ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 12296
レビュー : 734
  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001432

感想・レビュー・書評

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  • 特に印象に残ったのは、時が経つと自分の記憶が正しいかどうか証明できなくなるという主人公のこと。混乱する原因は、一つの問を提示して二つの異なる答を用意するからだと思う。ああだったかあるいはこうだったかというように。また、運命論とは言っていないが、こうなることは最初から決まっていたという諦めにも似た気持ちも頻繁に描かれていたと思う。吐き気を催すような戦時中の残虐なシーンの描写、ここではない別の世界、或いは夢の世界の話は結構引き込まれた。奇妙な話の連続だし、人の心は複雑だし、はまったら抜け出せなくなる作品だと思う。

  • ようやく読み終わりました。

    独特の世界観、表現、描写はさすが。
    あらためて読書とは現実逃避の娯楽であることを再認識しました。

    ただ、カフカからどちらかというと遡っての村上ファンとしては、
    少し難しすぎたかなぁ、という感が否めません。
    その世界観の素晴らしさ、独特さゆえ、表層的な楽しみ方でも十二分に満足できる小説ではあると思いますが、
    ここまで謎や問題を提起されてはやはり深く理解したいと、
    人間の根源的な知的欲求がムクムクと湧いてきます。
    それこそ井戸水のように。

    今はまだ、なんというか不可解な絵画をじっくりと眺めている時のような心持です。
    夢に出てきそうなくらい衝撃を受けているのに、その意味はすんなりとは頭に入ってこない。

    そう思うと、やはり不思議な小説だし、
    不思議な作家さんだなぁ・・・。

    まぁでも退屈な人には最初から最後まで退屈でしかありえない小説だとは思います。
    好き嫌い分かれるよなぁ、これは。。しょうがないよなぁ・・・。

    私は好きですが。
    多分、なんだか分からないものをなんだか分からないまま受け入れられる人でないと無理なんじゃないかな。
    何が何でも答えを出したい!って人には無理かも。

    その答えを、あーでもないこーでもない考える時が、
    この小説の一番の醍醐味なんではないかと思う。
    それが、村上さんも望んでいることなんではないかと思う。
    (実際少年カフカという、読者に村上さんが答える形式で書かれた雑誌でも、
    ほとんどの質問に明確に答えていなかったし。)

    なので、今からわたしは、ねじまきを読み終わるまで読まないぞ!と決めていた
    『村上春樹、河合隼雄に会いに行く』を読んで、
    その醍醐味の部分を味わおうと思います。

    あーたのしみ!!

  • 第3部を読み進めている。現実と異界が合せ鏡のように相関する世界。物語は収斂していくのか。ノモンハン、満州、シベリア…。 歴史と時間を超えた幾つもの出来事をひとつに縫い合わせるものとは? どう収束させるのか? ( あるいは、このまま終幕するような気もする。)

    * * * * *
    そして、全巻読了。
    近年流行りの言葉で言う“伏線回収”な読後感には至らず。
    皮剥ぎボリスの悪魔性は、綿谷ノボルの邪悪さに連なるものなのか。
    そうであるなら、満州新京の動物園の頬に青痣があった青年獣医は、岡田トオルと何かを共有するらしい。
    現実と幻想、此の世と異界が、境界なく描かれた物語。
    あるいは逆に、現実世界の何物かに対して誠実に向き合い、戦うことを、異界の文脈で裏書きしたようにも思える。

    中途(ノモンハンの凄絶体験のあと)、本編のテーマは地獄や奈落なのか、と感じていた。
    だが、全3部を読了した今。半ノラ猫の帰還“改名サワラ”や、笠原メイの新生活の印象もあり、死と再生の手ざわりを感じてもいる。
    または、それら全てがねらい・テーマなのかもしれない。そして、整理しきらず、論理的でなく、モヤモヤした混沌のままで読者にゆだね、いつの日か読者のなかで熟成すればそれでよし、…という作品なのかも、と受け止めている。

    ここまで潔くそれを貫いたなら、その大胆さをよしとすべきか。
    久々に読んだ“村上文学”、(最新作ではないけれど)ここまで突き抜けていたとはつゆ知らず、驚愕…である。

  • 2019.08.15 読了。

    やっと読んだ。3冊。
    長いけど先が気になって気になって。

    まず、戦争の描写が多く、しかもその話だけで1作品になるんじゃないの?ってくらい話としても面白いし、村上春樹さんの小説とは分からないくらい別作品が入っている感じ。
    残酷な描写があって、そこに関しては本当にキツい。読んでられないんだけれども読むしかない。まさに文章の拷問。
    間宮中尉の戦争経験が壮絶過ぎるし、最後やっと救われるのかと思いきや救われない。読んでいるこっちがクソ悔しいくらいに救われない。

    そして肝心の主人公・岡田編はまさかの結末に。
    井戸からシフトするのって夢の世界かと思いきや、半現実?
    謎。
    そしてバットで倒した相手は誰なのか全然分からず。

    この作品は絶対映像化出来ないし、映像化する意味もないだろうと思う。
    だからこそ、小説ならではの話に触れられた1週間程の時間はかけがえのないものだと思う。
    多分この先、何年、何十年経った後にどんな話だったか思い出せることないけれども。
    しかしうーん、なんとも言えない感想しか出て来ないんだけれども、すごい作品ではあった。
    というぼやけた感想しか言えない作品。

  • 平成31年1月から3月まで…
    図書館の本を借りて、返して、借りて、ようやく読み終えました。
    別に面白くなくて読めなかったわけではありません。
    忙しくて、こんなことになっちゃいました。

    とは、いいつつ、やっぱり一気読みしないと、いまいち盛り上がりませんね。

    本線とは別の
    子供の話やら、満州、ロシアの話やら、話がそれるからね。

    でも、このロシアの話がツラかった(;´・ω・)
    そんな地獄だったんですね。
    たぶん、死んだ方が楽と思う・・・。風邪ひいた時だって、苦しすぎて、死んでもいいかなって少し考えてしまうんですからね・・・

    暗闇の中の話が一体、どんな世界なのか、、、いまいち納得できないまま終息してしあった。
    クミ子さんも現れないし・・

  • 第1部、第2部のスピード感に比べると第3巻は少し様子が違う。夢の中でずっと浮遊している感じ。途中の挿話も夢の中の夢という感じでなんとも不思議な感覚に包まれる。終盤に向けて伏線が次々と回収されるか?というと、そうでもないので、読後もむしろ悶々としたままだ。もう一度読み返すると、印象が変わってくるのかもしれない。

  • 村上春樹という看板を外して、そこらの大学生が書いたものとして世間に出しても認められるだろうか?/ こんなので話を落としてるとは思えない/ 続編でもあるのだろうか/ 満洲とシベリアのくだり以外特に面白いとは思わない/ しかしボロカス叩くほどつまらないわけでもない/ 落ちていない話に納得しないだけでさ/ 笠原メイはかわいいけど/ ロシアの皮剥軍人と間宮中尉とアザの軍医と井戸の秘密とシナモンの夢のくだりはなにがどうなったのかほっといて良いのですか?

  • 無意識的な、夢のような、現実の次元ではない領域も描かれている。第1-2部は一気に読めたが、第3部は一度中断してなんとか読み終えた。色んな時代、場所、レイヤーの話が存在して、全体的に難解だった…。また読み返したら何かわかるかな。

  • 内容は難解だが、言葉のチョイスというか表現の仕方は好き。
    またいつか読むかも。

  • たぶん、とばっかり言う村上の絶対にぼくを必要としている、ということばが響いた。これからの人生においてなにかを絶対的に信じることはできるのだろうか。

著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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