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本 ・本 (171ページ) / ISBN・EAN: 9784101001036
感想・レビュー・書評
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どこか寂寞とした、それでも感性に溺れることの無い感受性の世界。それが川端康成の世界観だと思う。
イタリアの歌 // 実験中の発火で全身に火を浴び、病院に運ばれたが死んでゆく医学博士と腕と足に火傷を負ったものの生きながらえる若い女助手。病院に響き渡る 力強い歌声 がどういう物語を二人の間が紡いできたのかが想像できる。歌うという行為が作中の第三者を「相手の男の方が、あんなに苦しんで、もう死になさるのに、いい声で歌を歌ってなさる。」と表現され、どう感じていくかが読みどころ。強い哀愁の香りが見え隠れしている。
花のワルツ // 雪国より前の踊り子の物語。終わり方がとても中途半端のように感じてしまうけれども、あの終わり方だからこそ生きてくる物語のような気がする。嫋々とした雰囲気で終わっている。留学し、足をリュウマチにやられ、帰国した南条がバレリイナの星枝に言った「踊りを愛している、からですよ。踊ってもの、少しはほんとうに、知っているからですよ。」という言葉が胸を打つ。
日雀 // 夫婦の物語。
朝雲 // 若く美しい先生(あの方)に焦がれる女学生の話。淡くも情熱的な青春の一ページのような物語。
(2009.09.01)
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『イタリアの歌』『花のワルツ』『日雀』『朝雲』を収録。
『イタリアの歌』は、実験中の出火で全身火だるまになり、病院へ運ばれたが怪鳥のような唸り声をあげ続けて死んでゆく戦争医学博士と、同じ火事で腕と脚を火傷した若い女助手の話。恋人が苦しみぬいて死のうという時に美しい声で歌う、その声からかつての二人の恋人達の姿が想像できるようでした。儚くて美しいです。
『花のワルツ』は、踊りのライバル星枝と鈴子、師の竹内、竹内の愛弟子・南条の話。竹内に献身的に尽くしながら、洋行した南条を愛して待ち続けた鈴子は健気だけれど、お嬢様育ちで我儘で「もう一生二度と踊らない」と言いながら踊らずにいられない星枝から目が離せません。脚を傷めて踊れなくなったびっこの南条が林の中で星枝と踊る場面が凄いです。激しく美しく残酷で、強く惹かれました。
『日雀(ひがら)』は、自分の女関係を隠しもせず、妾との上松旅行中に見かけた日雀を思い出しては欲しがる松雄とその妻の話。夫と妾との関係を、第三者であるはずの妻ばかりが覚えているというのが印象的でした。
『朝雲』は、若く美しすぎる国語の先生「あの方」に対して抱いていた、絶望的なほど切ない憧れを描いた作品。 -
嫉妬深く、純情で、生きることに真剣な女達の美しさを描いた短編集。
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この切り裂かれる情緒と砕けて溶けていく寂しさのなんと透明で美しいこと!
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女ですか?
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川端康成の美学の寄せ集めのような感じがする。
モチーフとしては良いですが、話の流れとしては冗長なような。 -
(2002.12.14読了)(2002.01.25購入)
☆川端康成さんの本(既読)
「雪国」川端康成著、新潮文庫、1947.07.16
「伊豆の踊り子」川端康成著、新潮文庫、1950.08.20
「千羽鶴」川端康成著、新潮文庫、1955.02.28
「眠れる美女」川端康成著、新潮文庫、1967.11.25
「古都」川端康成著、新潮文庫、1968.08.25 -
短編『朝雲』の思春期特有の美しさに心打たれました
著者プロフィール
川端康成の作品





