ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001425

感想・レビュー・書評

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  • 高速道路で車が追い越しに失敗して壁にぶつかり、乗っていた若者が何人か死んでいた。 (中略) 町田市の三十六歳の主婦が、通りがかりの若い男にハンマーで殴り殺されていた。でもそれらはみんなどこか別の遠い世界の出来事だった。僕のいる世界では、ただ庭に雨が降っているだけだった。音もなく、密やかに。

    ここ良いよねぇ。じーんとくるねぇ。

  • とある事件により、話が急展開。
    面白くなってきたー。

    途中ダレる部分はあるものの、話に引き込まれて
    むさぼるように読んでしまった。
    次巻がすげー楽しみ。

  • ある日突然自分が自分じゃないような感覚に陥るのはよくわかる

  • 第1部では、表層面しか姿を見せなかった謎も徐々に輪郭がしっかりとした形を帯びるになってきた。
    クミコと加納クレタだった女は、本質的に同じ境遇にいる、つまり、新しい自分を見つけてほしい、あるいは見つけたい。クミコは加納クレタのように段階的に脱皮するようなかたちで人格が形成されているのかはわからないが、両者とも自己形成、あるいは自己発見期に突入している。
    そのために、加納マルタはクミコとクレタの境遇が酷似したため、クレタと岡田を近づけたように思える。彼女はその酷似をおそらく初期の頃、水道水から感じ取ったのであろう。

    夢、もしくは眠りを通じて肉体と意識が乖離するシーンが多いが、再びその意識のみとしての岡田がクミコの闇の領域に手をさしのべていくのか、それとも肉体的にか、どのようにクミコと接触していくのかが最終巻で見所。おそらく彼女は失われてしまったという点では、意識のみの接触になると思うのだが。
    綿谷昇がこれから物語にどう機能していくのか気になる。

  • ★評価は読了後に。
    上手くいかないかも、負けるかも、駄目かもしれなくとも最善を尽くして歩くしかないというのがこの作家の主題の一つなんだろうと思う。
    確かに奇妙な設定や米国文学的スタイル(自分のものになってますが)などのスタイリッシュさもあるんだろうが、この作家が人を惹きつける最大の理由はここにあるんではないか、というのが当方の戯言的感想であります。

  • 第三部作の第二部。登場人物も独特でした。村上春樹の素晴らしいところは比喩表現にあると思います。その比喩表現も存分に楽しめました。

  • 「何か大事なことを決めようと思ったときはね、まずは最初はどうでもいいようなところから始めた方がいい。」

    失踪する妻。井戸底に下る者たち。「その方が私にとっても、あなたにとっても、いいことだと思ったの」
    現実世の界では、主人公の周りから多くの者が去っていった。
    意識の世界では、主人公は”次”へ進んだ。
    そして、主人公は、逃げるのではなく、向かい合うことにした。

  • 読了。レビューは3へ

  • クミコの手紙がつらい。
    ちょうど夫婦問題に直面している今読んだことに、何かしらの縁を感じずにはいられない。

    より不思議な世界に入ってゆく、第2部。



    静かな決意と本当のはじまりと。

  • 要するに、男女の物語なんだなー、というか、夫婦の物語なんだなー、と。

    更に言うと、男女、あるいは夫婦、ということを考え悩む男性の物語、というべきか。

    中巻も、するすると読み終わりました。

    ########

    何だか微妙な感じになっていた、妻・クミコがある日、帰らなくなって。
    呆然としていると、仲の悪い義理の兄に呼び出されて、もう別れろと言われたり。
    そうこうしていると、妻から手紙が来て、不貞の告白とお別れの手紙。
    なんとも、内側から爆破されたような、木端微塵な主人公。全然疑っていなかったんですね。

    どうせ無職だし、イヤなことばかりだし、誘ってくれる女性もいるから、海外にでも行ってしまおうか。
    …と、思うんだけど、
    なんとなくそれでは逃げのような気もするし。
    やっぱり妻のことは愛しているし。気になるし。
    どこか釈然としない。

    その上、最近かかってきていた、いたずら電話のような謎の電話が。
    「あ、あれは、妻の声だったんだ」と気づいて。

    何かしらか妻の側のSOSサインだったんだなー、ということなのか。
    なんとも理屈で論理的には言えないけど。

    不信と断絶とすれ違いばかりに思えた世界が。
    まだ何か闘って勝ち取るべき、守るべき何かがあるんじゃないか、と。

    どこかしらか、タラの大地に誓うスカーレットのように決意した主人公であった。

    ########


    という感じなんです。

    そう書くと、なんだかどうにも私小説的な箱庭四畳半な近代日本ブンガクのようですが。

    上記は、

    「ほんとに煎じ詰めれば」

    と、いうことなんですね。

    それに、
    ●ノモンハン事件の生き残りの体験談とか、
    ●その体験談をなぞって、主人公が井戸に入って餓死しかかったり。
    ●新宿で10日くらいひたすら人々を眺めていたり、
    ●目が覚めたら全裸の美女が寝ていたり、
    ●高校生の少女に殺されかかって、更にその子と交流して抱擁したり、
    ●夢の中で妻と、そして謎の美女と性的なことになって、壁を通り抜けてしまったり。

    もう、とにかく、パーツパーツとしては、実に予断の許さない、ジェットコースターな奇妙な展開。

    なんですけど、結局は、男女であり夫婦であり。

    そういうことに代表される、自分と、自分以外の人、みたいなことのもだえ苦しむお話なんだよなー。


    …と、言う感じで。
    そういう、何ていうか、「そういうテーマだから面白い」っていうことでもないんですが、

    煎じ詰めれば、文体と文章で。

    でもそれが紡ぎあげていくお話自体、色んな突込みがありつつも、飽きさせずに読ませてくれます。

    そして、実際には、スカーレット・オハラに起こるようなドラマチックな事件がある訳ではないのです。
    けれども、この第2巻の終盤で。
    絶望とか不信とか無感動とか断絶とかっていう気分から、忽然と熱く立ち上がる主人公の思いが、正直、ちょっとグッっと来るんですよね。
    そこまでに積み上げてきた世界観があるからなんですけどね。

    そこでグッと来ちゃったら、まあ、もうそれだけで読む甲斐があった、愉しき読書だった、ということなんですね。

    しかし、ここまでの感じとしては。

    タイトルも、相変わらずSF風だし。
    仕掛けの数々が当然あって。奇妙な夢やら、加納マルタ・クレタというヘンテコな名前の謎の美女やら、いろいろ見せてくれるんですが。

    そんな飾りというか、転がしの数々はありますけど。

    結局のところは、割と狭く深く、深い心理の物語っていうか。

    そして、暴力的な現実、という素材っていうか、観点っていうか。

    「ちょっと村上春樹作品としては、救いっていうか、ファンタジック風味が足らなくない?」

    そういう味わいの挑戦。

    暴力的で理不尽で不条理な世界。
    そこでともすれば、バラバラの孤立と不信と孤独に、台風に晒される華奢な樹木のような個人が、どうやって顔を上げていくのか。

    そんな風に味わうこともできるなあ、と思ったりしています。

    そこのところで、最終的な風景が、そこそこ男の子的な、闘いの物語な旋律すらしてくるくらいですね。


    もちろん、全ては、半ば観念的であって。
    半ば観念的なのに、物凄く読み易い平易な文章であって。
    平易な文章であると同時に、実に多彩なたとえと機知に富んだ、飽きさせない語り口。
    (ま、癖があるとも言えるし、気障とも言えるので。野菜や魚と同じで、好き嫌いはあると思いますけど)

    文章と語り口。そして語る内容なりテーマ。
    全てがなんていうか…、半ば戦略的にして技術的に完成度が高いなあ、と思います。

    (でもそれが、半ば、でしかなくて。残りの半ばは、
    「書きながら展開を決めているんじゃないか?」
    と、いうような。
    ある種のフラというか、不定形さとか瑞々しさに満ちている。
    そんなバランスこそが、小説を書く人として、最も戦略的なんじゃないかなあ、と思います)

    面白いですね。僕にとっては。
    下巻も一気に読んじゃいそうです。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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