辺境・近境 (新潮文庫)

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  • 新潮社
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レビュー : 157
  • Amazon.co.jp ・本 (304ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784101001487

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹の「芸」の広さを思い知らされた。
    面白い出来事を面白く書くのは簡単だけど、たいくつで何もなかった(アメリカ)話で何十ページも読者を引きつけ続けるなんて、誰にでもできることじゃない。

    そして、それが面白い。春樹さんの小説にあるような「内省的な世界」へもぐりこむわけでもなく。きちんとノンフィクションなのに。なのに、ついつい興味深く読んでしまう。

    個人的にはカラス島の虫の話に、声を立てて笑ってしまった。彼もこんな文章かくのね。

    あとがきには、春樹さんが「旅行記」を書くときの方法が載っている。あんなに緻密な描写にも関わらず、最中はカメラもメモもとらないんですね。「自分が記録装置となって、目の前の現実に没頭すること(もちろんひと段落したときに、メモを取るけど)」「旅行後、1.2カ月してからとりかかる。その間に沈むものは沈むし、浮かび上がってくるものはより鮮明になる」という。

    比喩や話の流れなど、書き写して自分にも取り入れたい。旅行記を書くときの教科書にしたい一冊。

  • 香川において、「うどん」は

    イベントの花?であり、飯のたねであり、話のたねでもあるのだ。


    他県の人に言わせれば、

    「ほかに自慢するものないのか?」


    「じゃあ食べに行こうじゃないか」と話がまとまり

    2泊3日の「うどん三昧の旅」の旅行記を書いているのが

    『辺境・近境』(村上春樹著 新潮文庫)


    この本に収められている他のタイトルが

    「イースト・ハンプトン」

    「無人島・からす島の秘密」

    「メキシコ大旅行」(他4点)などだから、それに匹敵するほどの未開拓地

    としての「讃岐うどん文化」と捉えればいいのか。


    最初に入ったうどん屋。

    「店に入るとまずおろし金と長さ20センチくらいの大根が

     テーブルに運ばれてきた。」

    やっぱり、初めての人はびっくりするかも知れない。(笑)

    まんのう町にあるこちらのお店・・・

    普通だけどなぁ。おいしいけどなぁ。(笑)

    『讃岐・超ディープうどん紀行』の旅はこうして始まった。

  • 村上春樹がメキシコ、アメリカ、中国、モンゴル、日本の辺境・近境を巡る紀行文。
    メキシコという国は、生活の中に死が隣り合わせにあると聞いていたけど、この本を読んで誇張でもなんでもなく事実なんだと実感した。
    ノモンハン編を読んで「ねじまき鳥クロニクル」の世界がよりリアルに感じられるようになった。
    神戸編では、自然災害という謂れなき暴力や地下鉄サリン事件など、後の作品のモチーフになっている出来事について感じたことを彼自身の言葉で書いていてとても興味深かったし、後の作品はこういう感覚を下敷きに書かれていたのか、と腑に落ちた。

  • すごく面白かった!
    行かれてる場所のバリエーションもさることながら、村上さんの語り口のおもしろいこと!
    村上さんの文書ってすごく飾り気があるようで言うてることは飾り気無いのよね。
    最後の神戸でちょっぴりしんみり。

  • とても気楽に楽しく読めました。
    だけど「旅とは一体何なんだ?」ということを考させられたり、決して楽しいだけの本でないのがとてもよかったです。

    後書きの中で、「よく書かれた旅行記を読むのは現実の旅行に出るよりはるかに面白い、という場合も少なからずあります」と書いてありますが、まさにそういう感覚でした。

  • 辺境を旅なんてしたくないけど読むぶんにはね。

  • 村上春樹を色々読んでいく中の一冊。
    瀬戸内海の無人島・メキシコ・香川でさぬきうどんツアー・ノモンハン戦争の地(中国・モンゴル)・アメリカ横断・兵庫で西宮市から三宮まで歩く、という、規模も長さもぜんぜん違う旅行に関するエッセイがつめ込まれた本。
    ちょうど『ねじまき鳥クロニクル』並行で読んでいるところなので、ノモンハンに行く話は良いかな、と思ったり。

    走る話とかだと洒落た感じもするけれど、さぬきうどんツアーとかの情景を読むと「気のいいおじさんだなあ」という感じが強まって、それはそれで良い。
    でもノモンハンに行く話とか、神戸の話とかは文学っぽくなる。
    メキシコに行ったことも小説とかに使われてるんだっけか?

  • シリアスとコミカル両方の紀行文が一冊にまとめられている。文体もそれに合わせて硬軟を使い分けていて、今さらながらこの作家の筆力には驚嘆させられる。ある時は囁くように、またある時は叫ぶように、その語り口は変幻自在だ。

  • うわーーー!!
    ハルキムラカミ超かっけーーー!!!

    村上春樹の本ってノルウェイとカフカ読んだんだけど
    ちょっと根暗な男子がえろいことするだけじゃん けっ!って思ってたんだけど
    うわーーーこの随筆はなんだろな
    違う側面みてるかんじ?というかうーん

    内容は筆者がいろんなとこ放浪してその旅日記みたいな感じなんだけど
    ぽろぽろっとかっこいいこと言うんだよねー!
    中国のところとかすごいおもしろかった^^

  • 村上春樹さんは小説が有名だけど、紀行文もすごく面白いです。
    中華料理食べれない人がいるなんてはじめて知りました。(また食べれないのに中国行くなんて・・・)

著者プロフィール

村上春樹(むらかみ はるき)
1949年、京都府京都市伏見区生まれ、兵庫県西宮市芦屋市育ち。早稲田大学第一文学部映画演劇科卒。大学在学中にジャズ喫茶「ピーター・キャット」を国分寺・千駄ヶ谷に開店していた(1981年、店を人に譲渡)。1979年にデビュー作の「風の歌を聴け」で群像新人文学賞を受賞。谷崎潤一郎賞、読売文学賞、朝日賞など数々の受賞歴がある。2006年にフランツ・カフカ賞、2009年にイスラエルのエルサレム賞受賞。ノーベル文学賞に最も近い作家の一人と言われており、毎年発表時期に日本国内でニュースになる。事実、村上春樹作品は全世界で翻訳されており、アメリカ・アジアでの評価がとりわけ高い。フィッツジェラルドやレイモンド・カーヴァーなどの作品の翻訳も手がけ、翻訳家としての仕事も高い評価を受ける。翻訳と創作活動を交互に行うことで、作風を変化させ、作家としての成長を続けている。新作が発表されるたび大きな話題となるが、近年は特別番組「村上RADIO」にてラジオDJも務め(不定期放映)、数々の名言も注目を集める。代表作に『風の歌を聴け』『羊をめぐる冒険』『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』『ノルウェイの森』『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』。2019年7月31日に『神の子どもたちはみな踊る』が舞台化。アメリカのサックス奏者スタン・ゲッツの伝記翻訳を2019年8月刊行。2019年9月10日発売の『文藝春秋』10月号で「至るところにある妄想 バイロイト日記」を寄稿。

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