼の物語は唐突にはじまり、唐突におわる。まるで登場人物たちの人生を適当な尺で切り出してきたかのように、まったくもって完成しない。着地点がわからないから戸惑うのだけれど、現実の日常にもそれがないのと同じで、彼の語り口はどことなく真に迫るものがある。わたしには永遠に訪れることのできない雪国が異次元に存在して、彼はそこに出入りができるかのようだ。
架空の世界が現実を肉迫する。寂しくなったら、慰めがほしくなる。そんなときは彼が切り出した別の人生の一コマをまたのぞいてみたいと思う。 -
言わずと知れた名作であるため、一読しようと本書を手にとった。本書は、主人公の島村がトンネルを越えて雪国に赴き、美の追求に臨む物語である。著者が本書に込めた思いを汲み取るのは難しかった。物語の内容が読者の想像に委ねられるところが多く、それ故に難解な作品になっていると感じた。非日常が演出されていることが理想である雪国で、島村がその理想の維持のために恋愛など一切の日常を寄せ付けまいとする姿は印象的だった。本来は「徒労」が本作の題になる予定であったこともあり、島村を愛する芸者の駒子の様々な行動が徒労に帰する様子は読んでいてとても寂しい。読了後には、なんとも言えない虚しさが残った。
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文字が織りなす作品世界、私は他の作品以上にこの点を強く感じた。
一言一言、
一文字一文字がすべて意味をなし、
無駄なものが一切無く読者に情景を想起させる。
彼のこの作品を体験することで改めて日本語の持つ表現の幅広さを感じることが出来たと思っている。
表現という観点から作品を見た時に頂点に君臨するのが
川端康成の「雪国」であることは私の中では疑いようのない事実である。 -
やはり冒頭の有名な一文に心惹かれて、絶対読みたいと思っていた作品。大学生の頃買って、なかなか読み進められず眠っていたけれど、やっと読み終えることができた。
雪国の美しい景色や空気感、季節の移ろいを作者が丁寧に描写しているのが素晴らしい。
駒子の激しい感情や態度の起伏、島村の冷静な態度や心情描写から、二人の関係性の虚しさ、切実さなどが伝わってくる。しんしんと降る雪のようない物語。
個人的には、現代では雪国の人は色白で美人というイメージがあるが、話の中では温泉場のある雪国とは山中の田舎、雪焼けで底黒い女性が描かれ、島村も「ここの芸者ってみんなあんなのかね。」と語っているのが面白かった。
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雪のシンシンとした美しい情景が目に浮かんだ。
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文章は美しいがまともな職に就いていない上に妻を置いて逗留先で不倫している主人公に対して最後まで感情移入出来ないままだった。
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幕切れが素晴らしい。
赤々とした炎が揺らぎながら光と影を作っていると思ったら、次の瞬間には真っ暗になる。
読み終わると共に、人生まで終わってしまったかと錯覚する程の情景描写。
著者プロフィール
川端康成の作品






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2021.1.7. フォローに答えて頂き、ありがとうございます!よろしくお願いいたします。
2021.1.7. フォローに答えて頂き、ありがとうございます!よろしくお願いいたします。
はじめまして、こんにちは。
こちらこそ、いいね!とフォローありがとうございます。とても嬉しく思います。またレビュー拝見させて...
はじめまして、こんにちは。
こちらこそ、いいね!とフォローありがとうございます。とても嬉しく思います。またレビュー拝見させて頂きます。どうぞ宜しくお願い致します。