ねじまき鳥クロニクル〈第3部〉鳥刺し男編 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社
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本棚登録 : 13950
感想 : 817
  • Amazon.co.jp ・本 (600ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001432

作品紹介・あらすじ

猫は戻り、涸れた井戸に水が溢れ、綿谷昇との対決が迫る。壮烈な終焉を迎える完結編。

感想・レビュー・書評

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  • 久しぶりに村上春樹の長編を読了。

    時系列的にはこっちのほうが古いんだけど、『騎士団長殺し』的なイメージが強かった。特に登場人物が涸れ井戸の底にいる感じなんてね。ほぼ同じような描写が『騎士団長殺し』にもありましたね。

    村上春樹は狭くて、暗くて、じめじめしたところにキャラクターを置くのが好みなのかもしれないな(笑)。

    村上ファンタジーのお約束で、ストーリーに出てくる謎の解き明かしや伏線の回収等はまったくありません。このあたりは
      まあ、村上春樹だから・・・
    ということですべて許されるのでしょう。

    という訳で、このモヤモヤ感を感じる為に村上春樹を読んでいるとっても過言ではないでしょう。

    結論として、極上の村上ワールドを堪能させていただきました。
    ありがとうございました。

  • 第3部まで読んでみて、「ガダラの豚」を連想させるところがあったのかな、と思っています。スリル、恐怖、狂気が次から次へとやってきます。そう、共通するものは狂気、それとほかの人にはない能力(=gifted)だったのかな。
    それらが、夢だったのか、現実だったのか、別次元だったのか、混とんとしたまま終焉を迎えます。

    それで、これを舞台にしたのですか???
    どんなに大変なことだったことでしょう。


  • 村上春樹は初期の4作品が好きだったけれど、ねじまき鳥が傑作なんじゃないかと思った。トオルは妻のクミコが家を出てしまってから、妻を取り戻すために義兄に立ち向かう。途中に差し込まれる間宮中尉の日中戦争、そしてシベリア抑留中のエピソードがすごい。
    別の記事で、ねじまき鳥には魯迅「阿Q正伝」の影響があるという考察があった。たしかに、物事を深く考えない薄っぺらい人物に対する嫌悪感は、村上春樹と魯迅に共通すると思われる。そういう人間がシステムに組み込まれることで、人の命が粗末に扱われることになる。
    義兄の秘書の牛河がトオルを訪ねるのだが、この人は「1Q84」の牛河の同一人物と思われる。これも重要な発見だった。

    • トミーさん
      Ayumiさん
      こんにちは!初めてのコメントです。いいねをありがとうございます。
      ねじまき鳥〜

      このご意見大賛成です。
      傑作です。単純に面...
      Ayumiさん
      こんにちは!初めてのコメントです。いいねをありがとうございます。
      ねじまき鳥〜

      このご意見大賛成です。
      傑作です。単純に面白かったです。
      2020/08/26
    • Ayumiさん
      トミーさん、コメントをありがとうございます。ねじまき鳥、なぜもっと早く読まなかったのだろうと思うほど傑作でした。
      ほかのレビューも楽しみにし...
      トミーさん、コメントをありがとうございます。ねじまき鳥、なぜもっと早く読まなかったのだろうと思うほど傑作でした。
      ほかのレビューも楽しみにしております!
      2020/08/26
  • "僕"視点での語られ方は個人的には入り込みやすいので好きなんですが、そこでの展開の幅に制限がかかるみたいなことはエッセイで述べられてて。でも3部では回想なり手紙なりの形式で色んな方向に読者を飛ばしてくれてて特に楽しかった。意図的にやってるかは分からないけど、『泥棒かささぎ・序曲』の後半のテンポの上がり方を連想させられた(聴きながら読んでたからかも)

    物事の理由って何でも筋道立てて説明できることばかりじゃなくて、"なんだかわけわかんない"けどそうなっちゃう、みたいなことは沢山あって、そういうことを引き起こす無意識とか夢の中の"自分"もそれはそれで素敵だし、要は"なんとなく"も大切にしていきたいなと勝手に思った。

    まとまらん

  • 人生2度目の読了。

    現実の隣にはまた違った世界があるような気分にしてくれる小説。現実から少しはみ出した現実を夢見させてくれる。

    良いニュースは小さな声で語られる。などのキャッチーなワードが気に入ってしまう。

  • 第1〜3部まとめての感想。要素が多すぎてまとまらないので箇条書き。

    ・グッと胸を打つ場面があるわけではないが、終始ふわふわと心地良く、そして長編にもかかわらずテンポよく読み進められた。この作品に限らず、気持ち良い浮遊感を味わいながら読み終えられるのは、村上春樹の独特な世界観のおかげか。

    ・現実世界の物語のようで、ファンタジー要素もあり。最後まで未解決だった謎も多いが、モヤモヤする気持ち悪さは一切ない。

    ・食事、睡眠、そして男女が交わる場面が多かった。人間の三大欲求がテーマにあるのだろうか。

    ・戦争の描写はあまりにも現実味を帯びていて、のめり込んで読んでしまった。ただ皮剥ぎの場面は衝撃的すぎて、初めて気持ち悪さのあまり小説を読み進められなくなった。

  • コロナ騒動の直前に、舞台版「ねじまき鳥クロニクル」を鑑賞。その衝撃冷めやらぬ中、何度目かわからない再読。
    以下、実況風ひと口メモです。

    「ねじまき鳥クロニクル」再読(第3部)。

    改めての感想。

    本作では、登場人物の多くが、何らかのトラウマを抱えている。
    それを押し殺すようにして暮らしているうちに一層深い闇に取り込まれていく。

    妻が突然去っていった本当の理由を探し求める中で、主人公は日々家事をこなし、打ち捨てられた枯れ井戸深く降りていってひたすら自分と向き合う。

    家事、とくに掃除と瞑想。ある意味で禅の修行そのもの。

    そして、「歴史の因縁(←仏教用語。)」が、今そこにある問題と分かちがたく結びついていること。
    (ここで、著者の父親が中国に出征経験のある僧侶であることは思い出されてよいと思う)

    井戸の底(=意識下)で、次々と流れ来る様々な思念をひとつひとつ「棚上げ」していく中で、主人公はそのことに徐々に気がついて行く。

    「ねじまき鳥」出版当時に「マインドフルネス」という言葉はまだなかったと思うが、いずれにせよ外国人が本作を熱狂的に受け入れるのはある種必然だった。と、改めて感じる。

  •  雨蛙一匹分の想像力もない僕だけれども読んでいて、風景がありありと浮かんでくる圧巻の描写力。長編の中でも一二を争うボリューム感なだけあって登場人物も多種多様。
     笠原メイの自分を取り巻く世界の解釈というか、彼女が考える世界の歪み方的なものが手紙に垣間見えて、思わずクスッときたり、唸らされたり。
    「自分について考えないことでぎゃくに自分の中心にちかづいていくというみたいなことがあるのね。」
    「わたしはむしろ茶碗蒸しのもとを入れてチンしてふたを開けたらたまにマカロニグラタンが出てくる、なんていう方がホッとしちゃのね」
    彼女なりにうまく生きようと葛藤しては見るけども世界そのものへの漠然とした違和感が拭えず、その努力も叶わない。

    牛河はビジュアルこそ絶望的だがその容姿にも勝るとも劣らず泥臭い人生哲学に学ぶべきものは多かった。冷蔵庫を売ってもらえなかったら氷を買って帰る。至言と言うほかない。

    メタフォリカルな現実とリアルな夢。胡蝶の夢ではないけれどその二つの境目は何で決める?夢で起こったはずのことが現実に影響を及ぼすとしたら?もはや二つの世界に区切りをつけることに意味はないのかもしれない。あちらの世界で起こったことだとしてもこちらの世界で起こったことだとしても自分でケリをつけなくちゃならない。現実世界には自分の意志を介在させる余地があると人は勘違いしてしまうけれどいわゆる自由意志もまた運命に選ばされているとしたら、夢と現実の区別はいよいよ困難だ。

    夢から目が覚めてなんだ夢だったのかと落胆する気持ちも、悪夢から覚めて、夢で良かったと安堵する気持ちも同時に味わえるまさに夢見心地な作品だった。海辺のカフカや騎士団長殺しなどファンタジー要素強めな他の作品とも合わせて何回も読んでいきたい一作。

  • みんなにあっちの世界とこっちの世界があって、時間も空間も超越してるんだけど、どこかで繋がっている。そして何かに決められた運命に従って生きているような、それに抗って変えることができているような、どっちかわからない人たち。村上春樹ワールド全開な感じの作品。凡人が特別なところで力を得て別世界に行って戦って大切な人を救い出す。ちょっとマトリックス的な。ネオがトリニティを救いに行く感じ。ウォシャウスキー兄弟は士郎正宗の攻殻機動隊の影響を受けていると言っているが、実は村上春樹の影響も受けてたりして。そんなこと思うのは私だけか?

    勝手にキャスティング。
    トオル: 田中圭
    クミコ: 吉田羊
    綿谷ノボル: 佐野史郎(若い頃の)
    笠原メイ: 杉咲花
    加納マルタ: アンミカ
    加納クレタ: 壇蜜/平野ノラ
    赤坂ナツメグ: 中谷美紀
    赤坂シナモン: 竹内涼真
    牛河: 相島一之

    以下ネタバレを含む疑問など。

    綿谷ノボルはやっぱりクミコの意識の暗い部屋(死角)に関わっていた。綿谷ノボルの特殊な能力が何なのか。別の世界に連れて行く能力?クミコと死んだ姉さんはどのように汚されたのか、加納クレタが汚されたようにか。

    クミコはなぜ綿屋ノボルを完全に消し去らなくてはならないのか?この世界で意識不明でも別の世界では普通に生きててしまうからなのか?

    笠原メイは危なっかしくて、不思議ちゃんだったが、トオルの色んなものを目覚めさせてる感じだったのかな?カツラは皮剥ボリスつながりか?

    加納マルタと加納クレタは結局何だったのか?綿谷ノボルはなぜクミコの猫がいなくなったときに加納マルタに調査?を依頼したのだったか?姉妹のおかげでトオルがクミコの暗い部分にアプローチするキッカケになったのだったか?

    ギターを持った男の存在の意味が?バットを渡しただけ?中国人をバットで殴り殺した若い兵隊と何か関係がある?あの人、他の人の未来が見えてたけど、若い頃の本田さんではないよね?

    猫が帰ってきた!尻尾の曲がり方が変わってたけど、本人だよね?

    本田さんの「水には気をつけた方がいい」の意味が明らかになった。なぜ急に湧いてきたのかまでは分からなかったが。アザの獣医も水で死んだらしい。

    脇役だった新宿で声をかけてきた四十女が親子3代で突然キーマンとして躍り出てきた。赤坂ナツメグの獣医のお父さんのアザとトオルのアザとの関係は?シナモンが5歳のときに見たあの光景は何だったのか?

    牛河出てきた〜!5年前に奥さんが子ども2人連れて出て行った設定まで1Q84と同じでは?

    この時代ににパソコンで話すとは!パソコン通信。Q2ダイヤル使ってる!マウスのついたパソコンって、当時まだAppleIIとかだけでは?

    間宮中尉の撃った弾はなぜボリスに当たらなかったのか?ボリスは当たらないことを確信してたようだが。

  • 僕と妻クミコ、行方不明の猫。
    僕に猫を探すよう頼む妻と、猫の生き方として深追いしない僕。

    僕と周囲の人達との関係構築、そして暴力・悪との対決の中、大切なはずの人達が少しずつ僕のところから消えていく流れは今回も苦しかったけど…
    読書は素敵

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著者プロフィール

1949年 京都府生まれ。著述業。
『ねじまき鳥クロニクル』新潮社,1994。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』新潮社,1985。『羊をめぐる冒険』講談社,1982。『ノルウェイの森』講談社,1987。ほか海外での文学賞受賞も多く、2006(平成18)年フランツ・カフカ賞、フランク・オコナー国際短編賞、2009年エルサレム賞、2011年カタルーニャ国際賞、2016年ハンス・クリスチャン・アンデルセン文学賞を受賞。

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