- Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
- / ISBN・EAN: 9784101001432
感想・レビュー・書評
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後半は緊張感があって、一気に面白くなった。
暴力はさまざまに形を変え、私たちの人生にひそんでいる。
巻き込まれてしまうこともある。
笠原メイの立ち位置が、ちょうどあっちの世界とこっちの世界の狭間で、その手紙の違和感が、現実から離れた世界を強調しているように思った。
マルタとクレタの関係の暗示性も、実に巧みだと思う。
しかし私には、ナツメグとシナモンの協力が、どうも納得がいかない。
都合がよすぎる。
最後の未確定な、問題がの多い、傷ついた現実は、リアルでよいと感じた。
みんな、しっかりと守られて、あたたかく生きていけたらいいのに。
と願いたくなる。詳細をみるコメント0件をすべて表示 -
読み終わっても、よく分からない、村上春樹ワールド
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7年ぶりの再読。
当時は、何も意味はわからない、でも何かわからないけどただただ面白い、ただただ読み進めずにはいられない、そんな気持ちで読んだ。
今回もまた、意味はわからない。でも意味を考えたい、解き明かしたいという気持ちが強くある。
それは謎を放っておけないというより、村上春樹が何を考えているのかを知りたいという欲求。
最近1Q84年を10年ぶりくらいに読み返した時に「ああ、村上春樹は善と悪の対決みたいなものを描きたいのかなあ」と思った。
その上でねじまき鳥を読んでみると、この作品も見事に綿谷昇との対決=善と悪の対決ではある。
でも、綿谷昇に象徴される悪って一体なんなのだろう。
それがわからない。
ヒントはたくさんある。
綿谷昇がお姉さんを汚したという「何か」。
ノモンハンの戦闘やシベリア抑留や新京の動物虐殺で表される「何か」。
綿谷昇によって加納クレタから引き出された「何か」。
クミコに妊娠を怖がらせた「何か」。
クミコを放蕩に走らせた「何か」。
シナモンから声を奪った夜、男が木の下に埋めた「何か」。
これらはすべてら村上春樹が描きたかった「悪なるもの」と多少の差こそあれ関わりがあると思うんだけど、それを一言で表すとなんなのだろう?
人間の暗い闇の部分?どろどろした欲望?我欲?でもそれってつまりなんなの?
その「悪なるもの」を一つの言葉で言い表そうとすること自体、間違っているというかできないことなのかもしれない。
けど春樹くんが何を悪と見做すのか、すごく知りたい。
あと純粋に、もう結婚した身としては、(より深い事情がありそうだとはいえ)クミコは男を作って出ていったのになぜ主人公は全然怒らないのか、とても不思議。
『女のいない男たち』もそうだけど、村上春樹の小説の男は妻に逃げられても全然怒らない。
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『ねじまき鳥クロニクル』の舞台を観劇するために、原作を購読。
現実か非現実かわからない世界が渦巻いていて、でもそこに人間の本質だったり、言葉にはできないぼんやりした何かを追求していて面白かった。
一章、二章はまだなんとなく整理ができるのだが、三章は世界線がおかしすぎて、、なにが真実なのか、この描写は何を意味しているのか本当に分からなくなってくる。そして謎があまりに多すぎる…。解釈は自由なんだろうなぁと思いつつも、作者の考えが知りたくなってしまった。
んー、これは終わった後も引きずって考えてしまうなぁ〜〜
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舞台みにいく前に読み返した
巨大で強力な流れの中でもがいてあらがって 気がつくと全部がつながっているスケール感 -
テーマも文体も1つ前に読んだ1Q84より難解。ノモンハン事件の描写とか重い出来事を小説の中に組み込んでて凄いなあと思った。
集合的無意識の考え方で話が進んでて気がつくまで物語の理解が難しかった笑
様々な謎は最後まで読んでも結局明らかにされないことも多くて残念。 -
2つの世界が登場するのが村上春樹らしい。
シナモンが個人的に特に魅力的なキャラに映る。というか村上春樹作品に出てくる人物のような何か人を惹き付けるミステリアスさ、妖艶さのような魅力を出せるような人になりたい笑 -
3部は特に難しかった
文章は読み進めやすくて、ふんふんと進むんだけど、もやっとしたものが消化できないまま溜まっていった。
ネットの考察も今ひとつ理解できなかったので、あと5年経ったくらいにもう一度トライしたい