村上ラヂオ (新潮文庫)

  • 新潮社 (2003年6月28日発売)
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本 ・本 (224ページ) / ISBN・EAN: 9784101001524

感想・レビュー・書評

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  • 村上春樹のエッセイ。私は、村上春樹は小説よりもエッセイの方が好きだ。飄々とした感じの文体で、真面目なのだかふざけているのだか分からないようなことを書いているのが面白い。
    特に、小説では絶対に使わないような、見方によってはくだらない「比喩」を多用するとことも好きだ。

    ■(海外旅行中にホテルから空港に向かう途中、ホテルにパスポートやフライトチケットを忘れたことを、ホテルから250km地点で奥様から指摘されるのだが)隣に座っていた連れが、現実という見過ごすことのできないずた袋の底から、洗い忘れていた二週間前のテニス用靴下を引っぱり出すみたいに、陰惨な疑問をひとつ持ち出してきた。
    ■しかし災難は、まるで小田原厚木道路の覆面パトカーのように、どこかでこっそりとあなたを待ち受けている。

    特に後者。小田原厚木道路は制限速度が70kmである。箱根にドライブに行く際、相当に空いていたのでついついスピードを出し過ぎて、「どこかでこっそりと」私を待ち受けていた覆面パトカーに捕まった経験のある私は、苦笑するしかなかった。本当によく感じが出ている。

  •  雑誌ananでの連載をまとめた本らしい。一年以上前に読み始めて、「今日の外出ではひとりで本を読む時間は多分ない見込みだが、一応何か持っていくならこれを。軽いから。」という立ち位置でちびちびやってきた。そして最後は、「何か読了したい。とても少ないエネルギーで。」という気持ちのときに残り一割くらいの状態でそこにあり、見事に役目を果たしてくれた。
     正直、どんなことが書いてあったか、今となってはほとんど思い出せない。けれど、こうしてこの本との過ごし方を振り返るにつけ、なんと健気に私の暮らしを彩ってくれたことだろうと感謝に堪えない。

    • akikobbさん
      111108さん

      こんばんは。ありますよね、そういう本!共感していただけてよかったです。
      『ジャンパーを〜』はけっこう物申す系というか、芯...
      111108さん

      こんばんは。ありますよね、そういう本!共感していただけてよかったです。
      『ジャンパーを〜』はけっこう物申す系というか、芯のありそうな本ですかね?村上ラヂオは、本当に電車一駅分でもさっと読めてなんとなく満足できる、ちびちび読みにふさわしい本でした。
      2023/06/17
    • 111108さん
      今和次郎は絵とコメントが面白いと思ったのですが、この本はたまたま講演会用の話とかが多くてまさにけっこう物申す系で読みづらかったです。村上ラヂ...
      今和次郎は絵とコメントが面白いと思ったのですが、この本はたまたま講演会用の話とかが多くてまさにけっこう物申す系で読みづらかったです。村上ラヂオは他人からチラ見されてもいい持ち歩き本ですよね。
      2023/06/17
    • akikobbさん
      「チラ見されてもいい」、確かに笑。
      でも、今和次郎は私知らなかったので内容もあまり想像できていませんが、ちくま文庫ブランドへの謎の信頼はある...
      「チラ見されてもいい」、確かに笑。
      でも、今和次郎は私知らなかったので内容もあまり想像できていませんが、ちくま文庫ブランドへの謎の信頼はあるので、チラ見する側だったら「あ、あの人面白そうなちくま文庫読んでる!なんだろう」とは思うかもしれません。
      2023/06/18
  • 『anan』に連載していたベリーショート50話のエッセイ集。30年以上前に読んだ青春3部作の感覚が蘇ってきました。村上春樹氏のような音楽に傾斜してなく、洋楽にも全く詳しくないので流し読みの項目もあって、なんか悔しいな。時々でてくる「○○っていいですよね」の言い回し好きです。

  • 村上先生の小説はとっつきにくいイメージが勝手にあったのでためらったが、そんなのは杞憂に終わるくらい読みやすかった。
    独特な見方、そしてそれを面白可笑しく言語化してしまうのが尊敬。
    ユーモアたっぷりで一つ一つのお話が短めなので隙間時間にぴったり。
    次作も読んでみたい。

  • 大作家による小エッセー集。
    村上春樹の個性ともいえるシニカルな視点で、彼の日常の些細なことを綴っている。ただそれだけ。ただそれだけど、それはそれで面白い。

    その中で心に残った言葉。

    というわけで、貴重な燃料をため込むためにも、若いうちにせっせと恋をしておいた方がいいと思う。お金も大事だし、仕事も大事だけど、本気でじっと星を眺めたり、ギターの調べに狂おしく引き込まれたりする時期って、人生にはほんの少ししかないし、それはなかなかいいものだ。放心してガスを消し忘れたり、階段から転げおちたりというようなことも、そりゃたまにはあるけどね。

  • 村上春樹のエッセイが好きだ。
    この本は何度読んでも面白い。
    焼かれる、柿ピー問題、30年前に起こったこととクスッと笑えたり、抱腹絶倒したり、、、。
    達観していてちょっと真面目にふざける春樹。たまらない。

  • 久し振りに村上春樹を読んだ。短編エッセイ集である。リストランテやらブラディ・メアリやらお洒落なテーマで綴られるエッセイ…若かりし頃は村上春樹を読むと共感出来たのに歳のせいなのか今読むと余り共感出来ず、軽いなぁとか思った。

    しかし、待てよ、50歳を超えても、こういう感性を持ち続けている村上春樹って凄いよな、偉大だなと感心してしまう。

    読んでみると、村上春樹って、春に合うような気がするな。

  • 一話4ページで短いエッセイ集でクスッと笑えて面白かったです。

  • 文章がおもしろくって、するっとよめる。挿絵も素敵。続編があってうれしい。

  • 何気ない毎日の生活に、こういう柔らかな時間も必要だなと思う。
    なるほど、と感心したり、くすっと笑えたり…。
    押しつけがましくなくて、いつまでも読んでいたくなる。

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著者プロフィール

1949年京都府生まれ。早稲田大学第一文学部卒業。79年『風の歌を聴け』で「群像新人文学賞」を受賞し、デビュー。82年『羊をめぐる冒険』で、「野間文芸新人賞」受賞する。87年に刊行した『ノルウェイの森』が、累計1000万部超えのベストセラーとなる。海外でも高く評価され、06年「フランツ・カフカ賞」、09年「エルサレム賞」、11年「カタルーニャ国際賞」等を受賞する。その他長編作に、『ねじまき鳥クロニクル』『海辺のカフカ』『1Q84』『騎士団長殺し』『街とその不確かな壁』、短編小説集に、『神の子どもたちはみな踊る』『東京奇譚集』『一人称単数』、訳書に、『キャッチャー・イン・ザ・ライ』『フラニーとズーイ』『ティファニーで朝食を』『バット・ビューティフル』等がある。

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