ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 12299
レビュー : 734
  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001432

感想・レビュー・書評

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  • 多崎つくるを読む前の軽い練習というか、村上春樹の文章を自分に馴染ませて再び物語を受け入れるための準備というか、そういうつもりで久しぶりに読み始めたら、思ったよりも強い強い力で引き寄せられて、本当にたいへんだった。ほんとうに久しぶりに読んだし、最後に読んだ頃というのはわたしが読書ということをまだ出来てはいなかった頃のことなので、ほぼ初読ということになるのかもしれない。この本は、村上春樹の数々の著作の中でも最も力強く、最も様々な試みに成功している、とてつもない本であるということを感じます。言うことはあまりないけれど、しいていえば壮大なメタファーであり、損なわれるということ、わたしは損なわれてはいないかもしれないけれど、ほんとうにつらくて、つらくて、息もできないくらいつらいけれど、水泳したいなっておもった。落ち着かないと感想は書けない。でもほんとうに凄い本で、村上春樹は何の不純もなく捉えたいことを一生懸命書いているということをすごく感じて、やっぱりそういう本がほんとうに一番信用できると。わたしは本を信用することで生きている節が少なからずあり、こういう本が存在しなくなったらどうなっちゃうんだろうと怖くなり、こういう優れた本が地球上にはとりあえずわたしの一生分くらいは残されているということへの感謝を最後にしました。

  • ユーモラスな比喩を用いた表現力、時空を超えて繋がる因果、数々の謎めいた出来事、微かに見える羊的存在、読者の平凡な日常を忘れさせるだけの十分な要素が詰まっている。
    ナツメグやシナモンのスピリチャルな雰囲気、1Q84でも登場する牛河の強烈な個性、皮剥ぎボリスの暗躍などどれもこれもフィクションとは思えない。妻が不特定多数の男と交わりつつも夫を裏切った罪悪感を感じないところにもリアリティがある。確かにもし罪の意識があれば不特定多数とは関係を持てないはず。
    残りのページが少なくなるにつれて読み終えるのが惜しくなり同時に寂しさも混じった心境になる。墓まで持って行きたいほど愛する作品の一つ。

  • やっとの思いで第3部へ。あー、もうめちゃくちゃ良かった。何で1回投げ出したんだろ。もう、あの800ページはなんとまぁ壮大な伏線だったのか!! 第3部ではほぼ全ての謎が解け、結末もまぁ、納得。 アヒルのヒトの件は、ほのぼのしていて、かなり秀逸。個人的には笠原メイがかなりいい味出してると思う。言える事は、『ねじまき鳥クロニクル』最後まで頑張って読んで良かった!傑作と称される意味がようやくわかった。これは最後まで読まないと味わえない感覚だろうなぁ。読後感もいい。また読みたいと思わせる作品だった。2010/025

  • 〜以前書いたレビュー〜
    さよなら、笠原メイ。

    という言葉に、何となくしんみりきてしまった。
    ナツメグにも、シナモンにも、そして笠原メイにも、
    彼はその後会わずに生きていくのかなぁ、って思って。

    僕はあのお話のヒロインは、
    絶対にクミコではなく笠原メイだと思うんだけど、
    どうだろう。

    もしそうでないのなら。
    きっと手紙は届いていたと思うんだ。
    届いてなかったことが、
    僕の中で彼女をヒロインたらしめている。

  • ふしぎなことだからけだけど、
    言わんとしてることはすごくわかるんだよなー
    言葉にはうまくできないけれど。
    主人公とクミコの想い合いは胸が熱くなります。こんな夫婦になりたいものです。

    アヒルのヒトたち、というメイの表現だいすき。

  • 12/04/15
    上中巻で深く関わってきた加納姉妹がほとんど出てこない。
    様々な人物と出会い、関わり合い、また離れてく。他を意識することにより自己の輪郭を強めていく。村上春樹小説にありがちで大好きです。

  • 3冊読むのに2ヶ月くらいかかってしまいましたが
    とても面白い話でした。
    大学2年生の時くらいに読もうとしましたが
    全然おもろないと思って読むのをやめた作品ですが
    結婚して3年くらい経ち、30も近くなってから読み直すと
    物凄い面白い話へと変わっていました。

    失われた妻を取り戻す話。
    勝手に主人公を自分に重ね合わせてしまいました。

    1部2部とあまり話が進んでいきませんが
    3部になって話のテンポが良くなり色んな登場人物の視点から
    話が展開するようになって急激に面白くなりました。
    色んなことがハッキリしないまま終わるような気がしますが
    それはそれでいいかなと。

    かつら工場の話なんかは「日出ずる国の工場」で
    取材したのが生かされたんだろうなぁと勝手に想像。

  • 記録。

  • 現代人への応援歌みたいな小説だと思いました(雰囲気はそんな溌剌としたものではないですが)。
    めぐりあわせによって生きている私たちの、時に苦しい今。めぐりあわせによって選ばれなかった、“こうじゃないほう”の人生。それらが、ねじまき鳥が鳴くといつの間にか切り替わっている。そこには何の根拠もないのだけれど、想像をすることで壁を通り抜けることができると伝えてくれるところに、あたたかさのようなものを感じました。また、そのめぐりあわせの広がりを、自意識の内側からノモンハンまでぐーんと飛ばすのも、今までに読んだ村上春樹作品(そんなに多くはないですが)とはちょっと違う感じがして、面白く読みました。

  • 突然の電話のベルからこの不思議な物語は始まる。
    妻の突然の失踪。ありふれた日常の裏に隠されたもう一つの世界。

    この物語はすべてメタファーで成り立っている。
    支配や暴力、人を汚すものすべて。渇いた井戸、一瞬の光…
    どれもこれもが心に響いてくる壮大な物語だった。
    心を鎮めよう、強くなろう。
    私にそう呼びかけてくれるような、素晴らしい小説だ。

著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。2019年8月7日発売の『文学界』でロングインタビュー「暗闇の中のランタンのように」掲載。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月末に刊行予定。

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