ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 736
  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001432

感想・レビュー・書評

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  • 3冊読むのに2ヶ月くらいかかってしまいましたが
    とても面白い話でした。
    大学2年生の時くらいに読もうとしましたが
    全然おもろないと思って読むのをやめた作品ですが
    結婚して3年くらい経ち、30も近くなってから読み直すと
    物凄い面白い話へと変わっていました。

    失われた妻を取り戻す話。
    勝手に主人公を自分に重ね合わせてしまいました。

    1部2部とあまり話が進んでいきませんが
    3部になって話のテンポが良くなり色んな登場人物の視点から
    話が展開するようになって急激に面白くなりました。
    色んなことがハッキリしないまま終わるような気がしますが
    それはそれでいいかなと。

    かつら工場の話なんかは「日出ずる国の工場」で
    取材したのが生かされたんだろうなぁと勝手に想像。

  • ん〜。途中何度もこの物語は村上春樹さんの作品の中でも下の方かな・・・、と思ったけど・・・読み終わって振り返ってみると・・・他の作品に劣らず面白かったな〜〜〜。時間をおいてもう一度読んでみたいと思わせる作品。いや〜読みごたえあったな〜。

  • 最終章。1・2部の倍ほどの厚みがあり、本を開く前から圧倒されました。
    全ての希望を取り上げられ、八方ふさがりのように思えた主人公ですが、新たな局面が展開します。
    彼にできたあざから、ある特殊な人々に求められるようになるのです。

    赤坂に事務所を構えるナツメグ・シナモンという不思議な親子。
    マルタ・クレタの姉妹は、すっと姿を消してしまいましたが、入れ替わりのようにこの親子が主人公と関わっていきます。

    マルタの記憶と間宮中尉の記憶の類似。
    シナモンの話には、戦争時、動物園での動物銃殺の話も登場します。
    ノモンハンでの残酷な話はまだ終わっておらず、更なる中尉からの手紙で、再び皮はぎボリスの悲惨な後日談が展開されました。
    いろいろな意味で暴力的なこの物語。
    暴力と蹂躙と癒しが、テーマなのでしょうか。

    この息詰まる物語を、読者の気を逸らせることなく最後まで運んでいく筆力には驚くばかりですが、この3巻は、これまでとは違ってかなり超現実的な話が前面に押し出されるようになっていたため、私には入りづらかったです。

    不思議な力を持つマルタ・クレタに驚いていたら、ナツメグ・シナモンも登場し、主人公の敵という立場にある綿谷ノボルにも、そして主人公本人にも特殊能力が備わっているという話。
    もう、登場人物のほとんどが超能力保持者じゃないですか。
    どんどん親近感が薄らいで、人物に寄り添いながら読んでいくことが不可能になっていきました。

    春樹だけでなく、ばななといい、伊坂幸太郎といい、力量がある作家でありながら、作品の中に非現実な超ミラクルな話を日常的に取り込んでしまう傾向が強いと思います。
    そういった、読者の理解を超える不思議設定にしないと、現実の話だけではドラマティックにならないのでしょうか。
    読む側としては、目くらましをかけられたようで、若干興ざめになります。

    兎にも角にも、2巻までは妻に去られたことで孤独感にさいなまれていた主人公が、様々な人と出会い、交流していました。
    ただ、誰もが胡散臭く、その中でマトモそうな人は、不動産屋の御隠居くらいしかいませんでしたが。

    春樹作品の主人公は、だいたいいつも似たような人物像ですが、この作品では、逆境にも決して負けることなく、諦めずに勝機を見計らって巨大な敵に捨て身で立ち向かっていく、いつになく熱い男性でした。
    そのため、明るい未来がほの見えるようなエンディングになっています。

    タイトルの「ねじまき鳥クロニクル」とは、シナモンの作った話だということもわかりました。
    しかし、シナモンの父親の死の謎は、結局うやむやのまま終わってしまいました。
    5才の時、庭に(父親の?)心臓を埋められるのを見たのはシナモンだったのかも、はっきりしないまま。

    全ての人物が、うやむやのまま彼の前から姿を消してしまいました。
    残された繋がりとして、彼は北の海沿いの村にいるメイに会いに行き、拘置所にいる妻の釈放を待ちます。
    一人きりの状態は変わりませんが、それでも、戻ってきた猫が今は傍らにいるので、もう孤独ではないのでしょう。

    ただ、結局ねじまき鳥はなんだったのか、不吉な徴候の表れだったのか、モーツアルトの『魔笛』になぞらえた副題の鳥刺し男とは、ねじまき鳥とかけているのか、わからないことは山のように残っています。

    『1Q84』を先に読みましたが、牛河はこの作品にも登場していたんですね。
    全く変わらないキャラでした。
    残虐すぎる箇所も多く、それも入り込めない理由の一つでしたが、あえてそれを幻惑的な物語の中にしっかりと取り込もうとする作者の意思が感じられます。

    奥深く入り組んだ、摩訶不思議で複雑怪奇な世界。
    その世界の中、読者はなすすべもなく、幻惑されるばかり。
    確かに彼の代表作と言われるべき作品だと思います。

  • 長い長い物語は

    ゆっくりと

    確かな傷跡を残して

    眠りにつく。

  • 現実から引き離されるようで、現実の世界の物語。「考える」という人間を人間たらしめる行為。そこにある物語。目で見る現実と過去、思考の中の物語。すべて現実。繋がっている。この本をそんな風に感じた。
    また登場人物がいい、別れを惜しむ。しかし、それを受け入れてもいる。そんな人々に共感した。

  • 記録。

  • 後半に入って一気読み。

  • 2019年9月20日読了。

  • 第3部を読み進めている。現実と異界が合せ鏡のように相関する世界。物語は収斂していくのか。ノモンハン、満州、シベリア…。 歴史と時間を超えた幾つもの出来事をひとつに縫い合わせるものとは? どう収束させるのか? ( あるいは、このまま終幕するような気もする。)

    * * * * *
    そして、全巻読了。
    近年流行りの言葉で言う“伏線回収”な読後感には至らず。
    皮剥ぎボリスの悪魔性は、綿谷ノボルの邪悪さに連なるものなのか。
    そうであるなら、満州新京の動物園の頬に青痣があった青年獣医は、岡田トオルと何かを共有するらしい。
    現実と幻想、此の世と異界が、境界なく描かれた物語。
    あるいは逆に、現実世界の何物かに対して誠実に向き合い、戦うことを、異界の文脈で裏書きしたようにも思える。

    中途(ノモンハンの凄絶体験のあと)、本編のテーマは地獄や奈落なのか、と感じていた。
    だが、全3部を読了した今。半ノラ猫の帰還“改名サワラ”や、笠原メイの新生活の印象もあり、死と再生の手ざわりを感じてもいる。
    または、それら全てがねらい・テーマなのかもしれない。そして、整理しきらず、論理的でなく、モヤモヤした混沌のままで読者にゆだね、いつの日か読者のなかで熟成すればそれでよし、…という作品なのかも、と受け止めている。

    ここまで潔くそれを貫いたなら、その大胆さをよしとすべきか。
    久々に読んだ“村上文学”、(最新作ではないけれど)ここまで突き抜けていたとはつゆ知らず、驚愕…である。

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著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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