ねじまき鳥クロニクル 第2部 予言する鳥編 (新潮文庫 む-5-12 新潮文庫)

  • 新潮社 (1997年9月30日発売)
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本 ・本 (432ページ) / ISBN・EAN: 9784101001425

感想・レビュー・書評

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  • よいニュースは小さな声で語られる

    難解ゆえにこの先に謎の答えが転がっているんじゃないかと読み進める。春樹リズムにのってずんずんと。
    笠原メイの言葉に、加納クレタの言葉にヒントがたくさん隠されているはずなのに、私も気づかない。
    最後になってやっと電話の女性のことがわかる。

    騎士団長でも出てくる穴、ここでは井戸がこの話でも大きな意味をもつ。
    自分だけが気づかない真実がある。
    でもそれを探し探し求めて
    目を凝らせばそれが見えるかもしれない。
    内面の井戸を深く深く掘り下げれば。

  • 第1部から20日後に読了

    笠原メイが岡田トオルを空井戸の底に閉じ込めたまま三日間放置する強烈なツンデレぶりに愕然としたが、引越し前に笠原メイが語る岡田トオル評はとても新鮮だった。

    ばたばたとみっともなく何かを相手にトックミあっているのよね。(中略)ねじまき鳥さんはたぶんクミコさんのために闘いながら、それと同時に、結果的に他のいろんな人のためにも闘っているんじゃないかってね。だからこそあなたは、ときどきほとんどバカみたいに見えるんじゃないかしら。(中略)だってあなたにはぜんぜん勝ち目がなさそうに見えるんだもの。

  • 生きる、ってそんな単純なことではないかもしれない。

    ”ねじまき鳥” って、もっとかわいいものを想像して読み始めたのだけれど、結構怖い。人の深層心理にまで踏み込んできているのかも。起きているときと、寝ているときの違いがなくなってきて、何が真実なのかわからなくなってくる。実世界も、本当はそうなのかもしれない。

    ねじまき鳥は世界中どこかで少しづつねじを巻いて世界を動かしている。
    ひともそう。どんな小さな虫だって世界を少しづつ回している。
    影響の大きい生き物、人もいるけれど、そうではなくてどんな生き物であっても多かれ少なかれ世界に影響しつつ、されつつ世界を創っている。

    2巻の最後の結論、予想外でした。
    ねじまき鳥さんはわかった(=悟った)というようなことを言っているけれど、本当だろうか。予想外の展開のまま、3巻へ。

  • 第二部の一冊。

    この巻は幻想感が増してくる感じがいい。

    どんどん惹きこまれる。

    加納クレタの存在はかなりキーポイントなのか、中身を掴めそうで掴めない。

    わかりあえてるつもり。
    その"つもり"は夫婦関係ではつくづく危険ポイントの一つだと感じた。

    義兄、綿谷ノボルの意図も掴めないまま、主人公トオルの行く末は気になるばかり。

    間宮中尉からの長い手紙、そして井戸のシーンは秀逸。

    見事なノモンハンとの重なり、閉ざされた空間の中に詰め込まれた恐怖と静寂、安らぎの描き方はただ時を忘れて惹きこまれるほど。

    最終巻の行き着く場所が楽しみ。

  • 唐突に空手キック出てきた(笑)。

  • 独特の世界観に引きずり込まれる。
    もうこの作品イコール井戸というイメージが固まってしまった(笑)。
    ここまで自分という人間の意識、感覚をむき出しにされ、自分自身を解体していくような表現、文体は生々しくて芸術的で、それこそがこの作品の魅力の1つだと感じた。
    恥ずかしながら、初めての村上作品だったが、これから他の作品にもハマる予感しかない。

  • あっちとこっち。村上作品でよく出てくる構図。
    最後になって謎が少しずつ明かされていく。第3部がどうなるか全く想像もつかない。楽しみです。それにしても岡田トオルは人んちに不法侵入しておきながら相手をボコボコにするところとかちょっとサイコパスだよ。

  • 話はフィクションですが、思考の混沌とした感じがとてもリアルだと思いました。

    問いへの破壊と再構築。
    夢と現実の行き来。

    誰しもが、何度か経験したことのある深い時間ではないかなと。

  • 「訪れたもの、去ったもの」

    あの子は行ったっきり帰ってこなかった。
    どこか悲しいけれど、誰しもがある経験。

    ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉の本作。
    第1部に続いて奇妙な出来事が次々に起こり、岡田享の人生の歯車が狂っていく。

    勝手に周りの様子がおかしくなってくように一見するけど、結果的に彼自身が引き起こしたところが怖いなぁ。

    彼からは目に見えて分かる事と、彼自身が信じている事しか見えていない印象を受ける。
    それはきっと社会の側が彼にそうなるよう仕向けたのかもしれないけれど、でもそれに彼は気づかないし、気付けない。

    そして第2部での彼の葛藤は、私たちが生きるこの閉塞的な社会への意識的な対決や決別にも見て取れる。

    〈第3部〉では新しい旅が始まるとのこと。
    ただ、善意が負ける理由はないと思って読みたいな。 

    余談だけど、読んでいて少し中弛みした印象なので星4

  • 小学生のとき山のキャンプで見た満天の星空に感動して、作文にかこうとしたけど、ぜんぜんじょうずに描写できなかったことを思い出した。
    すごいなあ空が割れて落ちてくるくらい、とか、不安になる、とかいえるの

    クラゲを侮辱するなって言ってんのすき

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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