- 本 ・本 (320ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001173
感想・レビュー・書評
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美しい情景が脳裏に浮かび冬の箱根や京都を旅してみたくなりました。日本語が美しくて、70年でここまで変わった要因はなんだろう?とか、花街言葉はかわいいけどややこしいなとか、東京から京都まで《銀河》で10時間。ボオイも乗ってるらしい。とか、余計な事も考えつつ時間をかけて読み進めました。
「夕霞んで」という表現が出て来たんだけど、もちろん使った事なくて、なんとなく分かるような分からないような、、、。
三姉妹に共感する事は出来なかった。時代が変わり、女性の置かれてる立場や意識が変わったからなんだろうな。
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川端の鹿屋における「海軍報道班員」経験が下敷きになっていると
考えられえる小説ということで読む。
鹿屋を訪ねたときのお供でもある。
久しぶり、おそらく20年ぶりくらいの川端ワールド。
あいかわらず美しくて不気味。
なんか露悪的というか変態的というか・・・
そういう部分が必ずあるんだよね、川端。
建築家の父をもつ美しい三姉妹は、それぞれ母親が違う。
長女は特攻兵として恋人が戦死して以後、少年愛に走り・・・
次女は優しい娘として心を砕き・・・
三女は一人芸妓の母の元、ひっそりと生きて・・・
ところが、運命のいたずらで・・・
という小説。
結末の終わり方がいい。
川端が愛した「美しい日本」らしく
舞台は箱根や京都。 -
1950(昭和25)年から翌年にかけて雑誌に連載された、川端が50ー51歳の頃の作品。『千羽鶴』『山の音』などと同時期のものである。
私は遙か昔、高校生の頃に川端康成の小説を結構読んでおり、当時もずらっと書店に並んでいた新潮文庫の川端康成を、どんどん買って読んだのだった。
しかし、川端作品はどうも私にはピンとこないような気がしていたのだが、最近未読だったものをまた読んでみるようになり、今回、本作を読み通して、なるほど、これは優れた作品だと初めて納得がいった。
比較作品論的に読んでみるとただちに気づくのだが、この小説には登場人物の容貌などの「描写」がほとんど無いのである。文章はかなりの省略が施されていて、いつも川端作品を読むとイメージされる「もの凄くか細い線の、はかなく危うい感じ」は、このようなところから来ている。
バルザック以来のフランス近代文学やドイツ近代文学における「描写」の在り方と比べると、川端文学は凄まじいほどの「欠落」によって特徴づけられている。
容貌の描写も、ときどきはおおよその年齢も省略されているために、読者にとってこれらの登場人物は影絵のようにほのかだ。
こうした「省略」はもちろん、日本文学において特色ある短歌や俳句などの作法とも通じている。最小限の言葉の布置による技芸の呈示なのだが、悪く言えば、何故そんなに少ない言葉で用が足りるかというと、「いちいち細かいこと言わなくても、ほら、わかるでしょ? こういうふうに感じるでしょ?」という、「我々」の生活・感覚・思考の共通性(同一性)を前提としているからである。似たような感じ方で、似たような生活の文脈の中で、モノを見る。この前提が無ければ、あまりにも少ない言葉数では意味が伝わらないはずだ。
つまり、古来日本人たちは日本に住む同胞「我々」を同一性においてのみ捉えており、差異なき文化を生きてきた(あるいはそう直感した)のだろう。他民族が絶え間なく混交して織りなされるアメリカ文化とはほぼ正反対だ。
このような同一性文化は、やはり危うい側面があり、いつかは「他者」(外部の者とは限らないだろう)と齟齬をきたして破綻するのではないか、という危惧を持たざるを得ない。
そんな危うさが、川端の小説そのものによって体現されているような気がする。
危ういけれども、確かに美しい。そのはかなさゆえに強く、そして常に「死」と接触しつつある。
本作では三人姉妹のうち波乱に満ちた百子の遍歴の部分がなかなか面白いし、切り詰められた文章がときおり思いがけなく鋭いひらめきを放つのが素晴らしい。高度に美しい文学である。そのような点が理解されて、ノーベル文学賞に結び付いたのだろう、と、初めて心から納得した。 -
傑作以外の川端もある‥‥と。
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2006. たぶん11月頃
これはなかなか設定が面白いです。是非今の時代に流行らせたいです。てか誰かこれでギャルゲーを作って欲しいです。それで麻子萌えか百子萌えか若子萌えか議論を白熱させたいです。おそらく裏ルートで竹宮少年も攻略可能。そんな話を誰かとしたいです。 -
京都の嵯峨野や嵐山、渡月橋などの風流な情景が表されていて優しい表現が多かった。
宮ちゃんと百子の物語、『僕を捨てるの?』
百子が相手に任せてしまう性格だと青木の父が指摘する所などが頭に残っている。 -
舞台が、ちょうど私がよく知っている景色から始まっている。なんだか自分自身も旅をしているような不思議な気分のまま読み終えた。湖国の虹は一度見たら一生忘れられない。そして、百子は自ら虹の橋を渡って行った者たちの呪縛から解き放たれる日が果たして来るのだろうか?
著者プロフィール
川端康成の作品





