螢・納屋を焼く・その他の短編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 5144
レビュー : 416
  • Amazon.co.jp ・本 (208ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001333

作品紹介・あらすじ

秋が終り冷たい風が吹くようになると、彼女は時々僕の腕に体を寄せた。ダッフル・コートの厚い布地をとおして、僕は彼女の息づかいを感じとることができた。でも、それだけだった。彼女の求めているのは僕の腕ではなく、誰かの腕だった。僕の温もりではなく、誰かの温もりだった…。もう戻っては来ないあの時の、まなざし、語らい、想い、そして痛み。リリックな七つの短編。

感想・レビュー・書評

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  • 確かに赤と緑のハードカバーは買って読んだはずなのに、ストーリーは覚えていないあの作品の雰囲気は思い出せた『蛍』、よかった。夏のはずなのに冬を引き摺ったまま終わるラストの方すごい。
    『納屋を焼く』もよかった。不穏さもドライさもちょうどいい塩梅。
    村上流ギャツビィなのかな、あの人。
    主人公が1㌔4分ちょっとで走るって早いやないかい!と物語と関係ないとこでイラついたけど。
    『めくらやなぎと眠る女』、一番好き。平日昼間、まだ学生のいとこの通院の付き添う主人公。特に事件は起こらないし、出来事ともいえないし、スケジュール的にこなす、で終わりそうな数時間を集めてそれを舞台にするなんて。でもぎゅうぎゅうに内容は詰まってる。
    いとこの耳を見る箇所、向田邦子『耳』思い出してひやひやした。
    村上春樹の魅力がちょっと分かったかも~(やせ我慢)な一冊でした。

  • 「踊る小人」と「めくらやなぎと眠る女」が面白かった。

  • 村上春樹は結構読んだと思うが、”納屋を焼く”は特に印象的。

  • 「納屋を焼く」が韓国の監督で映画になった。読みなおしてみると、あんまり関係あると思えなかった。しかし、ぼくは、「蛍」が好きなんだなあ。やっぱり。

  • むちゃおもしろい

  • お久しぶりの村上春樹。

    映画が気になり手に取りました。

    ほぅ…これを…長編映画に…?

    めっちゃ気になります。
    劇場で見逃してしまったのでレンタル始まったらすぐ観たい。

    長編の村上作品は個人的にはなかなか疲れてしまうのであまり…なのだけど、短編だと良い感じに読めます。

  • 1980年代の初め、村上春樹はロングインタビューで「ピュアな恋愛小説を書きたい」と語っていた。その元となったのが表題作にある「蛍」で、これを敷衍して「ノルウェイの森」が生まれた。ページ数にして40頁程の短篇が空前の大ベストセラーとなるとは本人も予想をしていなかっただろうし、それを機に時の人となり、ストレスフル状態になり日本を脱出する羽目になるとは、まったくもって計算外だっただろう。

    本書に収録されている短篇は5篇。
    ⑴蛍
    学生寮に住む大学生の主人公が、偶然車中で高校時代の友人の元彼女に出会い、時々会うようになる。当初のギクシャクした関係も、次第に互いの体温を感じる距離に狭まり恋愛へと発展。でも、ある過去の出来事がふたりの間に影を落とす…。

    ⑵納屋を焼く
    歳の離れた奔放な彼女が長い海外旅行から日本人の彼を連れて帰国。ある日、主人公宅へふたりが訪ねてくる。彼はマリファナを吸いながら「定期的に納屋に放火し、その燃える様を眺めるのが好き」と告白。「近々この近所の納屋を焼きます」と言われ、気がそぞろな主人公は…。

    ⑶踊る小人
    一頭の象から五頭の象を作り出す工場で働く主人公の夢の中に、実に優美に踊る小人が登場し謎めいた一言を残す。その夢を端緒に、主人公の周辺でぐらりと様々なものが動き、揺らめきはじめる…。

    ⑷めくらやなぎと眠る女
    仕事を辞め地元に戻った主人公は、耳の病を持つ、いとこの通院に付き添う。その病院で診察を待つ間、コーヒーを飲みながら物思いに耽り、あることを想起する…

    ⑸三つのドイツ幻想
    東西冷戦時代のベルリンという物理的閉鎖された都市空間を舞台にしたエッセイ風3つの掌編。第1章はエロチックな言葉が溢れ、以後彼の長編に多く見られるセックスシーンの原点なったのかなと思える…

    村上春樹の処女短篇集「中国行きスロウボート」以来、おそらく全ての短篇を読んでると思うが共通しているのは、ストンと落ちるオチというかサゲはない。起承転結、序破急というメリハリはなく、ストーリーのつなぎ目は淡く緩やかである。読んでいる途中から、短篇なのに長篇を読み通したような錯覚に陥るぐらい、実に豊かなイメージを持った作家であることを再認識した次第。

    「蛍」を初めて読んだ時は19歳。主人公とほぼ同じ年齢であったから、簡単に自身を投影でき、また文章から立ち昇るリリシズムにいたく感動した記憶がある。今回久々に読み、一瞬だけど19歳のあの頃に戻れ、鼻の奥がつんとしてしまいましたがな…。

  • 再読。映画「バーニング」納屋を焼く

  • 納屋を焼く、映画化に際して久々に読んだが、また読み味が変わっていてぞわっとした。主人公が既婚者であることを、私はほとんど意識したことがなかったが、今回に至っては彼が既婚者であることがとても重要なファクターな気がした。既婚者でありながら、ガールフレンドと出会った主人公。彼女といるとなんだか落ち着くんだ的なことを言っているのだけれど、その実それはきちんとしたコミットメントではない。そのことは、彼女が失踪後に、彼から痛烈に責められる。「彼女と連絡が取れない」と言う彼に対して「どこかにふらっと出かけてるんじゃない?なんかあの子そういうとこあるじゃん」というようなまるで他人事の答え方をする主人公。それに対して「12月に?一文なしで?友達もいないのに?彼女はあなたのことは信頼してたのに」と。
    私は彼のことが気味が悪いとずっと思っていたので、あまりこのシーンに着目していなかったのだけれど、これは彼女に対するコミットのなさが痛烈に批判されているシーンなのだと気づいた。そして、いてもいなくても変わらないし気づかない=納屋であるという等式はぞっとするものがある。村上春樹はこの短編のことを冷たい話だと自分で言っていたが、確かにある種、冷たい話だなあと思う。

  • 昔読んだはずの本だけど、すっかり内容を忘れているので読み返してみたくなった。村上春樹読むのって何年ぶりだろう。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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