眠れる美女 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 2419
レビュー : 281
  • Amazon.co.jp ・本 (256ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001203

感想・レビュー・書評

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  • 眠れる美女、表現の緻密さにありがたさを感じた。そして、全てが綺麗なわけではなく、ありのままを描くその川端康成の姿勢にグッときた。何かが起こりそうでなにも起こらないんだろうなと思わせておきながら、何かが起こりそうな予感を孕みつつ物語は進んでいく。我々はその時すでに川端康成の術中にはまっているのであった。

    単純に抱いた感想としては、ページに文字がびっちり書いてあるなと思った。それは、会話する相手は眠っているのであって、大方主人公の思考が書いてあるのみになるで当然である。

    まあ雪国の方が好きかな。

  • 裸で眠らされている年若い女の子と添い寝する老人の話と、女の子から右腕を借りて一晩過ごす男の話と、面倒を見ていた女の子二人が特に理由なく殺された事件を調書などで男が振り返る話。

    「眠れる美女」は「男の妄想ってこんな感じか」と冷たい目で見てしまう感じ。ちょうど女の子を提供してる宿の女主人のような冷たさを持って読み進めました。
    寝ている女の子は何をしても起きないように薬を使われていて、そうやって直接的なリアクションは無くていいけど、ただの人形は嫌で、でもたまには話しかけたら反応が欲しくて、とか、我儘言うな!と思ってしまう。。

    ただ、「寝ている女の子」を自分の過去を振り返ったり、内面を掘り下げたりする装置として機能させてる部分は上手いのかな、と思いました。
    私の国語力では理解しがたいというか、生理的に掘り下げたくない気持ちにさせる話でした。

    「片腕」は本当に気持ち悪い…
    取れた腕の断面はどうなってるの?
    男の腕と付け替えられるってどういうこと⁉︎
    と最初から混乱させられるお話でした。
    最後目が覚めてギョッとして女の子の腕をもぎ取る男にギョッとしましたよ。

  • 世間的には枯れた、と分類された老人たちが、若くはつらつとした眠る少女たちと一晩を過ごす話。
    美しい腕と共に過ごす話。
    少女たちと女性の腕の美しさが執拗なまでに細かくリアルに描写され、そのどちらとも平行線で交わることのない男達のひたすらに不思議な物語だった。

  • 2018/08/06-09/12

  • 不定期に日本文学に触れたくなり、購入。
    3作品からなる短編集。
    何故、川端康成?
    NHKで、平成 古都 なんてドラマを観たせいだと思う。
    しかし、日本の美を表現する川端康成…と思いきや、これは違った。
    表題と同名の「眠れる美女」これには、びっくり!
    官能小説としての表現はないものの、エロ全開。
    解説は三島由紀夫で、超豪華。
    川端康成もそうだけど、何故、文学を極めた人って自殺するんだろうね…謎。
    '18.08.03読書完了

  • これは「老人と性」がテーマ。山の音、よりもはるかに色濃い。トータル「生への執着」をあぶり出したいのかなと思った。現代も変わらずだけど、老いを表面上では認めつつ、やはりいつまでも若くいたいし元気に生きていたい。けどそれをあからさまにするのはみすぼらしく、女々しく、みっともないので、せめて若い人と関わっていたい。しかもできればこっそりと。みたいなニーズを満たしてくれるのが「眠れる美女」であったと。面白いテーマ設定でなかなか良かった。

  •  川端康成を生まれて初めて読んだ。
     ロリコンが興味を示しそうな文芸作品という内容の記事の中で紹介されていた一冊。三島由紀夫にもそういう小説があるようなのでいずれ読みたいと思っている。
     3つの小説すべてに共通することは、十代の少女を愛でる老人という設定である。
     そんな内容からは、かつて庄屋の主は嫁ぐことが決まった村娘の処女を奪う習わしがあったという噂話や、70年代文化大革命期の中国を舞台にした映画「シュウシュウの季節」、現代イスラム圏の映画「アフガン零年」、あるいは梁石日の小説および映画「闇の子供たち」といった人の世の暗黒面を見せる作品を思い出さずにはいられなかったが、さすがにノーベル文学賞受賞作家の描く世界は紳士的なロリータ趣味である。
    「眠れる美女」という秘密倶楽部じみた店で老人が未成人の少女たちと添い寝するという設定がいかにも在りそうで面白いが、現代においては学校教諭やら校長などというモラルの規範となるべき老成した人物たちが少女売春や盗撮で次々御用となっており、これぞ正しく事実は小説より奇なり。
    「眠れる美女」の主人公・江口はしきりに自分を「悪」だと肯定しつづけるが、全裸の少女と同衾してそのまま朝まで寝るだけなんて今のリアルな世界においては聖人もかくやである。
     幼少期の初恋にはじまり、青年から中年そして老年に至るまで、結局男は一生若い生娘の存在感にあこがれを抱きつづけるものなのかも知れない。ロリコンとは一種の本能であって決して特異な性癖ではないのかも知れない。それは一夫多妻のサルの生態などを観れば明らかだ。種を残すべき男の性に終わりはないのである。
     昨今必要以上に年齢の低い男と結婚したがる女性が増えているが、彼女たちに一つだけ言っておくと、その結婚における天国のあとはすぐに地獄である。別に止めはしないが肝に銘じておいた方がいい。老齢の嫉妬心は狂気を生む。
    「眠れる美女」のロリータ趣味の次は「片腕」のフェティシズムと続き、最後の「散りぬるを」を読んだらなぜか「不思議の国のアリス」を書いたルイス・キャロルのことを思い出した。
     アナイス・ニン「小鳥たち」のようなエロスを期待したが、全然エロくなかった。
    (2011.10.08)

  • 3篇ともラストがあっけなさすぎてびっくり、そこがいいのかな。

  • 【眠れる美女】
    有閑階級の老人たちが通う、謎めいた海辺の宿。
    そこでは、眠りの底まで眠らされた全裸の若い娘が布団に横たわっている。
    みずみずしく艶やかな娘と、その隣にぴったりと寄り添う枯れて乾いた老人の対比に、とてつもない老いへの恐怖をおぼえました。
    ただ寝ているだけの娘の肌や髪や指や、そのうつくしい存在の描写があまりにもねちっこすぎて、これぞまさに川端康成。
    冷水を浴びせかけられたかのようなラスト。

    【片腕】
    恋人の右腕を拝借し、自宅にもってかえって添い寝し慈しむというこれまたとんでもない話。
    その腕と交わされる可愛らしい会話に寒々とした狂気と官能を感じざるを得ない。
    興味本位で自身の腕と付け替えたあと、恋人の腕を投げ捨てる魔の発作の殺人のようなシーンには息を呑みました。

    【散りぬるを】
    文学の弟子としていた娘が、寝ているところ首を締めて殺された。
    その事件を訴訟記録や犯人の精神鑑定報告とともに明らかにしていきながら、弔うための小説にしていこうとする、二つの側面をもつ話でした。
    殺された娘に対する美しい悲しみはきちんとありつつも、そこから一歩隔てたところでその事実を編んでいく、小説家という「無期懲役人」の業が格好良くて憧れる。

  • 3編の小説。表題作は、老人が眠らされた女を横に、葛藤したり昔の女を思い出したりしながらの一夜を過ごす話。乾いた印象だけが残った。他に至っては何も伝わってこなかった。解説で三島由紀夫が絶賛してるので分かる人には分かるのだろう。

著者プロフィール

1899年生まれ。1920年東京帝国大学文学部英文学科に入学(のち、国文学科に転科)。1921年第六次『新思潮』を創刊。『伊豆の踊子』や『雪国』などの作品を残す。1961年文化勲章受章。1962年『眠れる美女』で毎日出版文化賞受賞。1968年10月、日本人初となるノーベル文学賞受賞が決定する。1972年没。

「2017年 『山の音』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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