世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド〈下〉 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 9509
レビュー : 728
  • Amazon.co.jp ・本 (347ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001357

感想・レビュー・書評

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  • 「ハードボイルド・ワンダーランド」の世界は計算士が情報を守る組織(システム)と、記号士が情報を盗む工場(ファクトリー)が競合し、情報保護システムを複雑化していた。「私」は計算士として組織に属していた。そして計算士の中でも限られた人間しか使えないシャッフリングを使う事ができる。
    しかし、そのシャッフリングシステムには重大な秘密が隠されていた。
    物語はそのシャッフリングシステムを中心に進んでいく。

    「世界の終わり」の世界は周りを高い壁に囲まれた街が一つある。
    古い記憶を持った影をはがされて、「僕」はそこに辿り着きそこで生活するようになる。
    街の人々は影も心も持たず、そこは戦いや憎しみや欲望もないかわりに門の外を行き来できるのは一角獣だけであった。
    「僕」はその街で夢読みとして働き始める。
    しかし、それにより日の光を失い、心をも失おうとしていた。
    この完璧とな世界で一体「僕」は一体どうなるのだろう。

    この二つの世界がいつしか一つの接点を持って交わっていくわけです。
    そしてそうなった時世界が終わるわけです。
    まぁ、あんまり核心には触れんように書いたあるんでなんのこっちゃわからんかと思いますがこういう話です。

    個人的に「世界の終わり」の主人公には共感した。
    永遠という時間の中で心をなくして生きていくという事への恐怖、葛藤、疑問。
    そういう世界にただ一人心を持ったしまったままいることの不安。

    俺はそんな世界で生きるのは無理やな。
    人間は心がなかったらただの木偶や。
    そこには友情も恋愛も何もないし、あらゆる行為に意味がなくなってしまう。
    そんな世界で永遠の時を過ごしたくはない。

    俺は永遠の灰色よりも一瞬でも輝く虹になりたいです。

  • 物語の終盤がとても好きです。

    静かな哀しみが、心に沁み入ります。

    「深い哀しみというのは涙という形をとることさえできないものなのだ」

    きっとまた、繰り返し読んでいくのだろうなと思います。

  • 「計算士」と「記号士」が情報の機密保持と解読を競い合う情報戦争の中、天才老博士が絶対に他者には解読できないシステムを開発した。博士の隠れ家がある地底に住む怪物「やみくろ」や博士の娘を含めた様々な人々(怪物)と主人公がもつれ合って繰り広げられる「ハードボイルド・ワンダーランド」。一方、「世界の終わり」の街に入る者は自分の「影」から切り離され、「影」が徐々に死んでいくにつれて「心」も死んでいく。そこには一角獣の頭骨から「古い夢」を読み解こうとする「夢読み」がいる。この2つの世界の物語が一章ごとに展開されるこの長編小説は読み出したらやめられない。そして、この2つの世界の驚くべき関係は読んでのお楽しみだ。SFファンタジーのようで純文学、哲学小説のようで恋愛小説、リリックで、ポップで洒落た文体。「春樹ワールド」全開の小説である。

    志學館大学 : 教員 清水 昭雄

    • librarylovers13さん
      角獣が生きる壁に囲まれた街に影をはがされ入り込んだ僕が街の謎に迫る物語「世界の終わり」と計算士という仕事で働く私が老博士より暗号化の中でも最...
      角獣が生きる壁に囲まれた街に影をはがされ入り込んだ僕が街の謎に迫る物語「世界の終わり」と計算士という仕事で働く私が老博士より暗号化の中でも最高級のシャフリングを使う依頼を受け、事件の渦中へと入り込んでいく物語「ハードボイルド・ワンダーランド」
      2つの物語が同時進行していく1冊となっています。

      志學館大学 : 葵
      2013/11/06
  • 面白いんだけど、ちょっと消化不良気味の終わり方ではある。色々と考えないとまず自分自身で中身を消化出来ないな。

  • 結局、彼は彼の世界に留まった。
    深い真理があったとしても、
    納得いかない。
    それは、わたしがハッピーエンドを望んでいるからだと思った。
    小説に、この結末は望んでいなかったし、曖昧、アンニュイ、何かを示唆するにもわかりにくすぎると思う。

  • 初読の時はパラレルワールドにいまいち着いていけてなかった自分がいた。2回目を読んで、やばい、これ傑作!!と思った。この頃の村上春樹のほうが変にメタファーを多用していなくて読みやすい気がする。2010/110

  • そうか!これってこんなに内省的な物語だったのか。
    やっぱり大人になってから読み返してみると違うもんだなぁ。
    今まで生きてきた事への責任と、これからも生きてゆく覚悟を感じた。

    じわじわ〜と、感慨深いものがやって来る。
    やっぱり名作です

  • <私>の意識の核に思考回路を組み込んだ老博士と再会した<私>は、回路の秘密を聞いて愕然とする。私の知らない内に世界は始まり、知らない内に終わろうとしているのだ。残された時間はわずか。<私>の行く先は永遠の生か、それとも死か? そして又、「世界の終り」の街から<僕>は脱出できるのか? 同時進行する二つの物語を結ぶ、意外な結末。村上春樹のメッセージが、君に届くか!?

  • 2013/09/06
    移動中

  • 読み終わった時、物凄く切なかった。どうしてこうなるんだろう。逃れる術はなかったんだろうか、と。悲しかった。泣いたりする訳ではないけれど、ぼわーんとしてしばらく動けない感じ。そう、そこから動けないのだ。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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