現代語訳 竹取物語 (新潮文庫)

  • 新潮社 (1998年6月1日発売)
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感想 : 8
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  • 本 ・本 (176ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001241

感想・レビュー・書評

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  • 竹取物語は古文で楽しんでとは、言われ、中学古典でも取り扱われているけれど、やっぱりハードルは高い。ビギナーズクラシックだと、途中の解説が少し煩わしく、川端康成訳を参考図書に選択。
    全150p程で、現代語訳と川端康成の解説が半々くらいの構成。想像以上に古典に精通していて、かなりの解説書も読まれており、時代背景をくみ、作者の芸術性を讃えたものでした。解説で、物語を段落ごと振り返りながら、登場人物の心象、作者の狙いを丁重にまとめられています。
    ストーリーは古典に忠実なのですが、予測に反して、文章がさっぱりしていました。(艶っぽいのを期待していた) 解説二で、古文の描写が、はつらつとして面白いこと、ユーモア悲哀勇壮なところもある、とされていて、その印象を訳に反映されたのかなと思います。
    気になっていたのは、かぐや姫が20年この地にいたということ。研究者的には、求婚者5人×3年+帝文通3年+α で20年で時間が直列らしいのですが、訳では、わからない。川端康成もそのことは知っていたようで、解説で、競争的に並列でないと面白くないし、本作品の重要なところではないのですと書かれていました。気にしなくてよろしいんです。
    かぐや姫は、月で罪を犯して不浄の地に預けられていて、その罪が不確定のままなんですが、なんと、解説でも触れる事はありませんでした。
    作家として、訳すに徹底されていました。

  • 思った以上に読みやすかった川端版竹取物語。言葉選びが美しいなぁ。そしてちゃんと読んだらこんな話だったのか、竹取物語…。最後の解説がためになった。

  • ジブリの映画、かぐや姫の物語をきっかけに、この物語に興味関心を抱いて読みました。
    ましてや川端康成の美しい日本語での訳です。
    なかなかに味があって、原文に近い訳に思いました。

    あらためて読んでみますと、かぐや姫の現代的で強情な姿がとても魅力的でした。
    五人の貴公子の求婚にも、帝のお申し付けにもきっぱりとした態度。
    かっこいい女性なのです。

    川端康成も解説で述べていましたが、この物語で、かぐや姫は恋愛も、家族の愛もはねのけてしまいます。
    さらに、一個の人間として、なに一つ達成もしません。
    かぐや姫はなんのために地上へやってきたのでしょうか?
    一体この物語のテーマはなんだろうと考えさせられました。
    考え出すと謎が多い話なんですね。

    高畑勲は、生きる喜びとして、現世で生きることの素晴らしさをテーマに描いていました。
    必要以上の説明がないぶん、人によって見方も変わってくる作品だと思います。


    川端による解説も充実しています。
    たんなる知識的理解にとどまらない、文体的な、物語的な構成上の狙いまで推測されていておもしろかったです。

  • 読みやすい文体。

  • 今まで、大まかな流れしか知らなかった竹取物語をしっかり読めてよかった。
    ちょっとかぐや姫がお茶目さんに思えてきて、前より親しみが湧いてきました

  • 川端康成

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著者プロフィール

一八九九(明治三十二)年、大阪生まれ。幼くして父母を失い、十五歳で祖父も失って孤児となり、叔父に引き取られる。東京帝国大学国文学科卒業。東大在学中に同人誌「新思潮」の第六次を発刊し、菊池寛らの好評を得て文壇に登場する。一九二六(大正十五・昭和元)年に発表した『伊豆の踊子』以来、昭和文壇の第一人者として『雪国』『千羽鶴』『山の音』『眠れる美女』などを発表。六八(昭和四十三)年、日本人初のノーベル文学賞を受賞。七二(昭和四十七)年四月、自殺。

「2022年 『川端康成異相短篇集』 で使われていた紹介文から引用しています。」

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