ねじまき鳥クロニクル〈第2部〉予言する鳥編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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レビュー : 619
  • Amazon.co.jp ・本 (432ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001425

作品紹介・あらすじ

致命的な記憶の死角とは?失踪したクミコの真の声を聴くため、僕は井戸を降りていく。

感想・レビュー・書評

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  • わたしは下品な島で、下品な猿の荷担を少なからずしていると思うが、けっして綿谷ノボルのサイドにはいない。あくまでもオカダトオルくんの側の人間だ。それに、深い井戸の中で、壁を抜けることもできないまま、未だに佇んでいるみたいな気がする。

  • 2016年の現在から20年ほど前の作品だけど僕の中ではますます輝きを増していて、読む度に評価が上がっていく。時間や雑用など忘れて夢中になってしまうので、雑用を先に済ませてからでないと安心して読めないためどうしても寝る前に読み始め、結果寝不足になる。
    この第2部ではカラフルな登場人物たちがみごとな花を咲かせるみたいに個性を開花させる。話しの流れが淀むことなく自然に進んでいく。奇妙な出来事ですら自然なものに映る。気がつけば完全に著者に操られている。操られることが読者としての喜びなのだからこれこそ至福というもの。

  • 内容(「BOOK」データベースより)
    致命的な記憶の死角とは?失踪したクミコの真の声を聴くため、僕は井戸を降りていく。

    ~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
    さらりとした紹介ですなw
    第2部では、またたくさんの不思議な展開が待っています。
    まず、ついに奥様の失踪がはっきりとした形となって現れます。

    と言うか本気で帰って来なくなります。

    そして主人公は、この時点ではまだ状況の把握が出来ず、
    理解もできず、ただただ茫洋と日々を過ごします。

    その間には、井戸に魅せられた主人公が、
    近所の美少女の家の前にある空き家の井戸に入り
    (間宮中尉の影響?)、そこから「現実でない世界」に入り込みます。

    そこでは(たぶん)テレクラ電話の女性がいて...
    それから加納クレタと言うマルタの妹がいて...

    妻の兄である綿谷昇(失踪した猫の元の名前)が夫婦の問題に介入してきて
    主人公はそれに反発を覚えまた暗く深い闇を知り、
    奥様を取り戻すべく動き出します。

    このへん、「羊をめぐる冒険」ぽいですね。
    ただこの作品の主人公はそれほど遠くへは行かないですが。
    (現実じゃない世界には、同様に辿りつきます)

    途中で、札幌で出会ったギター弾きの男に殴られるしーんがありますが
    それはやっぱりバットを持たせる必然性かな?

    で、井戸にしょっちゅう入るのですがここで学校に行ってない美少女(笠原メイ)との交流が描かれます。

    で、なんでかまた加納マルタと性的な行為があったり。

    笠原メイの言葉じゃないけど、なぜか女性に囲まれますね。
    村上春樹の主人公って。

    で、井戸の中の非現実世界から、彼は顔にあざを作って帰ってきます。
    そのあざが多分きっかけで、この後また不思議な女性と出会い...

    ついに「ねじまき鳥クロニクル」が明かされる...のですが
    そこには間宮中尉の手紙が重要な意味を持ってきます。

    間宮中尉は、先の本田さんとノモンハンで秘密作戦を決行した仲間でした。

    そこでロシア兵に見つかり、おぞましい拷問を見、
    井戸で生命を絞りつくされ、本田さんに救出されます。

    そして中国大陸で見た戦争の実態を細かに描写するのですが...

    ここで村上春樹が中国で人気なことを思い出しました。

    この作品では、日本兵が中国人にした(であろう)残虐な行為も書かれています。

    中国の方はこれを見てどう思うのだろう...
    それともその罪の行為があったことを悔恨の気持ちを持ってストレートに書かれた作品だから人気なのだろうか...

    純粋に気になったのでした。

    奥様はまだ見つかりません。

  • 箱庭療法の語りを聞いている気分

  • 1巻では不思議なことが起きてはいたが、まだ現実の世界にいたような気がしますが、2巻では完全に違う世界が出てきます。現実とそうではない世界の境目がなくなっていってしまうのは読んでいて、とても怖い気がしましたが怖いけど、続きが気になって読んでしまいました。
    抽象的でよくわからないのに、飽きないのはすごいと思います。

  • 数年前に、図書館にあった1巻のみ借りてそのままだったが、米国に来てからむしょうに村上春樹が読みたくなり、手に取ってみた。

    こちらの図書館で英語版とちらっと読み比べてみたが、どんなにうまく翻訳してあっても、その言語が運ぶニュアンス、思い起こさせるイメージはずいぶん異なるものだと実感。
    やはり原書である日本語で読んでよかったと思った。

  • 失踪したクミコ。加納マルタの予言。綿谷ノボルとの対談。

    そして井戸の底へ。

    物語はどんどん奇妙な方向へと進んでいく。

    でもSF・ファンタジーという感じがしない。正確にはファンタジーを読む感覚で読むことができない。

    妙にリアルで読んでいるうちに不思議な気持ちになってくる。

    これが、村上ワールドの真骨頂。

  • つまりは加納クレタはふかえりなんだなー
    こうしていま読んでみると、
    1Q84との共通点とか、一貫したテーマとかがよくわかる。

  • 歴史が苦手で避けてきた私に、勉強し直したいと思わせてくれた。

  • 一部が説明的であった分、この第二部『予言する鳥編』は、物語が温度や感触を孕んだ具体性をもって動き出したようだ。

    井戸の中で顔の"徴"とともに得たものとはなんだったのだろう?

    複雑にいりくんだものが、実はごく単純でシンプルなものだけで構成されていると気づいたときのような感覚。


    良いニュースというのは、多くの場合小さな声で語られる、のだから。

  • 少しずつ色々な物事が繋がってきた第二部。起承転結でいえばまさに承の部分だ。

    あまりまともとは言えそうにない身近な人びとの中で、唯一まともそうに見えるのが笠原メイ。でもその笠原メイでさえ本当は問題を抱えてる。でもきっと多かれ少なかれ人はみな問題を抱えているのかもしれなくて、まともそうに見える人もまともじゃないかもしれないのだと思う。

    あるいは、クミコを例に取れば、大切な人の事をどれだけ理解しようと努めても、結局のところそれはその人の表面のごく一部ににすぎないのかもしれない、という部分は自分自身ずっと前から感じてた違和感でもある。


    どんなことも起こり得るし、どんな選択も可能だ、ということはこの小説から強く学び、今では自分の思考に強く根付いてる。

    とにかく今の自分を形成するにあたってとても重要な一冊。その第二部。続きが気になる!

  • 記録。

  • 何もかも自分とは違う世界の事だってとらえてて、
    自分のことなのに無意識のうちに自分のことじゃないように処理してしまう。

    そんなトオルがかわいそうっていうか哀れでしかたなかったけど、
    第2部ではすごくゆっくりだけどトオルがいろんなことに気づき、変わっていく過程が面白かった。


    村上春樹は苦手だと思ってたけど、
    すごく深い文章を書く人だなと思った。
    伝えたいことを急がずゆっくり、でも確実に段階を踏んで表現してるって感じ。

  • 静かに、しかし壮絶に進んでいく物語にどんどん飲み込まれていく感があった。まるで実写版を目で映像として捉えられるように具体的に光景を思い浮かぶことができる。読んでいて、悪くない疲労感。

  • 世界のあちら側とこちら側。僕のあちら側とこちら側。僕の存在意義。


    いろんなことが主人公の周りに起きる。決して幸せなことではない。妻が突然いなくなる・・・。謎なことばかり。


    世界はねじまき鳥がねじをまくから回っているのだ、誰も気づかないが。


    情景描写がとても好き。この本の世界がとても好き。


    電話のあいてがクミコであることを知って、これからどうなるのか。第3部に続く。

  • 2019.08.12 読了。

    第2部。
    次の第3部を読んで評価をつける。

    多分この作品、というか村上春樹作品全般に言えることなんだろうけど、
    独特な言い回しがなく、ただ淡々と書いていくだけの文章にすると、3冊→1冊にまとめられる気がする。
    それでも読めるのはやはり村上春樹のすごさなんだろうな。

    第1部のラストで感じたエンジンがかかってきたかな、という予兆は見事に裏切られたんだけど、あくまでもこの作品は第2部であり、次へのつなぎ的な作品としては良いテンポだと思う。そしてこの区切り方が神懸かっていると思う。

  • やはり、クミコは居なくなった。ある日突然に(僕は突然のことに戸惑う。でも、振り返るといろいろな先触れはあった)。
    そして、第2部は、暗喩の度合いを強くしていく。異界の気配が濃厚に描かれてゆく(岩宮氏が評しているように。) 謎めいたエピソード、場面が、目白押しである。

    ・深い井戸の底に閉じこもった、極限体験。(地下世界や洞窟は、古来多くの文学で、死と再生のオーソドックスな隠喩ではある。)
    ・出奔した妻クミコの長い手紙、“不倫”の告白と想像を絶する強烈な性衝動についての告白。
    ・加納クレタ(妹)の繰り返されるメタモルフォーゼ(痛みに満ちた半生、無感覚の第二の身体感覚、綿谷に〝犯された〟際のこれまた強烈な性体験。その後の第三の身体感覚では、夢(異界)と現実を往き来できる特殊な能力を獲得。そして、岡田(僕)の手でさらに自分自身を取り戻したようで、それまでの名を捨ててギリシャへと旅たつ。)
    ・さらに近隣の娘、笠原メイ。死の実感を模索し続けたようで、結果友人を事故死させた暗い過去を持つ。
    ・そして、僕自身の精神の彷徨。井戸の経験のあと、突然頬に現れた青黒いあざ。現実と夢の狭間にある如き、ホテル内の暗黒の一室(謎の208号室)での体験。 

    これらの暗喩が、答えのみえないまま、積み重なってゆく。
    でも、それらの暗喩を無理に解釈することはすまい。暗喩を暗喩のままに、とりあえずそのまま受け止めておくことにする。
    この内容・展開は、読者を選ぶに違いない。文学を読み慣れてない者は、困惑して放りだしてしまうだろう。

    さて、叔父の助言のくだりが、興味深い。
    幾つもの飲食店の経営を成功させてきた不思議なビジネス感覚を有する人物だ。その成功の秘訣を甥の“僕”に語るのだ。曰く
    「コツというのはね、あまり重要じゃないことから片づけていくことなんだよ。」
    「Aから始めるんじゃなくて、XYZのあたりから始めていくんだよ。」(第17章)。
     参考になりそうなので、鉛筆で下線をひいてしまった。
    だがこのノウハウ、実際に自分の仕事に応用するのは簡単ではないようである。
    “僕”(岡田)の実践応用も、なんだか見当違いに見える(新宿の雑踏を幾日も眺め続けるのだが…)

  • 読みづらくて中々進まず
    トラウマ

  • 2019再読。記録から10年ぶりの再読と気づく。読みづらいから、なかなか再読できない本。
    この作品あたりから変わっていくのは、「死者からのメッセージ」→「いなくなった人からのメッセージ」へ。両者に違いはあるのか。気にかかるのは、死者よりもいなくなった人のほうが、理解できない。
    また格言が増える今作。
    ・注意深く耳をすませる
    ・時期がくるまで待つ
    ・人の顔を眺め続ける
    何を当たり前の、という感じだが、現代社会の向かう先と逆にある。アジアの賢人の教えそのものだ。すべてにおいて、受け身な考え方である。それは欧米的なものとは違う。ただ、この作品は抽象的な格言ばかりで疲れる。大事なことを言っているのにね。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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